Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

野村不動産レジデンシャル(3240)

2009年09月08日 | 国内上場REIT
               図 野村不動産レジデンシャルの特徴


 東京圏を中心とするレジデンシャル物件に投資するREITでスポンサーは野村
不動産。ポートフォリオは139物件1214億円、東京圏が85.8%、平均築年数7.2年、
上位10物件の集中度が21.2%。規模の割には分散がきいており、比較的小粒な
REITという印象。東京圏に集中しているのも特徴。また物件は役から5分以内の
物件が49.6%、10分以内が91.5%となっており、レジデンシャルとしてアピール
できる駅近物件が多い。バランスシートを見てみると有利子負債729億円、LTV
は他のREITと比較的多い56%となっており、負債の平均残存年数は2.8年、加重
平均金利は1.57%となっており、レバレッジが効いている割には調達コストが
安い。これは格付けが良いことからきており、JCRでAA、Moody'sでA2、S&PでA+
といずれも高格付けになっているのが理由。

(前期決算)
            


 決算は順調だ。他の中堅REITと異なり順調に物件取得を進めており、前期、前々
期に取得物件のフル稼働により営業収益は181百万円の増加、営業費用も増加し
たが、トップラインの伸びにより3.1%の営業増益となった。但し、物件取得は
極度ローンによる融資により取得したことから金融コストの増加で経常利益は
1.6%の減益となった。これにより当期利益も減益となり減配だが、当初予想よ
りは上方修正となった。それにしてもディスクロ資料を見て思うのだが、なに
かいまいちディスクロが良いとは思えない。他のREITは自社のアピールに必死
でいろいろと工夫を凝らしているにもかかわらず、当法人の資料は最低限とい
うか、必要と思われる資料に関しては見易さ分かりやすさという点の配慮に欠
けているような気がする。投資家なめているのか。

 例えば鑑定評価に関しての情報が少ない。評価に用いたキャップレートや個々
の物件の情報が少ない。因みにポートフォリオ全体の鑑定評価は1135億円で、
帳簿価格1240億円との差は105億円の評価損となっており、評価損率は8.4%と
なっている。この数字も決算説明資料では簡単には分からず、決算短信とつき
合わせてみないと分からない。本当に投資家なめてないか野村。
いちおう、鑑定評価の低下要因としてキャッシュフローの低下で0.8億円、キャ
ップレートの上昇により52.4億円とあるが、個々の物件のキャップレートの前
の期と前期の状況が分からないので説明を検証できない。
やっぱなめてるだろう、野村。

(今期決算)



 今期決算は営業収益、営業利益で増収増益、経常利益で若干の減益を予想し
ている。前期取得物件からの変動がないことを前提に有利子負債に関しても特
段の変化がないことを予想前提としている。しかし、これも前提条件以外特に
説明もなく、例えば保有物件の変化がないという前提なら、前期の2月-3月に
30億円近く物件取得をして営業収益が3百万円しか増えない理由がよく分から
ない。本当になめているな野村。

(成長戦略)


 当法人が貧弱なディスクロの割には格付け機関から高い評価を得ているのは
謎だが、それを最大限利用して外部成長遂げており、高い株価を利用して環境
が整えばエクイティファイナンスも可能だろう。レジデンシャルなので戦略といって
もそれほど難しくない。リーシングさえ間違えなければ外部成長で分配金成長
は可能だ。しかしながらそれでも懸念材料はやはりある。それは既存物件の稼
働率低下だ。築年数が進むとそれに伴い当然稼働率が低下してくる。プライム
エリアにあってもそれは起こる。リーシング力が問われるが、物件ごとにみる
と80%台の物件も多くこれらの改善が必要だ。救いがあるとすれば139物件と
ポートフォリオの分散が効いていることでやはりREITならではのヘッジが効い
ている。

 とはいっても現状の時価総額では成長に時間がかかるのも確か、やはりここ
はMAなどによって一気に資産成長させるのが得策だろう。ジョイントリートな
どは対象となりえるだろう。後はディスクロなんとかしてくれ。

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コメント
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