「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

2024欧州議会選挙に見えてくること(内政の不満を外敵に向ける政策の破綻)<2024.06.11

2024-06-11 19:56:05 | ヨーロッパ

今回の欧州議会選の解説を見ると右派・極右の台頭ばかりを言う声が目立ちます。
一つの誤魔化しと言えると思います。

ウクライナ戦争前から物価の高騰が始まっていました。
ウクライナ紛争がそれに拍車をかけました。
ウクライナ紛争は、EU諸国の多くに経済不振をもたらしています。物価高騰と経済不振は、大きな要素です。
それ以前から増えすぎた難民問題は、どの国でも国内問題になっています。移民制限か排除を主張するのが、右派か極右です。

もう一つ大きな問題があります。
それはEU政府の行き過ぎた環境規制です。
ヨーロッパの環境活動家を見ると分かりますが、ほぼテロみたいな抗議活動を展開し、EU政府に実情に合わない(厳しすぎる)環境規制を強要してきた部分が、非常に大きいです。

このような社会矛盾・問題を多く抱えたEU政府とEU各国政府が利用したのが、ウクライナ紛争です。
「ロシアは極悪だ!民主主義を絶対に守れ!」
昔からある衆愚政治の手口です。
国内問題を解決せずに、外敵を作り紛争や戦争で誤魔化す手口です。
EU政府とEU各国政府がやったのは、まさにこれです。

EU内の社会矛盾・問題を一切解決しようとはせず、外敵へのプロパガンダとスローガンで政治的危機を乗り切ろうとして、失敗しました。

今年の前半から農民一揆と言えるようなEU農民の抗議活動が、全欧州で展開されています。
物価高騰と厳しすぎる環境規制が農家の倒産の危機を招いているからです。
それに対しこれまでのEU政府は、「無視」で答えました。

右派や極右の台頭は、ウクライナ紛争のずいぶん前から始まっています。今に始まったことでは、ありません。
上記に書いたのは、EUの矛盾や問題点のごく一部です。

「※参考」にごく大雑把な各会派や政党の議席の増減を上げました。

見ると分かりますが、大きく議席を減らしたのがフランスのマクロンが率いる中道「欧州刷新」が23議席減らしています。
「Greens/EFA – 緑の党・欧州自由連合」が21議席減らして第4会派から第6会派に転落しました。

フランスの場合は、マクロンとルペンの闘争の結果です。
マクロンが、ダブルスコアで完敗しました。
求心力を失ったマクロンは、起死回生(自爆)解散総選挙を決めました。
それ以前からのフランスの与党の与党連合が支持率を落とし続けている傾向を見るなら、過半数までは届かないかもしれませんがルペンの圧勝は、今から見えています。
ほぼマクロンは、残りの任期はダッチ・ロール状態でしょう。

そしてフランスでもドイツでも「緑の党」グループが半減以上の壊滅的な議席減です。
EUの環境政策が、明確に否定されたと言えます。
EUの打ち出す環境政策は、結論ありきの無茶苦茶なものが多いです。

そしてドイツでは連立与党3党が、敗北しました。
特に緑の党の落ち込みが大きいです。
一方で最大野党のCDU/CSUは支持率が高く議席の増減はありません。
緑の党が-9議席で極右のAfDが+6議席です。
ほぼ連立与党への不信任案と同じです。
つまり今の連立与党の政治にノー!が突き付けられました。

イギリスでは、与党保守党が歴史的な大敗が予想されています。

現在のウクライナ絶対支援を金科玉条にしているイギリス・フランス・ドイツの政権与党は、欧州議会選挙においては、ほぼ完敗状態にあります。
「ロシアより国内をどうにかしろ!」
分かりやすく言うと、こういうことだと思います。

※このように書いてくると、「右派・極右の台頭ばかりを言う」のは、一種の誤魔化しだと思います。右派・極右の台頭は全体の中のごく一部分です。それも以前から続いていることです。今更クローズ・アップするべき問題ではありません。

EU内の社会矛盾・問題を一切解決しようとせず放置しているから右派・極右が台頭してくるだけです。
それを防ごうと思うなら誤魔化しは止めて、地道にEU内の社会矛盾・問題の解決に取り組むしかありません。

※参考
欧州議会事務局
https://results.elections.europa.eu/en
中道右派「欧州人民党」(EPP)+10⇒186議席
中道左派「欧州社会民主進歩同盟」(S&D)ー4⇒135議席
第3勢力の中道「欧州刷新」(マクロン)102ー23=79議席
主流3会派計401議席(ー12)
Greens/EFA – 緑の党・欧州自由連合
2019年第4党74議席、支持率9.85%⇒53議席ー21


右派「欧州保守改革」(ECR)(メローニ)+4=73議席
極右「アイデンティティーと民主主義」(ID)(ルペン)+9=58議席
無所属「ドイツのための選択肢」(AfD)9議席から15議席に躍進

ドイツの割り当て議席96
CDU/CSU 30議席 得票率30%
AfD 15議席+6 得票率15.9%
SPD 14議席ー2 得票率13.9%
GRUNE 12議席ー9 得票率21%⇒11.9% 
  
フランス(81議席)
国民連合18⇒30議席(+12)
与党連合 13議席
フランスの緑の党13%⇒6%


※関連記事目次
項目「ヨーロッパ」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/70484af7010580642c91d2a502a7002d



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。