5月24日付新聞紙上で紹介があった「ドボジョ 首都圏に来たれ」との見出しを読んだ。神奈川・首都圏経済という紙面である。背景となっているのは、2020年の東京五輪開催に伴う建設工事の準備作業が予定されていることと、土木業界は特に、高齢化による担い手不足が顕著で、その補充策として、女性にターゲットが向いているのである。一方、女性の活躍する社会を目指すことは、安倍首相がスローガンとして掲げているところである。
社会情勢の変化を突き詰めればどこかで雇用問題に触れざるを得ない。今まで、土木建築業界は、男性の職場として、従事者数はもとより、体力的に女性より勝る男性の職場として、男性が君臨してきているといえる。体力の優位性ばかりでなく、イメージは3K職種といわれ、危険を伴う分野である。時流からすれば、この分野にも大いに女性の参入が求められていることに意義があることは認めたいが、果たして今後どのように展開するか、興味をそそられるところである。
労働環境の改善が進めば女性の参入が望めないわけではないが、厚生労働省も古くから、建設業界の雇用改善について多額な予算を投入し、各種助成金制度を創設し、努力してきているが、残念ではあるが、顕著な改善は世の中の時流とはなっていない。そもそも、大手ゼネコンが受注し、末端の作業者には恩恵すら届かないという重層構造、平たく言えば、ピンハネ、つまり、孫請け、曾孫請けという受注行為自体が変わらないことによる弊害を持ち続けている。
建設労働災害による死亡事故、冬季の出稼ぎ労働、現場が常に変わるという必然性、自然災害に常にさらされるという作業環境、高所・高温・騒音・粉塵、落下物、大型建設機械操作、夜間の突貫工事等、どれをとっても、安全第一とはいえ、危険にさらされる作業環境は工場等の生産加工現場とは比較にならない厳しい状況にある。今後もチェック体制を維持し、研究を重ね、工法の改善、改良・改善できる部分は大いに改良・改善し、省力化、機械化、無人化を進めるべきと考えている。
そこで、ドボジョ、建設小町ともいうそうであるが、どのような部署で女子力を発揮してもらうのか、具体的な内容や関わり方を明らかにし、公表するべきであろう。ただ単に、現状の雇用環境下で、不足する人員の補充としての目的であれば、一過性に終わるし、将来を考えた時に、単なるパフォーマンスやご都合主義では、短期間で挫折することは明白である。
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