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スパイスの世界20フェンネル・セージ(2回シリーズその1)

2013年07月12日 00時00分01秒 | 緑陰随想


 【フェンネル】和名はういきょうという。桔梗類せり科、ういきょう属の多年草である。種子ではなく、乾燥した果実を香辛料に利用する。鱗茎である地下茎はサラダにも用いられる。

 スターアニスに似た樟脳の香りを持ち、香りの主成分はアネトールである。古くから歴史上に登場する薬草として中国、インド、エジプトなどで使われていたという記録がある。

 古くは目の障害に良く効く(視力強化)といわれたが、フェンネルを多用する国では眼鏡をかけている人が少ないため、我が国でも積極的に使えば眼鏡のお世話にならないかもしれない。薬用の効果もあり、健胃、腹痛などの漢方薬にも利用されている。中国の混合スパイスである五香粉(ウーシャンフェン)の成分の一つである。苦みは若干あるが、辛みは弱く、フランスでは魚のハーブとも呼ばれ魚料理には欠かせない。主として香り付けで、生ものの臭みを抑える賦香効果(矯臭効果)である。和食にはちょっと強すぎ、癖があり、なじみがない香りである。

 フェンネルは悪霊を払う力があると中性のヨーロッパ社会では信じられていたようである。薬草が邪気を払い、転じて霊力を持つものとして信じられることは自然の成り行きのように感じる。我が国でも正月に清酒や味醂に屠蘇散という漢方薬を入れてそのエキスとともに飲む(屠蘇)習慣がある。古の人々の知恵で、季節ごとに発生する流行性の病や体力増強や食欲増進、健康維持のために、湯に浮かべるゆずや菖蒲も同様に素材が持つ芳香性や抗菌作用を慣習として定着させたのであろう。地域によっては、山椒の木や月桂樹などは避ける家が多い。芳香性の強い樹木や草を玄関近くには植えないといったことも、邪気を家内へ入れないことが逆に人を招き入れないことへ通じ、失礼と考えたようである。
(次回へ続きます)


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