kiske3の絵日記

一コマ漫画、トホホな人の習性、

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ミステリーナイト 8

2008年09月05日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

「戦慄」





「ミステリーナイト 5」「ミステリーナイト 6」で書いた「並ぶモノ」の
峰川から聞いた話である。彼女の友人の友人(峰川は知らない)が出会った
恐怖。その女性はもうこの世にはいない。恐怖に出会った時に亡くなった
からだ。死因はVf(心室細動)。いわゆる心臓麻痺。心臓のポンプ機能が
急激に消失すること。健常人に突然起こることは極めて稀であるものの、
救急疾患としての頻度は極めて高い。どこでそれが起こったかと言うと、
あるスキー場の女子トイレ。そのスキー場のトイレでの怪奇現象の噂は元々
あった。広大なスキー場の中腹にあるロッジ。建造物としては古いが、特に
暗い印象でもない。かといって、場所が微妙にメインコースから外れている
為、ロッジに出入りする人はまばらな状態。トイレに立ち寄る事に頻繁に
使われている。そのトイレ内も特に異常は見られないそうだが、奥から
2番目の箱だけは別だった。5つの箱の中で奥から2番目の箱だけが、冷気の
せいなのか、霊気のせいなのか異常に寒く感じるらしい。壁の上側の縁、
便器の中、ドアの下の隙間、あらゆる所から邪悪な視線を感じる箱だった。
そして、なぜかその箱のドアの鍵は、一旦閉めると開きにくかった。錆びて
いるわけでも接触が悪いわけでも無いが、従業員は鍵を取り替える事にした。
しかし、何度取り替えても同じだった。従業員を騙すように最初こそは
ちゃんと開くのだが、自然に開きにくくなって行く。ドア自体も調べた
らしいが異常は見受けられなかった。このような気持ちの悪い話が出回れば
スキー場の運営に響くので、従業員の間だけの話で終わっていた。しかし、
悪意のある箱はとうとう人の血を欲するがあまり、最悪な事件を起こして
しまった。スキー場の1日が終わり、男性従業員が掃除と点検をしに
トイレに行ったところ、奥から2番目の箱のドアがまだ閉まっていた。









あの箱が閉まっている……








ノックをする従業員。







応答が無い。無人なのか? 恐怖のあまり、人の気配を感じられない。







「……すいません。営業が終わりましたので、速やかに出て下さい……」






もの凄い数の視線を感じて、従業員は急に寒気を感じた。





「すいません!!聞こえてますか!? 大丈夫ですか!?」





事が事なので、早急にスキー場を運営する幹部クラスに連絡し、外から
ドアノブを取り外さなければならない。寒気で全身に鳥肌が出る一方で
好奇心も浮上してきた。男性従業員は箱の中にいると思われる女性に声を
掛けながら、壁の上から覗こうと決めた。心のどこかで危険信号が鳴り
響いているが、生死の確認の為に覗くと言うよりか、“なぜか覗かなければ
ならない”気がしていた。そこでドアの下に隙間がある事を思い出した。
まずはドアの下に出来ている1センチ程の隙間から箱の中を覗く事にした。





トイレの冷たくて不潔で汚いタイルに顔を付ける事の不快感など、
この際、どうでも良かった。彼は地面に付けた方の目だけ開けて覗いた。













ヒザらしき部分の赤いスキーウェアが見えた。推測出来る事は、女性が
ドアに体重をかけ、ヒザ立ちをしている。尋常では無い状況に従業員は
焦りと恐怖で立ち上がり、怒鳴りながら、ドアノブに足を掛けた。


「すいません!!内鍵なので、私が中に入って開けさせてもらいますよ!!
 私はここの従業員なので安心して下さい!!良いですか!?壁の上に
 登って入りますんで!!!!」












明後日、最終回。                         ボスヒコ
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