「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ワグネルの海外業務とワグネルは何故無事でいられるのか?<2023年7月

2023-07-20 18:43:15 | ロシアと周辺国

中央アフリカにワグネル戦闘員「帰還」 改憲で三選目指すトゥアデラ大統領の警備へ
2023年7月18日(火)08時31分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/07/post-102204.php

他にもある程度の人数を派遣しているのは、アフリカのマリ・スーダン、シリアなどです。もっと派遣先はあると思います。

それらを合計すると5000人~8000人ぐらい、海外部隊がいると思います。

これがロシア政府がワグネルを潰せなかった本当の理由かもしれません。ワグネルがロシア国外に派遣しているワグネル兵を呼び戻せば、ワグネルのコアな部隊は、ロシアにいる人数の2倍くらいになるのでは、ないかと思います。

ワグネルの本来の兵士は、主にロシア軍退役者の中から技能優秀な者を採用します。それを更に訓練して鍛え上げたのがワグネルの傭兵です。指揮官や参謀も同じだと思います。つまり、普通の特殊部隊の戦闘力をはるかに上回る戦争のプロ集団です。

ワグネルの武装蜂起を見ても分かります。一糸乱れぬ統制ぶりでした。命令は忠実に実行され、市民に乱暴を働く者も市民から金品を強奪する者もいませんでした。あの集団の中には、囚人兵も沢山いたと思います。全ての兵士が指揮官の命令に従っていました。2万人を超える部隊が、そうである事が凄いことだと思います。

あの戦闘集団を、なまくらのロシア兵で鎮圧しようとすれば最低3倍、それでもどうかな?と思います。

現実問題、武装ほう起したワグネルの部隊を鎮圧しようとしたならば、ロシア兵を6万人は送り込まなければなりません。そんな兵士は、ロシア国内にはいません。全部、ウクライナ戦線に送り込まれています。そう考えると、現実には武力鎮圧は、不可能だった事が分かります。

ワグネルの部隊は、行進を止めて野営地に引き返した後も完全武装で待機していました。その後、ワグネルとロシア政府は、ぎりぎりの交渉をしていたと思います。交渉がまとまったからベラルーシへの移動を開始したのでしょうね。

そしてワグネルのコアな部隊が、ほぼ全員ロシア軍の退役者である以上、その兵士たちはロシア軍の中に、元同僚や知り合い、上司や部下がいます。
全員、ロシア軍の中にコネクション(人間関係)を持っています。その人間関係のコネからロシア軍内部の情報は、ほぼワグネルに筒抜けでしょう。

そして、それが何を意味するかと言うと?
ロシア軍の反主流派には、ワグネルと関係を持つものが沢山いると言う事です。単にワグネルだけの話では、なくなります。

南部軍管区は、ワグネルの武装蜂起に対して何も行動しませんでした。その他の治安機関や警察なども全く動きませんでしたね。それは、上記の理由によると思います。うっかりすると南部軍管区は、ワグネルとともに武装蜂起するかもしれない危険性を示しています。

以上を考え合わせると、ロシア政府がワグネルを武力で鎮圧することなど不可能であることが分かります。だから交渉して今後のことを、取り決めたのであろうと思います。

一方でプリゴジン氏とワグネルもロシア政府を転覆することが今回の武装蜂起の理由では、ありません。

ロシア国防省によるワグネルの部隊の解体を回避し、ウクライナ戦線から離脱して、安全な場所に移動することが、その時点の最大の目的だったと思います。
だから、思いっきり!ロシア政府を脅し上げて、すぐ野営地に引き返したのだろうと思います。ワグネルがその後することは、ロシア政府との条件闘争です。

ロシア軍主流派(国防相と参謀総長)は、反主流派を排除しようとしていると思います。しかし、ロシア軍の半分は反主流派だと思います。全部、排除したらロシア軍は半分になります。ウクライナと戦争している今、出来るはずもありません。

プリゴジン氏はロシア軍の反主流派の声を代弁していたと思います。プリゴジン氏とワグネルを支持するロシア軍内部の支持者は、残る事になります。

プリゴジン氏とロシア国防省の権力闘争は、こうして考えるとロシア軍主流派と反主流派の対立と密接に結びついています。

だからプリゴジン氏は政治的な影響力と経済力を失わないと思いますし、ワグネルはそのまま存続すると思います。ワグネルの持つ圧倒的な戦闘力は、ロシア軍の主流派と反主流派の緊張が高まったとき、反主流派の大きな力になると思います。だから反主流派は、ワグネルをベラルーシに移動させ温存する必要があるのであろうと思います。

今のロシア政府を追放したいロシア人は、冷や飯ぐらいをしている人たち全員だと思います。独裁者の権力の強いときは、息をひそめているしかありませんでした。

独裁者の権力に弱体化の兆しの見られる今?
それらの人たちは、何を考えるでしょう?

ワグネルの武装蜂起事件は、一旦・直接の武力衝突を回避しました。しかし、その背景の事情は全部、そのまま継続しています。

☆どうやら、ワグネルの傭兵部門は一式全部ベラルーシに移転するようです。サンクトペテルブルクにある本社は、多分残るんでしょうね?

ワグネル演習場閉鎖 「新たな拠点へ去る」―ロシア南部
2023年07月18日07時21分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023071800163&g=int



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