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片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

オランダ訪問のレポート・トマトワールド編

2013-11-19 20:57:02 | 社会・経済

オランダ滞在中、ぜひ見ておきたかったのが、農業です。?
オランダが「農業立国」に成功していることは、?
近年、日本でも広く知られるようになってきました。?
オランダのなかでも、とくに農業が集積し、?
発達しているのがウェストランド市です。?
町のなかに、温室があまりにたくさんあるので、?
「グラス・シティー」と呼ばれているほどです。

少し、オランダの「農業立国」について、説明しておきましょう。
?
オランダは、農業貿易輸出額が、米国に次いで世界2位です。?
一方、面積は日本の約11%と、九州と同じほどしかありません。?
人口は約1700万人。干拓した土地のため土壌に恵まれず、?
北緯は北海道より高い。日照時間も日本より短い。?
そんな悪条件にもかかわらず、農業で大成功しているのです。??

その強さの秘密の一つは、露地栽培ではなく、?
ハウスなどを使った施設園芸で、?
花卉や野菜といった植物を栽培していることにあります。?
いわば「植物工場」です。
トマトなどは、植物工場での栽培が成功している典型例ですが、
?
天井の高いハウス内で、トマトを高く高く成長させ、?
単位面積あたりの収穫量を増やしています。?
その生産性は、日本の30倍にも上るといわれています。
Pb042056
※トマトワールドの建物

以前、日本のある生産者が、こんな話をしていました。
「イタリアの生食用のトマトは、夏場を除いて、オランダ産」
?
というのは、イタリア人は、トマトは夏につくって、?
ソースや缶詰にして、一年中食べればいいと考える。?
わざわざハウスで、冬場にトマトをつくろうとは考えないというのです。?
オランダからいえば、トマトはハウスで一年中栽培できるわけですから、
そこに、ビジネスチャンスがあるわけですよね。
??

強さの秘密を、もう一つあげるとすれば、産官学が一体となり、?
まさに国をあげて、農業に注力して取り組んでいることでしょう。?
今回、ウェストラント市にある、トマトワールドを訪問しましたが、?
わざわざ時間を割いて出迎えてくれたのが、同市の担当者である?
アントーン・ファン・デ・フェンさんです。?
農業に力を入れる市の取り組みについて、1時間にわたって
熱心に説明してれました。
?
同氏は、10月23日~25日に東京ビッグサイトで開催された、?
「アグロ・イノベーション2013」のために?
私が訪問した際には、一週間前に日本を訪問したばかりでした。

トマトワールドは、6人の生産者が集まってつくった、財団法人です。
トマトの栽培技術を教える場であると同時に、
?
Itを駆使し、気温や湿度、二酸化炭素濃度までコンピュータ管理する、?
先端的な栽培設備のショーウィンドウでもあります。?
彼のレクチャーを受けたあと、最先端の設備と、
開発実験の様子などを見学させてもらいました。
Pb042023
※ハウス内の様子

案内してくれたのは、
?いかにも農夫の雰囲気を漂わせたオジサンでしたよ。
?聞けば、本当に農夫だったそうですが、個人農業が成り立たなくなったので、
?いまは、トマトワールドで働いているということでした。?
農業ハウス用に、パイプで二酸化炭素をハウスに送ったり、
その設備を販売する、
?ベンチャー企業の起業家からも、
話を聞くことができました。
こちらは、スーツを着こなし、熱弁をふるう様子が、
?
いかにもベンチャー経営者です。?
農業や関連事業に従事する人たちの、層の厚みを感じましたね。?

驚いたのは、駐車場に、何台もの観光バスが停まっていたことです。?
日本は、製造業が盛んですから、トヨタなどの工場に?
見学ツアーが訪れたりしますが、それと同じですね。?
この日も、日本と韓国から観光バスでやってくるということでした。
つまり、最先端の農業設備は、多くの見学者を集め、
観光資源化しているわけですね。
今回の訪問では、話には聞いていましたが、「農業立国」を、
文字通り、肌で感じることができました。


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