KENSEI みえの会

会員間の連絡用ブログ

吟行と例会と、椿大神社(おおかみやしろ)で人心地

2014-07-05 17:22:24 | 月例会レポート

まさか吟行なんて!

落語の”長屋の花見”なら身の丈に合っている。

「6月を、よく雨が降るのに水無月とはこれいかに?」

「そりゃあ、天に水が無いってことなのよ」敏子さん。

「へえー!」はじめて知ったとおっさんたち。

 

梅雨曇とも、梅雨晴れともいえる空模様。

神韻とした参道を通って、わが健生みえの面々が

椿大神社(おおかみやしろ)の本殿前に寄ってきた。

伊藤敏正さんが、早速短冊を3枚渡してくれて、あっち

うろ、こっちうろ・・・

果たして句なんて、できるのだろうか?

「ほら、あそこに歩いていくお年寄り。ずっと本殿でお参り

していたのよ。句にしたいんだけど、なかなか・・・」

句作のベテランのつぶやき。

 

さて、所用で早めに帰った。

例会と句会の会場は中井宅。

出かけていくと、もう全員の句がコピーされてきた。お見事!

 

句会の醍醐味は、投稿句の中から、作者が明かされていない

5句を選んで、選んだ人が「どうしてその句を選んだか」、これを

出し合うことにある。

選んだ人は好きなことをいい、出尽くしたところで、「この作者は?」

と、名乗り出てもらう。

「ああー!」と、感動の瞬間。その人の何かに触れ得た感じ。

 

同じところを歩いて、句を作るんだから、題材は似通ってくる。

出来た句にたいしての感想や作者自身の気持ちや見ている

ところを聞くと、そんな世界におったのかと、世界が広がる。

一人では味わえない世界。

 

さて、句会の何作かを取り上げてみようかな。

 < 梅雨晴れに守り浄めしおうなあり >        康子

    「”おうな”って、おばあちゃんだよね」

    「守り浄めし、ってとこは、パートのおばちゃんじゃ、感じ

    られないだろうね。参道、きれいだったわ」

    「作者は?」「はい、康子です。おばあちゃんが、これで

    最後かなと掃いていたのよね」

 

 < 禊とて手水所(ちょうずどころ)の去りがたし >   敏子

    「”去りがたし”というところに、なんというか、その人の気持ちの

     襞が感じられて・・・」

    「作者は?わたしです。郡山さんが、かなえ滝のところでジッと

    見ている様子をみていたの」

    「郡山さん、よほど悪いことして、みそぎしてるんじゃないか・・」

    「郡山さんの気持ちも思ったし、自分の中も見ていた・・」

 

 < 神宿る森を見上げて我みそぎ >         鈴木

   この句には6点入っている。

   「森を見上げて、ってところ、伝わってくるものある」

   「鈴木さんらしい。絵になっている」

 

 <  木漏れ日が画く墨絵を梅雨砂利に  >    辻屋

   「情景が伝わってくる」

   「”木漏れる日が墨絵を画く”としたら、もっと鮮明になるかしら」

   「やあ、ぼくには梅雨砂利に画かれたものが、墨絵に見えて、

   印象的だった」


 

 <  梅雨晴れ間ゆっくり歩む宮の参道(みち)  > 余川

   この句は4点。

   「やさしいコトバで、やさしく表現しているけど、今回の吟行の

   真髄を味わいつくしている句だと思う」

   「歩む、と言う中に別世界を感じさせるものがある」

   「ゆっくり気持ちを充実させているような」

   「作者は?」「わしじゃが・・・」

   「へえー」

   「待ちに待ってやっと出来た句なんよ。これで、今回のぼくの

   句会は終わったといってもいいかな。ああ、たまには

   自慢させてほしいのよ」(大笑い)

 

  < 沁みわたる石に願いか石からパワーか >    友紀

    面白いもので、句の出来栄えとは別に、作者がどんな気持ちで

    いたのかに関心が集まる句というものがある。

    作者は、足利友紀さん。

   「おばあちゃんが石に手を当てて、願いごとを石に託しているのか、

   石からパワーをもらっているのか、石とおばあちゃんの世界に

   見とれていたの」

  

 < 猿田彦何処にいざなう我が日本 >         郡山

   道開きの神、猿田彦さん、戦争のできる国へ手をこまねいている

   うちに、なって行く。なんとかならんのか、この日本、自分自身。

  「季語がないから、俳句では出せないけど、時事の川柳としたら

  世に出せないかしら・・・」

 

 < 友と会いい願いも新たかなえ滝 >          大平

   「友って誰だろう」「まさか不倫では?」

   作者大平さん「いや、いや、しばらく病身でみんなに会っていなくて

   やっと会えた気持ちをうたったんだよ」

   「そうかなあ、かなえ滝だからなあ」

   ここから冗談続出。

   照子さんまで「それならそれで、いいわよ。おばあちゃんもいっしょに

   どうぞ」(大爆笑)

 

 < 神宿る木々のしずくや風涼し >           中井

   この句も6点句。

   「木々のしずくや、の”や”が効いている」

   「木々のしずくや、までは私でも詠えそうだけど、”風涼し”は

   意表をついていて、いい感じ」

   「さらっと詠っているようだけど、深いなあ」


こんなことでは、句会の雰囲気は伝えきれない。

「また吟行やりたい」という人が現れて、「嫌だ」という人も

いないから、またやることにあるかなあ。

余川さんが、東海道ウオークに情熱を傾けている。

吟行と東海道ウオークの合体も考えられる。

「まあ、いずれにしても9月になってからね」

”去りがたい”気持ちを残して、「またね!」