近くのシネコンがメンズデーで1000円という料金だったので、この際に観たいものを観ておこうと思い、ウォシャウスキー兄弟の最新作『スピード・レーサー』(08)を選んだ。
もはや語りつくされた事だが、この作品は日本のアニメ『マッハGOGOGO』が原作となっている。吉田竜夫のアメリカン・コミック調の作風が違和感なく外国人キャストに移植されている。アニメに似た顔のキャストを選んでいたそうなのだがこのソックリぶりは驚きと同時に「よくそこまでしてくれた!」と感動を与えてくれる。
映画のほとんどがCGで描かれていて本当に実写映画として成立するのかという心配事が映画を観る前にあった。キャストだけ人間使うんだったらいっそのことオール・アニメーションにしちゃった方が良くなかろうか?と。観た結果はそのスタイルには未だ違和感は残るものの、オール・セットで製作したらこれ以上予算掛かるんだろうなぁと納得し
「ま、これはこれで良しとしましょう」
という結論が出た。大作映画の短期間製作・コスト削減にはこのスタイルが今後映画制作のスタンダートになるのであろうか?
この映画で感心したのは映画全体を覆う極彩色である。普段の生活では絶対目にすることの無いであろう人工的なカラーリングはちょうどアメリカのキャンディや風船ガムの人工着色料のカラーを思い起こさせる。これは
「この映画はリアルではなく夢にあふれたファンタジーですよ」
と我々に画面から訴えかけているようだ。これが日本だと変にリアル志向に走ってしまい原作や映画自体の世界観を台無しにしてしまう事が殆どだ。同じタツノコプロアニメが原作の『CASSHERN』を思い出してもらえば分かるだろう。
次にこれが一番大事なことなのだが、ウォシャウスキー兄弟が原作アニメに多大なリスペクトを込めこの作品を制作しているって事だ。他の国の人はどう思うかわからないけど日本人の我々としては
「大事に、そして丁寧に製作してくれて有難う」
と感謝しなければならないだろう。そして、偉大なクリエーター・吉田竜夫がこの国で生まれた事も。エンドロールで《原作:吉田竜夫 『マッハGOGOGO』より》の文字が出たとき本気でそう思った。
他の国ではこの映画の主題歌で、サビの部分は英語の主題歌(つまり『スピード・レーサー』)が流れる中、わが国だけあの『マッハGOGOGO』が流れる配慮に感謝!
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