片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

装丁家・坂川栄治さんに会う③

2010-08-04 14:20:45 | 対談

片山 私は去年の10月にストリンガーさんにお会いしたんですが、彼は日本人のジャーナリストとあまり会っていないですし、日本のメディアに登場する機会の少ない人なんですよね。
   
09_006 写真・福田一郎
なので、今回の本は、日本で出版された本のなかで、ストリンガーさんが表紙になった初めての本だと聞きましたね。

坂川 じゃあ、貴重な本じゃないですか。

片山 いやいや。
ただ、外国から日本に出張できていて、日本語は読めないけどストリンガーさんの顔はわかるという人はいるみたいですね。表紙から「どんな本なんですか」って聞かれたという話がありましたね。
その意味でも、やっぱり本のデザインは重要です。
本って、中身だけじゃないですよ。中身と、装丁と、字の大きさとか紙の質とか、総合的な作品というか、すごい世界ですよ。だから、電子書籍とかデジタル化も研究しなきゃいかんけど、リアルな本の世界も絶対になくならないと思うわけ。

坂川 そうですね。ただ、装丁は、たとえばとがらずに、イメージ的に角を落として丸くしてあげることでとっつきやすくなるとか、ちょっとダサくしてあげることで入りやすくなるものもあって、売るためには、商品である以上、それを計算してやるべきだと思うんです。
最近は、100%力一杯デザインしてる!!ってやっちゃってるのが多いですね。

片山 装丁家が、自分の主張をもろに出してしまうんですね。

坂川 そうそう。で、そういうのって、経験上いうとやっぱり売れないですよ。

片山 モノカキも同じですよ。自分が勉強しました!っていう成果をひけらかしてしまう。俺はこれだけ知ってるぞって自慢したりすると、読者はわかっちゃうんですよ。調べたことを全部書いたらダメなんですよね。
そういうところは、デザインも文も同じでしょうね。

坂川 全部が全部、力を出し切って出す本ではなくて、軽く、ちょこっとやったのが売れることもありますしね。それはケースバイケースです。
野球でいえば、若いときの投手はスピードボールばっかりで勝負できるんだけど、30代ぐらいになると変化球を覚えたりしますよね。あの緩急って、僕、けっこう好きですね。
もちろん、けっこう速い球も投げられるのに、それを隠しながらですけど。

片山 緩急がないと、生き延びられないですよ。
ただ、若いときはどうしても全力投球。それはそれでいいんだけどね。
年をとったら、若い人と一緒に汗をかいたってしれてますから、知恵をしぼるしかないですよ(笑)。


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