ぷちりぽ.無人野菜売り場の市場価格
我が家の近くのかなり広めの土地で、結構本格的に野菜を作っている方がいます。昨年ぐらいからここで、野菜や果物を無人で売り始めました。「野菜あります」といったのぼりを立てて、ナスや玉葱をはじめとした野菜や、イチジクや柿といった果物です。
先日正午ぐらいの時間にふと見ると、「スイカあります」ののぼりが目に留まりました。敷地の中の棚を見ると、3つのスイカが置いてあります。大きめのは900円、少し小さめのは800円の値が付けられていました。
「うーん、どうかな?」旨そうな色合いでしたが、ぼくは買いませんでした。理由は2つです。1つは、仮に買うとしても無人でお釣りを貰えないため、900円なり800円のちょうどの小銭がないと買えない。2つめは、近所のスパーの特売で1,000円弱で売っていたことがある記憶があり、とりわけ安いわけではない、という印象です。帰宅してカミさんにこの説明をすると、カミさんも2つ目の理由に同感とのコメントでした。
同じ日の夕方、また通りがかりに見ると、スイカは3つとも売れずにそのままあった。昨年秋の柿などは午前中のうちになくなっていたから、おそらく近所の人達みんなが、ぼくらと同じ印象を抱いたからではないでしょうか?
それから1週間ほど経った昨日昼頃敷地に目をやると、500円の値札をつけたスイカが1つ、棚に置かれれていました。大きさは先週800円のと同じぐらい。「これは買いだな」とぼくは、お財布から500円を出して支払い用ケースに投入し、家まで持って帰った次第。おそらく近所の人達も、「買い」と思った最後の品だったと推測します。
このことを通じぼくはしみじみと、「マーケット」ということについて考えてしまいました。
売り手:苦労して育てたスイカ/スイカありますののぼりも買った/せめて千円弱の値で売れたら
買い手:趣味で育てた物を売る無人野菜売場/甘いかどうか食べるまで不明/スーパーの特売より大分割安感がないとね
で結果は、近所の人達という少数の市場ながら買い手のwillが勝り、500円という市場価格に落ち着いた訳です。ここでは苗+肥料+労力=原価、という製造コストの問題は、鑑みられなかった訳ですね。
<今回のしみじみ>
無人野菜売場というマーケットではありますが、市場原理はなかなかに厳しい。