
お殿様(奥平家)の末裔が所有していたのだけど、
(その理由は煩雑になるのでここでは触れないが)
数年前、売却することになった。
僕は市が購入すべきだと思っていたのだけど、
市との交渉は決裂してしまい、
(これもここでは触れないが、僕は市側に問題があったと憤っている)
結局、埼玉県の民間企業の手に渡った。
幸い、その会社は善良なマインドをお持ちになっていて、
お城を中津市民から預かっているというスタンスをとっていただいている。
奇しくも、細川家が中津から熊本に転封されたときにとった
地元民の心根に配慮したアティテュードに酷似している。
今般、その企業が中津城を運営するようになった1周年を記念して、
薪能「土蜘蛛」がおこなわれた。
あいにく当日は台風の影響でホールでの開催となってしまったが、
会場はフルハウスだった。
僕のまちでもこんなに観能に訪れる人がいるんだと、本当におどろいた。
酔狂なことに、僕は大学時代、能楽サークルに所属していて、
金春流に師事していた。
素人芸ながら、お仕舞とお謡を少しかじった。
そのサークルで最初に習うお謡が、この「土蜘蛛」だ。
上級生になっても1年生の練習をみる機会があるので、
「土蜘蛛」はもっとも親しんだ演目のひとつといえる。
けど、よくよく考えたら、実際の舞台での公演を見たことはなかった。
僕が想像してたより派手だった。
蜘蛛の糸を投げかける場面があるのは知ってたけど、
あれほどまでとは思わなかった。
今さらだけど、「土蜘蛛」の素謡の公演の前にビデオを見る(見せる)べきだった。
そうすれば、もっと情景描写が(ヘタクソなりに)鮮やかになったと思う。
能から疎遠になって久しいけど、ときには観能もいいなと感じた夜だった。
先輩や後輩でプロの能楽師になった奇特な人もいるから、
チャンスがあれば、今度、出かけてみようと思う。
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