ブログ「かわやん」

森羅万象気の向くままに。

日曜新聞読書欄簡単レビューー

2011年10月02日 20時53分47秒 | Weblog
恒例の日曜新聞読書欄簡単レビューです。まず毎日新聞から。ウラジーミル・ナボコフ『ナボコフ全短篇』(作品社、8190円)はいま言葉だけ独り歩きしている「ロリータコンプレックス」とは「ロリコン」趣味などの語源となったあのナボコフの「ロリータ」の全短篇集だ。900ページに68篇の短篇が掲載されている。

評者井波律子は「いたるところに夢、悪夢、幻覚、記憶などの装置を仕掛け、細密描写を旨とする物語作者ナボコフの世界を凝縮した本書は、まさにナボコフ万華鏡ともいうべき、豊饒な魅力にあふれている。迷路をさまよう不思議な気分を満喫させてくれる一冊」と紹介している。細密な描写をどうみるか。何が細密に描かれるのか。多くは女性である。それも裏切る女性。裏切るとは不倫に走る女性、夫の前から消える女性。ナボコフはロシア革命です家族とともに亡命した作家である。母なる国ロシアと女性を重ね合わせることもできる。
 そうした女性像とは異なる作品も収められている。妖精のような美少女コレットとの幼い恋を描いた「初恋」。美女ニーナとの関係性を描いた「フィアルタの春」。このニーナは「ロリータ」につながると訳者は解説している。昆虫マニアを主人公とする「オーレリアン」を紙面を多く割き紹介しているのは、その物語の展開の劇的をナボコフの特徴とみるからだ。(続きは火曜日に掲載)


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