こんにちは、稼プロ!23期生の曽我剛です。今回はドイツと日本の労働生産性について書きます。
少し前の話になりますが、今年の2月に「日本の2023年・1年間の名目国内総生産(GDP)が、ドル換算でドイツに抜かれて世界4位に転落」というニュースがありました。ショッキングなニュースですが、その背景に何があるのか興味がわき、調べてみました。
主な要因の一つは、過去3年間に日本円が約30%も価値を下げたことです。この大幅な円安が進行する中で、日本のGDPはドル換算で相対的に小さくなりました。一方で、ドイツは物価上昇が進んでおり、名目GDPを押し上げる要因となっています。しかし、これらの要因だけでは、過度に心配する必要はありません。実際、2023年のドイツの実質GDP成長率はマイナス0.3%で、経済状態は芳しくありませんでした。したがって、GDPランキングの変動に一喜一憂することはあまり意味がないと考えられます。
ただし注目すべきは別の要因で、ドイツの労働生産性が日本よりもはるかに高いことが挙げられます。2000年から2023年にかけて、ドイツの名目GDPは現地通貨ベースで1.9倍に増加したのに対し、日本は1.1倍に過ぎません。2022年度の1時間当たり労働生産性では、ドイツが87.2ドルでG7国中2位、日本は52.3ドルで最下位でした(日本生産性本部の資料より)。
ドイツと日本の間で労働生産性に大きな差がある理由として、以下のような背景があります。
- 労使関係の違い:ドイツでは労働組合が強く、利益の多くを賃金に回し、労働時間を短縮することで生産性の向上を図っている。一方、日本では企業が利益を内部留保に回す傾向が強く、非正規雇用が増える一方で賃金上昇が鈍化し、労働生産性の向上が見られない。
- 企業戦略の違い:東西ドイツ統一後、ドイツの製造業は国内での生産を継続し、高付加価値の製品製造に注力した。その結果、高い労働生産性を実現した。一方、日本の製造業はバブル経済崩壊後、特に大企業や優良企業はコスト削減のために海外での生産を選択する企業が増えた。それにより、国内に残った企業は比較的労働生産性が低く、高付加価値の製品製造から遠ざかる傾向にあった。
- 国の政策の違い:ドイツでは東西統一後に労働市場の流動化を進め、EU市場の統合やユーロの導入が企業競争力の向上に寄与した。対照的に、日本ではバブル経済の崩壊後も低金利が続き、企業の新陳代謝が滞った。
ただ最近は流れが変わってきています。上記の3つの背景については、1は賃金上昇の流れができてきました。2は円安や中国リスクの影響で製造業の国内回帰の流れも少しずつ出てきています。3については、雇用流動化にもつながるリスキリングの推進や、金利の上昇も今後出てくる可能性があります。よって労働生産性を上げるチャンスが来ており、今後頑張って両国の差を縮めていかないと、日本の経済力が相対的に下落することを止められません。過去は政府の打ち手がうまくいかなかった面が大きいと感じていますが、ここからは国として労働生産性を高める政策を積極的に打ち出してもらいたいです。
日本の労働生産性の低さの要因には、上記に加えて、海外と比べての日本の良さに関わる部分もあるようです。例えば小売業、サービス業での丁寧な接客、おもてなしは日本が誇るものですが、一方で過剰なサービスとも言われ、それに対しての十分な対価を取れずにいて、労働生産性を落としている面もあります。そう考えるとサービスの良さは日本のすばらしさではありますが、適正な対価をとるか過剰なサービスを削っていくか、何か対応を取る必要が今後あるだろうと感じました。
ドイツがすべて優れているわけでありませんし、日本の優れた点もいろいろあります。日本の良い点は伸ばしながら、ドイツの良い点は見習っていきたいものです。
サービスと付加価値のバランスに着目していきたいです。
大陸か島国かの違いも影響しているのは確かです。陸路で他国と行き来できるのは大きいですね。
サービスと付加価値のバランスは難しいですね。日本人はお客様を敬い過ぎるのかも入れないですね。だからカスハラが起きるのだと思います。