里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

水墨画「松島」 松尾芭蕉と松島

2022年11月29日 | 水墨画:風景他
画仙紙 半切1/3  

松島には何度も足を運んでいますが、正直なところ水墨画では描きにくく、避けて通りたいと言うのが本音。
とは言っても、松島は当県では最も知名度の高い観光地に違いありません。
松島のシンボルと言えば、やはり五大堂なので、それをモチーフに描いてみました。
松島の名は景勝地の代名詞として、おそらく大概の人が知っていることでしょう。
かの松尾芭蕉も心躍らせて当地を訪ねています。
古典音痴の小生にも奥の細道の序文は少し分ります。
「月日は百代の過客にして行かふ年も又旅人也・・・松島の月まづ心にかゝりて・・・」と、みちのく旅で目指した第一が松島だったことが窺えます。
松島の地では、中国の景勝地洞庭湖や西湖に勝るとも劣らない扶桑第一の絶景と称賛しています。
しかし、芭蕉は松島では句を残していません。詠んだのは同行した弟子の曾良だけです。
隣県の名所では代表的名句をいくつか残しているので、甚だ残念なことでした。
あまりの絶景に句では表現できぬほど感動したというのですが、真実はどうなのでしょう。
小生が勝手に思うには、ひねり出そうと相当頑張ったが満足できる句が出なかったと言うことではないか。
目指した松島で詠むなら名句でなければならず、万が一駄作と評されるようなら芭蕉のプライドが許さないでしょう。
後年、「松島やああ松島や松島や」の句があたかも芭蕉作のように流布されましたが、そんなことがあろうはずもありません。