通俗修験問答 - 抖擻(とそう)の二文字について - 藤井大瞋
▼問・・・抖擻の字義はそれでよく解(わか)りましたが、そうしますと抖擻する――煩悩悪魔をはらひのぞくには、どうすればいゝのですか。入峰抖擻といひますから、大峰山や葛城山に登って修行すれば、それで抖擻になるのかとも思ひますが、お山の戸がしまって後、又は家庭の事情や、地理的関係から、そうそうお山へ登ることが出来ないものは、どうしたらいゝのでせうか。
▼答・・・まことに御尤もなお尋ねです。元来修験道でいふ所の抖擻は、これを二つに分けて考えるとよく解(わか)ります。その一つは別時(べつじ)の抖擻、即ち入峰修行のことで、他は常行(じょうぎょう)の抖擻、即ちお山へ登ると否とに拘(かかは)らず、平素家(へいそいへ)にゐて不断(ふだん)に抖擻することです。高祖の末流(まつりゅう)をくむお互として、この別時の抖擻―― 入峰修行を怠ってならぬことは申すまでもありませんが、同時に又、この常行抖擻を忘れては、修験道信者としての面目がたちません。だからお山の戸がしまって後や、いろいろの事情でお山へ登ることの出来ない方は、不断にこの常行の抖擻を励まれることが肝要だと存じます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます