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里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

干し柿づくり'21~硫黄燻蒸と吊し方

2021年11月18日 | 干し柿づくり

前日の皮剥きに続く一連の作業。
皮を剥いた柿をひもに通して硫黄燻蒸し、そして吊します。
本来なら皮剥きからここまでの作業は一気に終わらせるべきものです。
今回は助っ人が二人。正味半日で楽勝です。
まずは道具のチェックから。
プラスチックパイプの枠。
硫黄燻蒸の際に柿を吊すためのもの。かなり前に市販の塩ビパイプで手作りしました。


柿をひもに通す時に並べる道具。竹を割って手作りしたもの。
柿の大きさに合せて3種類あります。


枠を覆って密閉するためのブルーシートと硫黄燻蒸するための硫黄粉。


柿を通し吊すひも。普通の干し柿用ビニールひもです。


昔は1本のひもに20個を通すのが標準でした。
今、プロの生産者は1本に10個が標準のようです。
我が家では大きさに合わせ12~20個にしています。
剥いた柿を運び込んで作業開始。


並べてひもに通します。特大玉では12個でもかなり重い。


ひもに通した後は硫黄燻蒸用のパイプ枠に吊します。


全部で昨年と全く同じ30連でした。このくらいだと枠にちょうどです。
平均すれば1連あたり15、6個で、昨年とほぼ同じくらいとなりました。
次は硫黄燻蒸。
硫黄燻蒸は、カビを防ぎ、仕上がりを綺麗にするためのものです。
我が家では贈答用にもするので必須。硫黄燻蒸しないと酸化して黒い干し柿になってしまいます。
硫黄はすぐに空中に拡散し無害となるので心配は無用。
我が家の硫黄燻蒸は、パイプ枠の中に柿を吊し、ブルーシートで覆って行います。
枠に吊す前に、囲う態勢を万端整えておくことが大事です。
昔は専用の木箱を使っていました。
少量ならコンテナに入れてやることも可能。要は密閉出来ればオーケーです。
準備が出来たら硫黄燻蒸開始。


我が家では、小さな鍋に炭火をおこし、硫黄粉を燻しています。
硫黄粉の目安は容積1㎥当たり15~30g。
入り口だけ少し開けておいて、炭火に硫黄粉を投入し素早く密閉します。
休憩しながら1時間余り放置しました。30分程度すれば大丈夫とされます。
シートを解放。硫黄粉は完全に燃えていました。


硫黄燻蒸終了です。


皮を剥いた後一晩置いたので、酸化し表面が僅かに黒ずんでいました。
硫黄燻蒸すると漂白効果で、すっかり綺麗になります。


最後に吊します。
今年は特大玉の10連を横吊りにしました。


今、プロ生産者は横吊りが大半です。
我が家では専ら縦吊りでしたが、昨年少しだけ横吊りにしてみました。
スペースの関係で全部は出来ませんが、今年は少し増やしました。


これだけの大玉なら贈答には最適です。ただし上手く干せればです。
特大玉は上手に干すのがプロでも難しいと言います。
あとの20連は従来からの縦吊りです。


この方法は柿が縄に密着するので、縄に食い込みやすく玉回しの作業が必要です。


400数十個はあるので、これで十分。
今年は少し気温が高いのが気がかりなところ。
少しの間、気温が下がり乾いた風が吹いてくれれば有り難い。


干し柿づくり'21~皮の剥き方

2021年11月17日 | 干し柿づくり

今年の干し柿づくりがスタートします。
気温が少し高いのが気になりますが、柿の方は成熟しています。
今年は小生の皮の剥き方を記録に留めておきたいと思います。
今年の干し柿用の蜂屋柿は不作ですが、必要な数は確保できました。
これが、数日前助っ人が収穫してくれたもの。


段ボールで7箱と昨年と余り変わりません。
最低300個確保できればと思いましたが、500個近くありそうです。
成りが悪い分全般に大玉で、特大玉もかなりあります。


ただし、例年あまり穫らない木の分2箱はかなり小玉。


これほどの違いがあります。


皮剥きは穫ってすぐより数日おいた方が剥きやすく綺麗に仕上がります。
皮剥きに使う道具は例年どおりこれ。


文化財級の代物ながら、小生にとってこれに勝るものはありません。
6、70年経っている皮取り器(今風なら木製ピーラーか)とナイフで、出番は年に一度。
柿渋によって黒光りしていますが、汚れているわけではありません。
柿渋の効果で錆も殆ど付かないので、使用前ほんの軽く研ぐだけです。
今、プロの生産者は皮むき機を使用するので、人力は少なくなっているのかもしれません。
我々のように手作業の場合は2工程に分かれます。
柿を綺麗に早く剥くにはやはりコツがあります。
まずは肩回しという作業。


ヘタの部分にナイフを入れ、柿の軸のところにナイフの背をあてます。


軸をテコにして一回まわしヘタを取ります。


肩回しはナイフは動かさずに柿の方を回して剥くのがミソ。
さらに肩の部分を2回し、全部で3回しになります。


小さな柿は2回しでもオーケーですが、後の作業には3回しがやりやすい。


次に皮取りの作業。
利き手の右手は、皮取り器を親指と人差し指で鉛筆を持つようにして持ちます。
中指、薬指、小指を柿に添え、柿をテコにして動かします。
ここでは右手で写真を撮るため、小さい柿を使い利き手でない左手で格好だけ。


手首を使い、左手に持った柿も動かしながら先端まで一気に剥きます。


途中で止まらないようにして、細く剥くと仕上がりが綺麗です。


これが皮剥きの一連のやり方です。


これは特大玉の柿。


今年は特大玉から小玉まであります。
本来は、皮剥きから吊すまで一連の作業を全て終わらせるべきものです。
しかし、今、我が家では2日がかりで一連の作業をするようにしています。
1日目はここまで。


午後から夜なべをして皮剥きまでの作業は全て終わりました。
小生は子供の頃にさんざん柿の皮を剥いています。昔は子供も有力な働き手でした。
通算すれば万の単位で剥いているでしょう。
長じて両親健在の頃は殆ど柿の皮剥きをした記憶がありません。
しかし、自転車と同じで長期のブランクがあっても何の問題もなく出来ます。


今年の干し柿用「蜂屋柿」は不作

2021年11月07日 | 干し柿づくり

干し柿用渋柿の「蜂屋柿」。
大分色付いてきましたが、成りが良くありません。
「蜂屋柿」のことを、この辺りでは通称「とやま(富山?)」。謂われは分りません。
昔、我が家には柿園があり、普通畑の周囲にも植えられていたので相当な本数ありました。
しかし、50年余り前に大半は伐採され、田んぼや畑に転換されました。
したがって、今残っているのは大概その一部です。
柿は隔年結果しやすいと言われます。
一昨年は沢山成り、昨年は余り成りませんでした。
ただし、昨年は悪いとは言えそれなりに成ったので必要な数は確保できました。
順番から言うと今年は成る年。表年に当たるはずですが、成りは悪い。
柿の木によっても成り方にはかなり差があります。
この木は例年隔年結果が軽度で、安定して成る木です。


今年は明らかに成りが悪い。
成っていない分大きいようです。


上の穫れないような所にだけ成っています。


こちらも数えるくらいしか成っていません。


こちらも同様。


やはり高い所にだけ成っています。
昔ならよじ登って穫りましたが、今は無理しません。


こちらは日当たりが悪く例年余り成らないので、殆ど穫ったことがありません。


ところが、今年は成っています。しかし、小さい。


こちらは自宅のすぐ近くにある木。
大きくならないよう切っているので、例年あまり期待していません。


昨年は成りませんでしたが、今年は結構成り、ほどほどに大きくなっています。
不作の今年にあっては、これでも貴重。


例年500個程度の干し柿を目安にしていますが、今年は到底無理。
贈答用のことを考慮し、300個くらいは確保したいところですが、どうでしょう。
今年は、どこのお宅も「蜂屋柿」は成っていないと言います。
甘柿は大豊作だったのにどういうことか。春の霜害なのか、何れ天候と関係があることは確か。
近隣では10月上旬の異常高温時に落下した果実も相当あるようです。
この柿の木はアルコール脱渋に向く渋柿「平核無」。


昨年は全く成りませんでした。
今年は成っています。
間もなく収穫し、脱渋します。


プロの生産者は剪定や摘果などしっかりと管理するので、不作時でもそれなりの収穫量を確保します。
我が家のように大きな枝を整理する程度の半放任では不安定なのは当然かもしれません。


干し柿づくり'20~今年の干し柿は軟らかい

2021年03月09日 | 干し柿づくり

干し柿は、ころ柿の完成とした年末から2ヵ月以上過ぎました。
干し始めからは100日以上経っています。
1月半ばくらいからポリ袋に入れて保管しました。


逐次取り出して食し、また一部は冷蔵庫に入れ替えて保管してきました。
最後に2袋残ったものを助っ人と分け、これが残りました。
この後は冷蔵庫で保管しながら食します。


茶菓子としてテーブルに置いてあるものから1個取ってみます。


ボリュームは十分。すっかり白粉が回りました。
今年の干し柿はまだ軟らかく、手で裂けます。
大玉且つ保管が上手くいったようで硬くなっていません。


昨年は小玉だったため、今頃にはかなり硬くなり手で裂くのは難しくなっていました。中身はねっとりしたヨウカン状。ここ1ヵ月ほどほとんど変わりません。
これはタッパーに入れ冷蔵庫で保管しているもの。


あんぽ柿の状態でタッパーに入れ冷蔵庫で保管しました。
大玉です。あんぽ柿の柔らかさのままあまり変っていません。白粉は自然に多くなった感じです。


年末のころ柿完成時にタッパーに入れ冷蔵庫に保管した小玉の干し柿は全て消費しました。
こちらは1月半ばに、ポリ袋からタッパーに移したもの。


タッパーに入れ冷蔵庫に保管すればその時の状態が長く保たれます。
好みの干し柿を容易に保存できます。むしろ湿気が戻りやすく注意が必要です。
こちらは冷凍保存しているもの。ちょと出してみました。
これはあんぽ柿の状態で冷凍。


これは白粉が出たころ柿を冷凍。
冷凍すれば好みの状態でより確実に長く保管できます。


ところで、数日前スーパーに立ち寄った際、偶然にも福島県伊達産のあんぽ柿が並んでいました。ちょっと失礼して撮らせてもらいました。


やや小振りのあんぽ柿ですが、白粉が出ない状態でこの時期までどのようにして保管しているのかぜひ知りたいところです。


干し柿づくり'20~白粉が綺麗に回った

2021年02月03日 | 干し柿づくり

干し柿は、ころ柿の完成とした年末から1ヵ月余り。
干し始めからは約2ヵ月半が経過しています。
年末から縄に着けたまま紙袋に入れ保管していました。
逐次取り出し、食しています。
そして、今はポリ袋に入れて保管しています。


助っ人が、湿気の戻り具合を見ながら半月ほど前に、縄から外し入れ替えました。
昨年より量が少ないので、このような方法になりました。
大、中、小に分けたようですが、小は一つだけです。


1袋が縄1連なので約100個といったところ。
今年は昨年より数は大分少ないものの質はずっと上。
開けてみると、干し柿全体に白粉が吹いています。


昨年は今頃大分硬くなっていましたが、今年は柔らかい。
大玉のため、小玉だった昨年と比べると乾燥の進みがゆっくりで、硬くなりにくいようです。


白粉の出具合も昨年の今頃は乾燥が進み真っ白になっていましたが、今年はそこまでにはなっていません。
こちらは、すでにタッパーに入れ冷蔵庫で保管しているものです。


あんぽ柿の状態でタッパーに入れ冷蔵庫で保管したもの。あんぽ柿の柔らかさのままで全体に白粉が回りました。
大玉でボリューム満点です。


これは小玉のものを、年末ころ柿の完成時にタッパーに入れたもの。
小玉だけに白粉の量が多く、他よりも硬めです。


タッパーは密閉度が高く、加えて冷蔵庫に保管すればより好みの状態が長く保たれます。
ただ、今年はタッパーや冷蔵庫でなくても、あまり変らないようです。
湿気の戻りには気をつける必要があるかもしれません。
冷凍すれば好みの状態で長期に変らず保管できます。
家人はあんぽ柿を冷凍しており、さらに、現在ポリ袋に入っているものもいくつか冷凍にするらしい。
これは茶菓子としてテーブルに置いてある干し柿。


昨年より格段に大きい。
1個取ってみます。


ボリュームがあります。白粉も綺麗に回っています。
裂いてみます。
適度の軟らかさで、手で楽に裂けます。


中身はねっとりしたヨウカン状。このくらいが一番の好みです。
干し柿は自然の甘味。まだしばらく楽しめます。