水瓶

ファンタジーや日々のこと

さあ、気ちがいになりなさい

2016-10-27 21:04:09 | 雑記
いいタイトルだなあと思ったら、星新一の訳だったのか。Come and Go Mad。

フレドリック・ブラウンといえば、昔は文庫でいっぱい出てて、久しぶりに読みたいなあと探してみたら、軒並み絶版。
たぶん、星新一のエッセイで知ったんだったかな?
クリスティーとかの外国の小説を初めて読み始めたのと同じ頃で、最初は英米文化に慣れず、戸惑ったのを憶えています。
一番よく憶えてて、読み直してもやっぱりいいなと思ったのが「みどりの星へ」。
昔読んだ時には「宇宙をぼくの手の上に」という短編集に入っていて、とても悲しい話なんですが、
なぜかとても好きで、ブラウンを読まなくなって大分たっても、この話だけはおりおり思い出すことがありました。
ほかでは星新一の「妖精配給会社」、これもなぜ何度も繰り返し読むのか自分でもわからない。
でもそういう短編てありませんか?

ブラッドベリの自選短編集「万華鏡」も読んだけれど、この頃の小説いいなあ。
ロック以前のアメリカがなかなかいいんです。そういえばマーロウもそんな感じだったな。。
あと私レベルだと、やっぱりコンピューターが一般に普及する以前のSFの方がわかりやすいです。
AIじゃなくて「ロボット」だった時代。せいぜいクラークぐらいまで。
P・K・ディックもものによってはかなり読むのが大変になってしまう。
そして短編、長くても中編。前にもちょっと書いたけれど、パルプマガジン向けみたいなのがいい。



パルプマガジンのwikiが面白いんですけれど、表紙によく使われた絵として象徴的なのが
「ヒーローの助けを待つ、危機に陥った半裸の女性」!
半裸の美女は、私はまあそれほど興味はないけれど、いわんとすることはわかりますでしょうか。
お色気あり猟奇あり、チープトリックで時にセンチメンタル。安価で大量に刷られる通俗的な本。
でも自分がすごく面白いと思う小説には、どこかそういう所がある気がする。。
何より「謎」が先へ先へとひっぱる力ってすごいですよね。あたりまえの気もするけど。
ラブクラフトも、ろくに原稿料ももらえないながらも安っぽいパルプマガジンに書いてたそうで、
そう、そうなんだよ。あんまり高尚な小説じゃないんです。

パルプマガジンはテレビの出現であっという間にすたれてしまったそうですが、今それに近いものを探すと、
日本の週刊や月刊のマンガ雑誌かなあと思います。
パルプマガジンの頃にも、だんだん挿絵が増えていったとありますし、なんかこう当然の流れのような。
今まであまり考えたことなかったけれど、ああいうマンガ雑誌は、
何人もの人の作品が読めるというのがすごくポイントなんだと思います。
新しいマンガ家を知るのにうってつけなんですよね。
お目当ての人のを読んでしまった後に、昔は他に娯楽も少なかったので、すみずみまで目を通していたから、
自然と知らない人のや、つまんないと思うのでも読んでて、それがだんだんと面白いと思うようになったりして。
これからまた電子化の波で、どう変わってゆくのかわからないけど。

でも、電子書籍ができてよかったことの一つには、以前には本を入手するどころか、
知ることもできなかったような人の本が読めるようになったこと。
出版にいたるまでのフットワークが紙の本よりだいぶ軽いのかな?
この間も書いた田辺剛さんて人のラブクラフト原作のマンガもそうだし、
この小田桐圭介さんという人のマンガは電子書籍でしか出てませんが、とても気に入って。
短編集だし、今どきのアニメが好きな人向けの絵でもないし、こういう本が読めるようになったのは本当によかった。
「ヒュールルルーのガーガーガー」、これもなぜ好きなのかわからないけど、おりおり思い出しそうな話です。

(※中ほどの写真は清水真理さんという方の人形です。ちょっとぎょっとするような、独特の世界がありますね。)


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