ある晴れた日に 第727回
御一新の頃からのDNAで訪日外人みな嫌いなり
施設では飽食の自由を許されず一膳飯で痩せゆく息子
水と油の偏屈老人に導かれ老廃帝国はいずこへ行くか
いずれにせよ滅びの道を辿るらん水と油の老人に従い
伯父さんのアルファロメオの助手席で我もセレブの一員となる
藤圭子の歌なら大好きなんだけど娘の歌は珍紛漢紛
じゃんけんに負けた蛍に負けたので生まれてきたのが我が家の長男
来年のG7では各国の首脳の首がみなすげ変わるだろ
誰よりもホクロが色っぽかった元華族久我美子死す93歳
そのかみに葉山から来て鎌倉を征服したり台湾リスは
獰猛な紅谷の台湾リスどもが鳩サブレーの鳩を蠻食
いったんはヒグチさんチに入った青大将思い直して我が家に入る
ソガワさんの名前が出てこないのでサシスセソガワと覚え直した
「お父さん、ボク自閉症?」と聞かれたがすぐには答えが出てこない
17年真暗闇にいた蝉たちがヨーイドンで地上に出てくる
都知事選はいますぐ降りてタヌキにはカイロで単位を取り直すべし
極右ともファシストとも知らないで緑のタヌキに靡く民草
蓮舫よ金切声はおよしなさいお世辞笑いのタヌキに負けるよ
数多き候補者のうちただ一人親しみ覚ゆ老発明家
ユウウツの鬱という字をすらすらと書きたる媼が死して十年
山人も日本狼も生きてると信じ続けた柳田國男
神奈川の中井やまゆり園の職員が利用者の肛門にナットを突っ込む
ホボホボと誰かがテレビでぼそぼそとそれではお前がボボブラジルか
蕭々と降る雨の中訃報ありその口臭もいま懐かしく
大谷のヒットだけを取り上げるドジャースが大敗した試合も
「ここで打て!打てば勝てる!」というときにだいたい打てないドジャース大谷
大谷が20号を打ち込めばバックスクリーンから鳥が飛び立つ
下劣なるジミンを応援しているよジミンより下劣な選挙民が
ピアノだけ弾いていれば良かったと思う指揮者はアシュケナージ
一枚のカードで君の恥部を国家に委ねるマイナカード
馬場下の電話ボックスでソウちゃんが凝視していたアカマツ嬢の立派な太腿
ヨーイドンで地上に出てくる千年蝉
除草剤をかけたる野原を掘り返し3羽の土鳩が餌を啄む 蝶人