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同一労働・同一賃金その2

2016年01月30日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 同一労働の定義は、我が国において、曖昧と言わざるを得ない。正規社員には、はっきりした職務記述書(ジョブディスクリプション)がないに等しい。ハンバーガーチェーンや、ファミリーレストランにおける、注文の受け答えは、マニュアル通りに行っているのであるが、この程度の職務には職務記述書を作ろうと思えば簡単にできるが、これは、単に基本的な応対に過ぎず、通常は多くのバリエーションが隠されているし、わが国では通用しないことも明らかである。

 

 通常事務分掌として記述されているのは、大まかなくくりであり、経理事務に関することや、対外折衝に関すること、部下の育成に関すること等で、事細かに記述することはない。我が国の教育レベルかもしれないが、どのような職種においても、仕事の内容を詳細かつ細分化しなくても、十分に理解し、実行できる民族であるからである。

 

 正規社員は、企業等へ採用後、職種や、職域を越えて、多くの経験をさせる。いわゆるジョブローテーションである。企業の中で総合職として育成される。現場採用であれば、専門領域を深めさせられ、いずれは部下の管理、総務、経理、対外関係等を経験させ、管理職への道が開けることになる。もちろん誰しもが同じ道をたどるわけではないが、多能工として経験させることは通常どの企業でも行ってきたことである。

 

 ここで話を戻すが、同一労働とは何を指して言うのであろうか、受付業務一つにとっても、マニュアルで片付く話ではない。ホテルには受付に座り、多様なお客に対し、あらゆる相談に乗るコンセルジュなる職務があり、これも受け付けの仕事である。我が国での職務は、ある時には社長の任務を代行することもあり、稟議書による業務方法は、全社的立場で作成され、欧米と異なるシステムとして定着している。

 

 言いたいことは同一労働などという定義は意味をなさないし、そのような定義があるとは思えない。あるとしたら、新入社員の試用期間に提示される基本的な事務や遵守事項、マナーぐらいしかないのであろう。仕事は己の持つ最大限の能力とともにあり、創意、工夫など、年功序列から脱却した今、個々人に差があるのは当然で、正規社員は総合職として複雑多岐な問題解決能力や、洞察力が求められていて、同期入社社員であっても人事考課によって差がつくのが当たり前の世界なのである。自分はこのことが将に、切磋琢磨を生む原動力であり、競争社会なのであると思う。賃金の差が生じることの方が正常な待遇と思えるが、いかがなものであろうか。



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