こんにちは、23期生の佐野紳也です。
最近、榎本博明さんの書かれた「仕事で使える心理学」日経文庫を読みました。榎本さんは、東芝の市場調査課勤務後、アカデミックの道に進まれた心理学者で、今は、MP人間科学研究所代表をされています。
この本は、古今東西の62の心理学の理論を、交渉力、リーダーシップ、組織、ストレスなど仕事の場面で活用する方法を紹介しています。なかでも私が気に入ったものを、4つほど紹介します
1.悪意に満ちたディスラクション
ディストラクションとは、「気晴らし、気が散った状態」という意味だそうです。看護の世界では「処置の際に子どもの意識を他にそらすこと」を意味するそうです。悪意に満ちたディストラクションとは、重要な案件の会議の際、どうでもいい話題をだして参加者の気をそらし、重要な案件を考えなくさせることで、重要な案件を通してしまうことです。
2.中心ルートと周辺ルート
人は説得を受けたとき、中心ルートと周辺ルートの2つの思考パターンを使いわけるそうです。PC販売の場合、中心ルートとは、商品・サービスなどの基本となる特徴を説明することです。CPUやメモリなどPCそのものの重要な要素を説明します。パソコンマニアの人に対しては、この中心ルートになります。
一方で、周辺ルートとは「たくさんの人が使っていて、人気がある」や「有名な芸能人も愛用している」などの、直接、商品・サービスそのものとは関係の無い要素を説明することです。高齢者などPCに詳しくない場合は、この周辺ルートが効果的と言われています。
3.アンカリング効果
アンカリング効果先に与えられた情報や数字に無意識のうちに判断を歪められてしまう「認知バイアス」のことです。例えば、遅刻しそうなとき、「1時間遅れる」と連絡し、30分後に到着すれば、遅れたにもかかわらず、ポジティブな印象を持たれる可能性があります。ただ、何度もすると、ばれますので、注意しましょう。
4.認知的不協和理論
認知的不協和とは、ある事柄について相反する知識や認知を持った状態を指します。認知的不協和の状態では矛盾への不快感から心理的な負荷が大きくなり、その結果、不協和を低減させようと考え、行動を起こす傾向が高まるのと言われています。
マーケティングでの応用例としては、「日本酒を買いたいが、特に必要というわけではない」というような認知的不協和の状態の人に、「自分へのご褒美」「日本酒記念日」など購入すべき理由を示すことで不協和を低減し、購入させるようにすることです。
この本は、様々な心理学の理論や手法がわかりやすく説明されており、今後も、いろいろな場面で、活用していきたいと思いました。