外国人に「選ばれる国」か 不安な日本、自信見せる韓国
山本恭介 ソウル=吉田美智子 編集委員・大野博人2018年10月29日05時06分
韓国と比較すれば奮起するとでも思っているのか? いずれにせよ、浅慮だと思う。
韓国に人が流れて、日本は来なくなるか、というと、世界に大きな経済格差がある限り、人の流れは止められない。
欧米の例をみると、 家族を含めた移民の定住は不可避。法を網を抜けくぐっても、定住しようとする人はでてくる。
定住を前提に、上限を決めて、日本語ができる優秀な人材を募り、また、ポイント制などで、優秀な人に定住してもらう制度を作ったほうがうまくいくと思う。
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山本恭介 ソウル=吉田美智子 編集委員・大野博人2018年10月29日05時06分
韓国と比較すれば奮起するとでも思っているのか? いずれにせよ、浅慮だと思う。
移民を分析する時、国際機関などは二つの視点から見る。フロー(流入)とストック(滞在)。どんな人をどれだけ入れるか。そして、どう社会の一員として受け入れ、統合するか。
日本政府に欠けているのはストックへの視線だ。
2001年の米同時多発テロの直後、パリ郊外にイスラム過激派を礼賛する若者たちの姿があった。フランスに生まれ育った移民の2世、3世だ。進学も就職もうまくいかない――。取材で浮かび上がったのは「社会の一員になりたいのに拒まれている」という切ない思いだった。
英国で移民系の若者がテロに走った時は「多文化主義」への批判が出た。移民の文化に干渉しないという「寛容」の実態は、無関心と没交渉だった、だから狂信者の接近を見逃したのではないかという反省だ。
移民受け入れで先行してきた欧州の試練も、やはりストック面にある。日本政府はその負担を極力避けるため、外国人をいずれ帰国する「出稼ぎ」と位置づける。「移民政策はとらない」と繰り返す。フローの視点のみで乗り切ればよいという考えだろう。
だが、それは非人道的なばかりか非現実的だ。
英国で移民の境遇を調べた時、日本の非正規雇用の人と重なると感じた。将来が不安定で、家族とも暮らせない雇用の調整弁。日本は「移民は不要」といいながら同胞を「疑似移民」にしてきたのではないか。
日本人でも外国人でも、人を労働力としてだけ見て「使い捨て」する国は「選ばれる国」にはなれない
韓国に人が流れて、日本は来なくなるか、というと、世界に大きな経済格差がある限り、人の流れは止められない。
欧米の例をみると、 家族を含めた移民の定住は不可避。法を網を抜けくぐっても、定住しようとする人はでてくる。
定住を前提に、上限を決めて、日本語ができる優秀な人材を募り、また、ポイント制などで、優秀な人に定住してもらう制度を作ったほうがうまくいくと思う。
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