誰しも認めるところとして、成功体験の連続というわけにはいかない。成功体験を継続できることはできないこととの比較において、勝負では負ける、ものづくりではできない、知識では理解が不十分で、分からない等成功とはいえない事柄の方が多いのかもしれない。
そこで大切なことは、失敗やできない、分からないことが生じた場合の気持ちの持ち方であろう。
解決の糸口を探すことに気持ちの切り替えができればしめたものであるが、通常、失敗すると、失敗の原因を考えもせずに、諦めてしまう。これがまた次の失敗を誘い、その結果、ダメ人間を作ってしまうことである。再挑戦をするためには、やみくもに同じことを繰り返すと、負のスパイラルに落ち込んでしまい、出口が見えなくなってしまう。
誰しも何事においても、初めて挑戦することは、失敗のリスクをすでに抱えていて、成功する方が稀であろう。したがって、初めから成功するなどと思わない方が気楽になれる。スポーツ選手の例が分かりやすい。本来持っている力だけでは、競技会等で入賞できるかどうか不透明で、ドングリの背比べである。一番になるためには、練習を行い、必要な筋力や持久力を高め、限界に挑戦する。常に他者との比較は、自己能力との挑戦となる。
最新機器を利用して、自己の持つ能力の限界を知り、理想的な体形や、技の向上を図る。ビデオ等で、他者の弱点を知り、または己の弱点を知り、弱点を改善することによって、一歩前進するのである。前回、孫の優勝の話をご披露したが、前回行われた競技会で、優勝し宿敵に負けたという悔しさは、大いに、発奮する原動力になったと思える。なぜ負けたのであろうか、なぜ勝ことができなかったのか等の原因を探ることから始めたようである。熱心な父親がビデオで撮った映像を一緒に分析したとも言っていた。
勝負は時の運でもある。体調一つにとっても、体調不良であれば、挑戦する意欲すら減退するであろう。しかし体調管理ばかりではない。誰も教えてはもらえないカンやコツは、自らがその状態になって初めて理解できるものであり、繰り返すことによって、自然と身につくものである。技の世界は、理論が優先するのではなく、体得した技が成功の成否を決める。何事にもいえることで、自転車を乗れるようになるのも、理論的な組み立てではなく、バランス感覚を体得して初めて乗れるのである。知識で分かっていても自転車に乗れなければ、意味をなさない。技の世界は知識とは異なる習得のメカニズムであることはご理解いただけたであろう。
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