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HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

トルコ映画でGO!② 『THE DEATHLESS DEVIL』

2005年12月16日 | 非ハリウッド娯楽映画
 第2回目はちょっとSFテイストが入った現代もののヒーロー活劇である『THE DEATHLESS DEVIL』だ。

 ある軍事的発明をした天才科学者を誘拐して世界征服を企てているその名通りの悪い奴・Dr.サタンの魔の手から守るため黄金のマスクで素性を隠して活躍する主人公の闘いを描いたこの作品、まるでアメリカ製のかつての連続活劇のように山場が数分に一度あり、ピンチとチャンスが交互にやってくるのだ。これは今作に限らず、トルコ娯楽映画すべてに共通する作法らしい。この作品が収録されているDVDに特典映像として入っているトルコ娯楽映画についてのドキュメンタリーでトルコの映画制作者が「アメリカの30~40年代の連続活劇に影響を受けた」みたいな事を言っていた(すいませんね、英語が完全に理解できなくて…)。そういえば普通のアクション映画だと見せ場と見せ場の間に、普通のドラマ場面を入れて緩急をつけるのであるが、トルコ娯楽映画だと多少はあるが、ず~っとテンション高いまんまで映画が進むので、その作品に乗れればこれほど楽しいものはないが、乗りそこなうとかなりツライと思う(って書くと底が見えちゃうな、こりゃ)。
 
 この映画で感心したのは主人公のアクションだ。同時期のアメリカ映画(やテレビシリーズ)の殺陣といえば、昔からのボクシングスタイル一辺倒なのに対し、トルコ娯楽映画のヒーローたちは、すでにバック転などの軽業的な動きを随所に見せ、キック技を用いるという香港スタイルを、この70年代初頭の時期ですでにやっていたのは注目に値するだろう。日本では『仮面ライダー』(71)でようやくこのスタイルが一般的になってきた頃である。面白いと思ったモノはすぐ自分たちの映画に取り入れる。これがトルコ娯楽映画のいい所であり、我々トルコ娯楽映画ウォッチャーの面白い!と思う所なのである。

トルコ娯楽映画でGO!① 『TARKAN VS THE VIKINGS』

2005年12月04日 | 非ハリウッド娯楽映画
 おまたせしました。娯楽映画の最終到達点・トルコ映画を紹介するこの《トルコ娯楽映画でGO!》、最初の紹介作品はコミックブック発のヒロイックファンタジー『TARKAN VS THE VIKINGS(原題:TAKAN VIKING KANI)』だ。

 略奪のため上陸してきたバイキングたちに、守っていた城の主やその一族を殺され、恋人を含む女性たちを連れていかれたターカンが、数々の災難に巻き込まれながらも恋人を取り戻し、バイキングたちを全滅させるまでを描いた史劇風アクション映画で、もう冒頭から《ゴッツい男にムチ打たれながら必死で船を漕がされる捕虜たち》という、どこかで観たようなシーンから始まり、間髪入れずにバイキングたちの大殺戮シ-ンが展開され、主人公・ターカンは否応なく復讐の旅に出ることとなる… ストーリーの進行スピードがムチャムチャ速いのだ、この作品に限らずトルコ娯楽映画は。
 1秒でも退屈なシーンを入れると観客が退屈してしまう事を知ってますなぁ、トルコの映画製作者も。観客が観たいだろうと思うシーンを存分に挿入して、まるで洋食メニューのトルコライス状態だ。血しぶき飛び散るアクションあり、ヒーロー&ヒロインのロマンスあり、美女たちの拷問シーンあり、挙句の果てに怪物まで出しちゃう、もう「持ってけドロボー」的サービス精神である。堅物な映画ファンは絶対拒否反応起こしちゃうよな、絶対。私たちのようなエクスプロテーション映画好きには愛すべき作品なんだけどね…
  
 こんな面白い『TARKAN VS THE VIKINGS』なんだけど、ターカン役の俳優はチト貧弱な身体つきをしているのはどうも許せん。シュワルツェネガーとまでは言わんが、もう少しボリュームがある肉体の持ち主がやった方が説得力あるんじゃないか?でも女性に翻弄され続けるキャラクターならこのままでもいいか。個人的には(無断使用ではあるが)マカロニウェスタンのサントラがヒロイックファンタジーにも合うってことが発見だった。

トルコ娯楽映画でGO! ~プロローグ~

2005年11月18日 | 非ハリウッド娯楽映画
 トルコ娯楽映画…それは世界の娯楽映画における最終到達点 、だと思う。いくら70~80年代の香港映画が有名映画のパクリが多いの何だのって言ったって、誰でも知っているキャラクターやサントラを無断でを使用し、場合によっては元ネタの場面ごと使用してしまうこの無政府状態、良識ある映画ファンなら怒り狂ってしまうこと間違いなし!私ですら「えっ、いいの?」と思ったくらいだからその無法ぶりは察するところだろう。ただ、知的所有権やら著作権などを考慮せず鑑賞すればこれほど面白い映画はない。規制がない分映画作りが自由奔放なのだ。しいて言えば好きなキャラクターを使ってオリジナルストーリーで動かしている同人誌に似ているかもしれない。多額の資金を使い、たくさんの人数にお金を使わせて観させる映画のほうが罪は大きいけど。

 その無法っぷりに世界のコアな娯楽映画ファンは狂喜し、彼らが作ったブートレクのビデオがマニア界隈で出回っていたのだが、この度マニア御用達のMONDO MACABRO 社から英語圏では初めてであろうDVDソフトが発売された。悪い画質で観ていた私からしてみると今回のDVDは非常に画がきれいで(といってもオリジナルのネガから起こしたわけではないので、作品によっては多少の退色はあるが些細な問題だ)、しかも英語字幕がついているので非常にありがたい。完全に英語を解かっているわけじゃないけど、読んで多少理解できる言語の字幕があるのとないのでは、作品の印象に大きな差がある。たとえ英文が5%くらいしか解らなくても。問題の中身だが、これはおいおい紹介していこうと思う。今回はトルコ娯楽映画のDVDが入手できた喜びだけで書いてます。これ。

超貴重!カンボジアの怪奇映画『Snake Girl』

2005年10月21日 | 非ハリウッド娯楽映画
 およそ映画なんてないだろう、と思っていた地域で製作された映画を観ることができた時は、なんだか自分がトレジャーハンターにでもなった気分になる。それが娯楽映画のジャンルであればなおさらだ。今回、以前にタイのオンラインショップ・Thai Net Cityに掲載されていて、ずっと気になっていた映画を入手することができたのでここで紹介したいと思う。

 映画のタイトルは『NG GENG GONG』、蛇女を扱った怪奇映画だ。まぁ別にタイ映画で蛇女を扱う映画なんて珍しくも無いのだが、実はこれ、カンボジア製作の怪奇映画だったのだ。四方田犬彦・著の『アジア映画の大衆的想像力』(青土社)にリメイク版の紹介がなされていて、オリジナルがあるのなら是非観てみたいなぁと思っていたのだ。私は面白いことを期待ししつつ早速観賞してみた。
 
 結果は"まぁまぁ"で、全体的には怪奇映画というよりは、人間の女性と蛇との交いで生まれた頭がメドゥーサ状態の少女と、その母親を追い出した大富豪のイジワル妻の息子との間で生じる恋愛模様を描いた『ロミオとジュリエット』風メロドラマだったのだ。せっかく怪奇な姿をしてるんだから何かしてくれれば面白かったのに。しかし、ラスト近くで霊媒師たちに殺されかかったとき、彼女を守るため何十匹という蛇が現れる場面は痛快だった。現場は大変だっただろうなぁ…
 この映画、蛇少女よりも怖いのは彼女を殺そうとする霊媒師たちだった。儀式のシーンで自分の頬に長い串を突き刺したり、舌をナイフで傷つけたり、生きたウサギの首を特撮でなく本当にハネてみたりと、こっちの方が怪奇じゃないか!とツッコミの一つでも入れたくなる。

 あとでリメイク版はどうなっているんだろう?と調べてみたら、こちらはさすが2001年製作らしくCGなんかを使って今風の映画になっているようだ。今度はリメイク版でも探して観てみようかな…?