現在ではすっかり忘れられていますが、19世紀のイギリス・ヴィクトリア朝に青少年たちを熱狂させ、また震え上がらせた連続小説本が存在しました。その内容の「安っぽさ」ゆえに、その小説たちはペニー・ドレッドフルと呼ばれていました。これがパルプマガジンからペーパーバックへと連なる、幻想怪奇娯楽小説本の源流であります。
ワンショット(一話完結もの)はほとんどなく、大概は連載で購買者や貸本読者の人気が高ければ長期連載、なければ数話で打ち切りとなり、長い期間読者を引き留めておくために物語の統合性は二の次、とにかくスリリングな場面を作って次週も読んでもらうように仕向けました。それゆえにペニー・ドレッドフルの多くはスリル&ロマンス、胸躍る冒険やお涙頂戴の悲劇、超自然的な事件や人物など、考えうるだけのエッセンスをこれでもか!とばかりに散りばめられていました。しかし産業革命による大量生産で、書籍や雑誌が中低流層の人々にも安価で入手できるようになると、いつしか下世話で安っぽいペニー・ドレッドフルは下火になりその「役目」を終えたのでした。
ローズ・モーティマー、またはバレエ少女の復讐 表紙
バレエ少女の夢
ローズ・モーティマー、犯罪者である父親以外の親はなし―― は生業として舞台を選んだ。劇場支配人との面接を待っている間、彼女は眠りにつき、自分の将来の姿を夢見る
アベル・ブースがローズ・モーティマーを捕まえた
レルノ伯爵に連れ去られたローズ
鬼婆とその犠牲者
助けて!助けて!」怯えるバレエ少女は悲鳴をあげた
楽屋での殺人
森の中での運命の決闘
殺人鬼の襲撃
逮 捕
死体で発見される
真夜中の外出
犯 罪
誘 拐
墓穴を堀る
クララと荒くれ者たち
サーカスでの異様な光景
喪失者
放蕩者の死
毒殺事件
本物の悲劇
掃いて捨てるほどの犠牲者
嫁を売る
死体泥棒たち
司祭殺人事件
ローズは呉服屋を驚かせる