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合成の誤謬

2017年05月08日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 ○○改革といわれる考え方や方針にはメリットとデメリットが混在し、傍から見ると良い方向を示唆しているように見えるが、実は先行して解決すべき問題が存在し、その問題が解決できなければ砂上の楼閣であり、意味をなさなくなる。これを誤謬(間違えの意の漢語的表現)、またはパラドックスという。パラドックスとは、一見成り立つように思える言語表現などが、それ自体に矛盾した内容を含んでいて、論理的には成り立たないこと、またはその種の判断のことである。

 

 広義では「逆説」をさす場合もある。張り紙厳禁と書かれた張り紙、いくら力説しても、人間は本来、うそをつかないことはないが、自分は一度も嘘をついたことがないという人間など、周りを見ればこのパラドックスの存在は多くある。

 

 最近の紙上のコラムに、安倍政権が推す働き方改革に関する見出しに「働き方改革のパラドックス」と書かれた短文が掲載されていた。以前、このブログで取り上げたことがある同一労働同一賃金なども合成の誤謬に値すると指摘した。働き方改革が現状の長時間労働を是正する方向を打ち出したことは評価できるところがあるが、そもそも労働と賃金という関係は、突き詰めていくと労働の質と量をどのように測定し、判断するのかという解決が難しい境界問題に遭遇する。

 

 また、女性管理職の男性管理職との割合は、残念ながら先進国の中で我が国は低迷している。この是正措置は、女性の優遇を打ち出せば、男性からは差別発言が噴出する。同様に、正規社員と非正規社員の労働条件を同一視し、同一賃金を払うというのも、一種の誤謬が存在している。労働条件が同一ならば、という前提が矛盾を孕んでいるからである。

 

 さて、コラムの中で取り扱った内容に触れておこう。

 (以下引用)新聞社の調査によれば、働き方改革を実施した企業の従業員に対し消費したくなくなった人の割合が、もっと消費したくなったと考える人を大きく上回ったとのことであった。残業代が減った働き手は、まず消費を手控え、その積み重ねは景気にとって逆風となる。企業収益の好転と裏腹に個人消費の停滞が続くと日本経済にとっては皮肉な構図である。

 

 働き方改革に足を踏み入れた以上、後戻りはできない。真の意味で生産性を向上し、労働の参加率を高める取り組みが直ちに伴わないと、雇用慣行の転換も日本経済の再生もあぶはち取らずになる。(一部引用、以下省略)



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