読者の皆様、こんにちは!
22期の柴山宗馬です。
今回は「仮説を手札としてストックしておくためには?」を考えたとき、ふと思い出した社会学の「中範囲の理論」という言葉を絡めて、現時点の私の考えを残せればと思います。
はじめに言ってしまえば、要は「差別化できる持論を常に携えておけ」の一言で終わる話がここから小難しく書かれていきます。
さて、11/26(土)の「診る」講義の内容にもあった通り
中小企業診断士として価値を出していくには、如何に仮説を持てるかが重要です。
(※他の職業にも通じることですね)
以前は漠然とこの認識を持っていた程度でしたが
つい3週間ほど前から、仮説立案のスピードと質の両立には、自分だから立てられる(=差別化できる)仮説の引き出しを予め持ち合わせておくことが必須になるのではないかと思うようになりました。
では仮説の引き出しはどのように増やしていくべきか? 自問してみると
理論の大中小のレベル感を意識し、大理論として一般知識を体系的に仕入れ、小理論として経験を積み重ね、それを中範囲の理論にあたる仮説で紐づけるというイメージに辿り着きました(下図参照)。
図:仮説の引き出しは理論のレベル感を意識して中範囲で増やす
唐突に「中範囲の理論」という見慣れない言葉が出てきましたが
これは社会学者Robert King Mertonが提唱した「理論の作り方」です。
すごく簡単な言い換えをすると
「人間の営みである社会をいきなり科学レベルの原理原則で示すことは難しいよね。まずは身近なエピソードから始めて、それを限られた範囲で成立するところまで持っていこう。そのうえで原理原則と橋渡しできればいいのではないかな?」
といった具合です。
この「限られた範囲で成立」する理論を求める研究アプローチ、あるいはそういった理論そのものを「中範囲の理論」と呼びます。
より詳しい部分はさておき、この「中範囲の理論で橋渡ししよう」という考え方は私たちが自分の強みを作っていくうえで応用できると思いました。
飛躍があるのは承知ですが、「限られた範囲」を「自分が差別化できる(したい)範囲」へと置き換えてみると、このレベルで高い精度の仮説やそのひな形を多く持ち合わせておけば、価値がぐっと出しやすくなる気がします。
さらに言えば、世の中のビジネスの殆どは、自分たちが構築した中範囲の仮説をモノやサービスの形で検証可能にし、対価と引き換えに提供している形になっているはずです。
精度が良く、他所と差別化できる仮説が生き残りますが、それも100%当たるわけではありません。
閑話休題。
とはいえ、個別の経験を積み上げて一般理論を目指す一方向的なアプローチはやや非効率。せっかくなら「橋渡し」の部分に注目して、先人たちが積み上げた一般理論側からもアプローチして仮説を作っていく方がより速そうです。
その際、小理論となる経験の積み重ねは、自然と複雑に絡み合っていく気がするので、大理論のレベルでは大枠としての体系的な整理が肝要ですね。
なお、中範囲として自分が差別化できる(したい)範囲に迷うなら、第1回講義で学んだ、セルフブランディング(=自分を特定する3つのキーワードを決める)方式で枠を決めてしまうのもありかなと思いました。
以上、多くの方が既に無意識下でなんとなくやっていることだとは思いますが
振り返れば、私はあまりできていなかったような気がしてなりません。
とはいえ、絵にできる程度には具体化したため、今後は意識してやっていきたいところですね。
仮説について、確かに無意識にやっているように思います。でもこうやって体系的にあらわされるとしっくりきますね。