春日公園前の補聴器屋さん(春日市、大野城市、太宰府市、筑紫野市、那珂川町活動エリア)『かすが補聴器専門店』のブログへようこそ
先日、補聴器を使用しているご両親の相談に
ご家族が来店されました。
ある出張業者さんから
補聴器を購入し、
ご自宅で何度も調整してもらっているそうですが、
一向にきこえが改善せず、
せっかく購入した補聴器の効果が
全く感じられないということです。
ご本人がいらっしゃらなかったので
詳細はわからなかったのですが、
ご使用されている補聴器の
・メーカー
・仕様のタイプ
・使用の状況
などをお聞きいたしました。
話の状況から
おそらく、難聴の度合いは中等度と推測され、
弁別能(ことばの聞き取り能力)のスコアが
あまり高くないのではないかというものでした。
幸い、ご使用されているご本人が
当店に歩いてこれるところにお住まいだったので
翌日、再来店のお約束。
来店されて驚いたのは、
ご両親とも両耳で補聴器を購入されていました。
特に効果が出ていなかったのは、お父様の方で、
補聴器を購入した業者さんは
熱心にご自宅で調整されていたようですが、
補聴器を装着し、1対1の会話でも
聞き返しが多く、
スムーズにお話ができる状況ではありませんでした。
お持ちの補聴器は、
シーメンス社製のRICタイプ、
こもらないよう、オープン仕様でした。
(機種名は業者さんが特定されるので控えておきます。)
耳鼻科さんで検査された聴力データをお持ちで、
それによると
平均聴力レベル(4分法)が、
右:52.5dB
左:53.8dB
高音漸傾型の中等度。
弁別能は、
右:85%(80dB)
左:75%(90dB)
とそれほど悪いスコアではありません。
ただし、注意点は
気導聴力と骨導聴力に差があり、
やや伝音難聴の特性が出ていました。
この状態でRICのオープンフィッティングでは、
調整を繰り返しても
満足する聞こえにはならないでしょう。
お客様には、耳栓をモールド化(オーダーメード耳栓)に
することを推奨し、
応急処置でダブルチップの耳栓を採用。
フィッティングの計算式を
DSL/IO式に変更、
低音と高音がしっかりと補正できるよう
ややパワーフィッティングにしました。
補聴効果としては、
20ワードの単語を
1.5mの距離で口元を隠して行ったところ、
90%の正解率。
また、対話形式で5つほど簡単な質問
(生年月日やきのうの食事の内容など)をしたところ、
すべて間違えずに答えられました。
ご本人以上に
ご家族が聞こえの改善に驚かれていました。
次にお母様の状況。
やはりシーメンス社製のRICタイプを
オープン仕様で使われていました。
聴力を測定すると
右:41.2dB
左:45.0dB
聴力だけ見るといずれも軽度難聴で
左の方がやや低下していました。
ただし、弁別能は、
右:90%(80dB)
左:100%(70dB)
という状態で、左耳には補聴器が必要なかったかもしれません。
ご本人も左側に使わなければならないとは思っていなかったようです。
対処としては、
右のみ使用する前提で、
耳栓をクローズ(密閉)型耳栓に変更し、
フィッティング計算式を
NAL-NL1式を採用しました。
低音域の利得を加えず、
言葉の聞き取りに重要な中域~高音域の利得を重視。
業者さんは、『両耳が基本』と
メーカーさんに教わったことを忠実に実行されているのでしょうが、
ケースバイケース。
左右聴力が同等でも
両耳仕様にしない方が良いこともあります。
結果的に
お母様は、こもり感が改善し、
補聴器を使用しての聞き取りの実感を持たれるようになりました。
注意点として、
将来的に残った補聴器も使うことをお伝えしております。
ご家族は、
「やはり補聴器の業者さんは、
『認定補聴器技能者』資格を持っていないと・・・」と
資格の有無について再認識されているようでした。
出張販売の業者さんがすべて悪いわけではないですが、
『認定補聴器技能者』資格の有無は、
その業者さんが信頼できるかの目安になると思われます。
本日は、以上です。
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