東京都中小企業診断士協会中央支部認定!「稼げる ! プロコン育成塾」ブログ

東京都中小企業診断士協会中央支部認定マスターコース「稼げる!プロコン育成塾」のブログ。経営・ビジネスに役立つ情報を発信

12円のものをしまう2万円のケース

2023-10-06 12:00:00 | 23期生のブログリレー

22期生の塩谷です。2023年5月5日に「若かりし日の3種の神器」というタイトルで、高校生の下校時にワカメラーメン、うまい棒、ガリガリ君をよく食べていたことを書きました。その時はガリガリ君(赤城乳業)を題材にしましたが、今回は“うまい棒”について書いてみます。

数日前の日経新聞の記事なので記憶している人もいると思いますが、『うまい棒に「2万円」ケース』との見出しに目がとまりました。何のことかと読んでみると、幼稚園児が“うまい棒”をカバンに入れて持ち帰ったところグチャグチャになり、悲しみに暮れているのを見て、アルミケース職人の祖父がこんな思いを2度とさせたくないと誓ってできたのが、「うまい棒専用ケース」。作ったのは勤務先のアルミケースメーカー。仕上がりも良くて提案を受けた“うまい棒”の販売元である“株式会社やおきん”も公式グッズとして即座に認定。1本12円の“うまい棒”に2万円のケースを買う人はいないと思われましたが、エピソードも手伝ってかクラウドファンディングで目標としていた30倍の150万円も集まったとのこと。

失礼ながら、“やおきん”には赤城乳業のような戦略的な自社のプロモーションは見当たりません。実際、“やおきん”のコーポレートサイト(≠やおきんドットコム)をみてもずいぶん昔に行名が変わっている銀行名がそのままだったり、2023年の情報がいっさい更新されていなかったりと、とても力をいれているようには見えません。でも、安い駄菓子が姿を消して以降も「自分で選んで自分で買えるものを」という子供目線で提供している「国民的駄菓子」は既に老若男女問わず多くの人に知られています。

日経新聞は、物価高騰が続くなかで1本12円にとどめ、「気遣いと優しさ」というマーケティングはぶれていないと評価しました。診断士である私たちは、ブランディングやマーケティング、プロモーションといった言葉を使って語りますが、この隅田区にある企業が提供する「国民的駄菓子」は、多くが経営を通じて自然とできあがったブランドです。そんな同社にはひっきりなしにコラボ依頼がきて、自社で多額の広告宣伝費を掛けずとも、顧客の世代を超えてブランドが引き継がれています。日経新聞のサブタイトルも「マーケの神髄、利他にあり」と素晴らしい。

ただ、“やおきん”はお菓子、食料品の企画販売を行うファブレス企業、実際に作っている企業は他にあります。12円で安心安全なお菓子を作っている企業も含めて、ちゃんと儲けられていれば良いなと思いました。本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サーバントリーダーの負の側面 | トップ | 関係人口でビジネスチャンスを! »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (杵渕竜也)
2023-10-06 18:11:32
さすが塩谷さん、タイトルに釣られました(笑)
二万円のうまい棒ケースとだけきくと、20万近くするロビンマスクの実物大マスク(わかる人だけわかってくれればいいです)を連想してまたマニア向けにそんなもの作って…と思ったら心あたたまるエピソードでした。

やおきんの話をきくと、診断士としてマーケティングだプロモーションだとひとくちに語らずに、一社一社に顔があることを忘れてはいけないと思わされました。
返信する
Unknown (永岡伸一)
2023-10-06 19:44:51
二万円のうまい棒ケース、欲しいと思ってしまいました。自社のブランドを守りながら、顧客に愛されている企業のお話はいつ聞いてもワクワクします。こういう企業を支えられる診断士を目指したいです。
返信する
Unknown (須藤佳代)
2023-10-06 22:44:02
なるほどです。とても興味が湧き、製造元についても調べてしまいました。チームうまい棒として協力しあってこの価格帯を保ち、長年愛され続けていること、驚きです。
返信する

コメントを投稿

23期生のブログリレー」カテゴリの最新記事