水瓶

ファンタジーや日々のこと

年末は第三で

2016-12-29 08:28:40 | 雑記
とうとう全部見られるぞ!と楽しみにしていた「第三の男」をついに昨日見ました。

ほんとにすごい超名画だ!!!

さすが色んな映画ベストテンの常連だけのことはあります。そして途中で思いました。

あっ、、「長いお別れ」……

たぶんメインテーマが「長いお別れ」と共通してるんですよね。
でもこのテーマの作品て、映画でも小説でもマンガでもけして少なくないと思うけど、この二つは抜きん出てる気がする。
どっちも話が進むにつれ、テーマがはっきりと浮き彫りになってくる感じ。
「第三の男」のシナリオはグレアム・グリーン、「長いお別れ」はチャンドラー、
そういえばこの二人って小説の雰囲気もちょっと似てますよね。
あと「寒い国から帰って来たスパイ」のカレとか、ロアルド・ダールも同じ系統だと思うけれど、
みんな第二次世界大戦を間に挟むような時代を生きた人たちで、何かそういう時代のかもし出す雰囲気があるんでしょうか。
自分が読んだ時期が近いせいもあって、この四人混同しそうになるんですが、
ことに女性関係で相当ひどい目にあったんじゃないかと思われるような小説書いてんのがダールですよね。
まあなんかみんなたいがいな感じはするけど。

「第三の男」、ウィーンのいちいちすごくいい場所を舞台に選んでて、映像もすばらしく美しく、
モノクロ映画なのにカラーに遜色なく、こういうストーリーにあの軽やかでコミカルな音楽合わせるセンスといい、
色んな面でものすごく楽しんで見られる、なんてサービス・エンターテイメント精神の旺盛な映画かと思います。
あと、主演だけでなく、脇を固める俳優ひとりひとりの顔にすごく味があって、
ひとくせふたくせありそうな顔見てるだけでも面白く、きっと俳優の顔もあの時代の顔なんですよね。
このシナリオを今の時代に、お金かけていいスタッフや俳優使って作ったとしても、多分ここまでの傑作にはならなくて、
あの時代に、あの時代を生きた人たちで作ったからこその名画なんじゃなかろうか。1949年。
だからきっと、今の時代の名画はまた違うタイプのものになるんでしょうね。
しかしあの帽子かっこいいですね。あのタイプの帽子かぶってるだけで二割増男前になるぞ。

話かわって井上靖の「私の西域紀行」ですが、これと「地球の歩き方」とシルクロード歴史地図と、
あとネットで検索して画像調べることもできるし、ほんとに楽しく遊べていいです。
なんか昔よくやってたドラクエなんかのRPGと似た楽しさがあるんですよね。
井上靖なので、漢の武将・霍去病(かくきょへい・病気の名前ではない)や、班超の話とかも出て来て、それも面白いけれど、
基本的には都市に重点が置かれた都市の物語が楽しめる感じ。
ちなみに霍去病は匈奴との六度の戦いで勝利を上げた漢の武帝お気に入りの名将だったそうですが、24才で死んでんですよ。
二千年前は人生の密度が違うよ。。ジェームス・ディーンみたいなやつだよ。
でも班超の話を聞くと漢の武帝もたいがいひどい。たしか中島敦の「李陵」にも恐ろしい逸話があった気がする………。
まあ二千年前の大国の皇帝なんかひどいに決まってるけど。

今気になる地域は河西回廊(かせいかいろう)。山脈に挟まれた狭い盆地のことを回廊と言うそうで、
酒泉から、漢の時代に西域との最前線であった敦煌までの道のりを河西回廊と呼ぶそうです。
この方のブログがとてもていねいでわかりやすく、写真も良いです。こういうブログはすごく貴重ですね。
井上靖の時代には、酒泉から敦煌まで五日かかったそうで、ほんとにすごい僻地だったようです。砂と風の都市。



                      


今年も得手勝手な書きっぱなしブログにおつきあいいただいてありがとうございました。
昨夜の地震では被害ありませんでしたか?ここへ来てまた震度6なんて、本当にいやですね。。
今年は日本も世界もひしひしとやばい感じしかしない一年でしたけれど、
個人的には新たな楽しみを見つけられて、悪くない年でした。
写真は平田郷陽の「小雀」。来年は酉年、てのひらの小さな雀を大事にね。どうぞよいお年をお迎えください。

おまけ:この第三の男のテーマでハイライトシーンの動画いいですよ。
うあー、ほんとに「第三の男」はDVD買って何度でも見たい。駅前のワゴンとかで500円ぐらいで売ってそうですよね。
ちゃらら〜ちゃららら〜ら♪ちゃっ ちゃらっちゃらっら ちゃ♪

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