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片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

eシングル革命って何か?!

2012-10-19 21:35:18 | デジタル・インターネット

紙は、もうダメなのかなぁ。

米週刊誌ニューズウィークは、来年1月から
紙媒体での発行をやめ、電子版に完全移行する
ことを発表しました。
紙媒体がまた一つ、電子化されることになったわけですが、
この流れは止まりそうにありません。

たとえば、ノンフィクションの世界でもそうです。
アメリカでは、レコードのeシングル盤をもじって、
Single(イーシングル)といわれる、
短編電子書籍が人気です。

30,000ワード(単語)以下の短編のノンフィクションです。
わかりやすくいえば、雑誌記事よりは長く、
書籍よりは短いといったらいいでしょうか。

価格は、一冊1ドルから8ドルといいます。
アップルは、イーシングルを
「クイック・リード」と呼んでいるそうですが、
じつに、言い得て妙です。
新しいメディアといっていと思います。

アメリカの新聞コラムニストの中には、
すでにイーシングルに移行した人もいると聞きます。
新しい作品をイーシングルに発表するほか、
以前に掲載した記事を再編集して掲載するなど、
書き手にとっても、さまざまなメリットがあります。

それから、アメリカでは、イーシングルが
自費出版の著者が作品を発表する
格好の場になっているようです。
プロの書き手ではない、一般の人々にとって、
イーシングルは、自分の作品を発表する場だけでなく、
収入さえも得ることができるそうですから、
まさに、願ったり叶ったりといえますよね。

キンドル日本版の発売がアナウンスされています。
紙の書籍がなくなることはないと思いますが、
電子書籍の勢いはとまらないようです。
出版社、新聞社だけでなく、

書き手にとっても、電子書籍は革命です。
また、読者にとっても、大きな革命といえるでしょう。
活字をめぐっては、今後、まだまだ
変化の波が訪れそう。
目が離せませんね。


「CEATEC」も、内向きでいいのか

2012-10-05 16:44:33 | デジタル・インターネット

千葉県の幕張メッセで開かれている
「CEATEC」の続編です。

内向きな若者、内向きな企業、内向きな政治……
というように、日本の内向き志向は、
さまざまな角度から話題になりますが、
「CEATEC」もまた、残念ながら、
内向き志向ですね。

10月3日の正午、会場を訪れましたが、
海外からの来場者は、ほとんど見かけませんでしたね。
唯一、海外メディア関係者らしき欧米人が一人、
ビデオカメラを手に、会場を歩いているのを目にしました。
アジアからの団体を見かけることは、
ついぞ、ありませんでしたね。

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いまをときめくサムスンやLGの出展はなく、
日中摩擦の影響を受けて、中国企業22社は
出展を中止したといいます。
ちなみに、10月5日付の日本経済新聞の「社説」は、
「今年の出展は624社とリーマン・ショック前に比べ
3割以上減った。海外からは161社とピークの半分以下で、
来場者も2割近く減っている」と記しています。

今年の「CEATEC」は、図らずも
日本が内向きであることを、内外に示してしまいました。
極端な話、「CEATEC」の出展企業が
日本企業だけになり、来場者が日本人だらけになれば、
もはや「国際見本市」とは呼べません。
このグローバル競争時代、「国内見本市」では、
誰も足を運ばなくなるでしょう。

「CEATEC」の存在感を高めるためには、
これまでにない試みが求められるのではないでしょうか。
幕張メッセで開催するのがよいのかどうか。

開催地については再考の余地があります。
2日前のブログでも書いたように、
集客の増加を望むならば、
お台場の東京国際展示場で
開くべきでしょう。

それから、今後の成長分野として期待される
スマート家電やスマートハウス、スマートシティなど
スマート化を大々的に取り上げ、
世界に発信することをもっと考えていいでしょう。

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求められるのは、あらゆる手段を使って、
日本の得意分野を発信していくことです。
手をこまねいては、世界における
日本の存在感は弱まるばかりです。


パワーポイントに死角はあるか

2012-10-04 20:18:34 | デジタル・インターネット

パワーポイント全盛時代です。
その弊害について、愚考してみました。

経営方針説明会、四半期決算説明会、商品発表会などでは、

報道関係者向けに、壇上のスクリーンに映し出されたものと同じ
“パワーポイント資料”が配られるのが、通例です。
たいてい、A4サイズの用紙10枚から20枚です。
けっこうボリュームがあります。

会見の席上で、発表された細かい数字を
間違いなくノートに書き取ったり、
PCに打ちこんだりするのは、大変気を使います。
ですから、“パワポ資料”は、ジャーナリストにとって、
有難く、便利です。

企業の登壇者にとっても、パワーポイントの
段取りに沿って説明できるわけですから、
“パワポ”は、心強いツールといえるでしょうね。
私もたまに、人前で話すときには、
“パワポ”を使いますし、ペーパーも用意します。

しかしながら、以前にも少し触れましたが、
パナソニック社長の津賀一宏さんの
社長就任会見では、様子が違っていました。
会見場で配られたのは、「社長就任にあたって」
と題する、たった1枚の用紙だけでした。
これには、驚かされました。

そこには、パナソニックの目指す姿など、
基本的なことだけが端的に記されていました。
津賀さんは、その分、しっかりと記者の方を向いて、
自分のペースで話をしていたように感じられました。
ウーン、こういうデビューの仕方もあるのか、
と思いました。
新鮮な印象でしたね。
パワポを使わないことによって、
強いリーダーの姿を打ちだすことに
成功した……といったらいいかと思います。

思いだしたのは、韓国サムスンの研修です。
サムスンの新入社員は、缶詰になって、
朝から夜まで、研修を受けます。
さぞかし、山ほどプリントが配布されると思いきや、
まったく、そんなことはないそうです。
「紙は、一切なしです。PCの画面を見ながら学びます。
課題の終了後も、紙は一切渡しません」
と、サムスンの役員はいいます。なぜか?

貸与されるPCには、研修内容などが入っているそうです。
ただし、そのPCを自室に持ち込むことは許可されますが、
外に持ち出すことは禁じられているのです。
したがって、新入社員は研修中、自室でPCを見ながら、
必要とする研修内容を必死でノートに
書き写したりするそうです。
それで、徹夜する新入社員もいるとか。

プリントを渡さないのは、教育効果を考えてのことといいます。
「必要なら、自分でメモしなさいといいます。

かりにも、プリントを渡したら、安心してしまう。
居眠りしちゃう人がいるかもしれませんしね」
と、その役員は、語りました。

私は、かねてから便利になればなるほど、
そのウラで、不都合なことが起こると話しています。
つまり、光が強ければ、影が濃くなる。
これは、当たり前のことです。
超便利な“パワポ”といい、PCといい、
ツールはツールに過ぎないということですよ。
問題は、どんな場面でも、話の中身をしっかりと把握し、
血肉とすることではないでしょうか。
少し、説教じみてきましたが、
まあ、そんな風に考えている次第ですわ。