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川天使空間

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『キミョウな人(?)たち』 森川成美・作 ふすい・絵 国土社

2022年08月31日 05時02分19秒 | 創作・本の紹介
「パステルショートストーリー」のVioletは、森川成美さま。
キミョウな人(?)、っていうタイトルだけでそそられる。

 あなたのとなりにいるのは、
 あなたが思ったとおりの、人?
 もしかして、もしかして……

冒頭のこの言葉が、やっぱりいい(ラストの5行もいいし)。

1「中の人などいない」
  「ゆるゆるキャラクターコンテスト会場」にやってきたのは、球体モフモフの「ゆるゆるさん」。
  「このままでは飢え死にだ」とコンテストに参加。
  ゆるゆるさんが真面目に答えるほど笑いと取れるのがすばらしく、
  哀愁も感じられてすてき。

2「ぼくがしたかったこと」
  ゲーム実況動画がヒットして、十二歳で長者番付にのったぼく。
  お金を使うために宇宙旅行に行ったら、えっ、ぼくの星って……。
  科学的根拠もしっかりしているから、背中がぞくぞくっとして。

3「単身赴任」
  地球の裏側より遠いところにいるサチのお父さん。
  毎晩お母さんとビデオ通話しているんだけど、お父さんは常識を知らなさすぎ。
  いったいお父さんはどこにいる人……。

4「おかしなふたり」
  とつぜんふたりの会話がはじまって、彼らは妖怪で、
  崖から飛びこもうとする人間を助けようとして……。
 「人間はさー、たった百年くらいしか生きられないのにサー
  なんでさー、自分で死にたがるんだろう」って真実だな。

5「家庭の事情」
  見たくないけれど友だちが行くので評判の映画「魔女の結婚」を仕方なく見に行く魔衣。
  お母さんは「しょせん、うそばっかりだろうけどね」と言う。
  だって魔女は結婚しないってことは魔衣の家を見れば……。
  うふふと笑えて、いいなこれ。

6「どこかで……」
  最近おかしい。失業中なのに行くつもりのないところに行ったり、
  買うつもりのないものを買ったり、買ったのにお金が増えていたり。
  だれかわからない人の言うとおりに体が動いてしまうのだ。
  自由にならないで、やらされている感じ。
  抵抗してみたら……。 おお、クール。

あいかわらずの森川さまの、なめらかな文体。
さっと読めるけれど、そのあと、いろいろ考えてしまう。
頭の中身をゆさぶるこんなショートストーリーを紡がれるのはさすが。

森川さま、ますますのご活躍を!

「不思議」に惹かれる自分は、この本にガツンとやられた。
いいなあ、こういう本、書いてみたいな。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)