日経新聞9月15日付朝刊の30面に経済教室という記事欄があり、好んで読んでいる。今回エコノミックトレンドとして、4名の執筆者が月1回掲載することになっていて、第1回目は慶応大学教授の鶴光太郎氏が筆者となっている。テーマは、「技術革新は職を奪うか」についてである。ポイントは、長期的に労働者は不要になるとの警告も、人間と機械は補完的な役割も果たし得る、機械は答え出せても問い発する能力なし」の三点であった。
詳細については新聞を見て頂ければよい。このテーマについては、今後残る3回を読んでみなければ早計な事を申し上げるわけにはいかないが、自らの経験からすると、技術革新が、従来、構築されてきたパラダイムを急激に変換させ、新たなパラダイムが出現するかというと短期的には大きな変換はないであろう。産業革命がそうであったのと同じ経過を辿る可能性は高いが、一部の産業においては急激な変化が起こりえる。
教授がいう技術革新とは、オートメーション、ロボット、コンピュータ、人工知能をいい、これらを纏めて「新たな機械化」と呼んでいる。しかし、これらの技術革新は既に誕生してから相当の時間経過があり、その間に誕生当初とは異なる機能や速度、軽量化等がなされ、日々進化している。その意味ではテーマ自体は目新しいことではない。
職との関係は、当然あると考える方がよく、将来携わる職業の持つ質と雇用可能性は、変化するのは当然であり、職務範囲の拡大、縮小は避けられない。伝統的な産業であってもしかりで、技術は進展するし、新たな技術が常に生まれる。陳腐化した技術は忘れ去られ、あるいは博物館に陳列される。
将来の雇用可能性については、誰しも予想しがたい世界であるため、分野を狭めて考えなければならないが、現在のあらゆる産業で行われていることは基本的なベースであるため、近い将来に劇的に変わることは少ない。徐々に新たな技術は浸透するが、現在に比べ、新技術導入には経済的で、容易であり、品質が高められ、機能が高まる等のハードルがあり、それをクリアされて始めて導入されるものである。職域が狭まるなどの傾向を総てに当てはめて、不安をかき立てる論調は、何時の時代にもあるもので、机上の空論が多いことも確かである。今後のシリーズを読んで確認することにしたい。
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