特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

6-1・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(超光速通信or因果律違反)

2023-07-17 02:01:08 | 日記

7、タキオン反電話あるいは因果律違反について=>時間まわりのもう一つの大きな話

この話は「光速をこえる通信が存在すると情報を過去に送れる」という「通説による誤解の話」でもあります。

 

それでまずは「時間の遅れはお互い様」の復習からです。

図1:時計AがY軸で、つまりは静止系で時計Bが相対速度0.8Cで時計Aから離れていきます。

y=0,x=0,y=1.25x,x=4,y=5  プロット  -10<x<10, -10<y<10

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D1.25x%2Cx%3D4%2Cy%3D5%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-10%3Cx%3C10%2C%E3%80%80-10%3Cy%3C10

時計A時間で5日経過した所で時計Bの時刻を確認すると3日経過しています。

3=5*sqrt(1-0.8^2) です。

さて、しかしながらその時には時計Aと時計Bの距離は図1でみて分かる様に4光日離れています。

そうであれば時計Aからは時計Bは見えないのです。

でも通説の説明ではその事にはお構いなく「時計Aは時計Bの時刻をいつでも瞬時に知ることが出来る」としています。

さてではそれは具体的にどうするのか、といいますと「時計Aから無限大の速度をもつタキオン波を時計Bに飛ばし、時計Bの時刻を読み取ったタキオン波はそこで反射してまた時計Aに戻る」と想定するのです。

つまりは「タキオンレーダーを使う」のですね。

そうすれば時計Aと時計Bがどれだけ離れていても時計Aは瞬時に、同時に時計Bの時刻を知り得るのです。

さてそのタキオン波の行って帰ってくる状況は図1ではY軸の値が5で示された紫色の横線で示されています。

こうして無事に時計Aは特殊相対論の予想通りの結果を確認できた、という事になります。

 

さてしかしながら特殊相対論の教義によれば「全ての慣性系は平等である」との事。

そうであれば時計Bは主張します。

「いや、私が静止系で時計Aが相対速度0.8Cで私から離れていったのだよ」と。

はい、これがいつもの「時間の遅れはお互い様」の始まりですね。

図2にその状況を示します。

y=0,x=0,y=-1.25x,x=-4,y=5  プロット  -10<x<10, -10<y<10

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0%2Cy%3D-1.25x%2Cx%3D-4%2Cy%3D5%E3%80%80+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E3%80%80-10%3Cx%3C10%2C%E3%80%80-10%3Cy%3C10

今度はY軸が時計Bを示し、左上に上がっていくコトブキ色の線が時計Aを示します。

あとの議論は上記とまったく同じでただ時計Aの立場と時計Bの立場が入れ替わっただけです。

そうであれば時計Bは主張するのです。

「時間が遅れているのは時計Aの方だ」と。

 

以上が「時間の遅れはお互いさま」の発生状況の説明となります。

そうしてこの場合は時計Aの主張と時計Bの主張は独立していて、お互いにそれを否定する事はできません。

そういう関係に時計Aと時計Bはなっています。

 

ちなみに何故「時間の遅れはお互い様」の復習から始まったのか、といいますれば「超光速通信が情報を過去に送れる」という話は「時間の遅れはお互い様」と親戚関係にあるからなのです。

そうして「時間の遅れはお互い様」が「時間の遅れについてのパラレル接続の誤解である」とするならば「超光速通信は情報を過去に送れる」という話は「時間の遅れについてのシリーズ接続の誤解である」となります。

もちろんパラレル接続とは並列接続でありシリーズ接続とは直列接続であり、この並列接続と直列接続については乾電池の例で小学校で習った事を思い出すべきでしょう。

 

さてそれで、ここで「タキオン反電話の登場」となるのです。

この装置はアインシュタイン、そうしてトルーマンによって予想され、1969年のベンフォードの論文でその姿を表しました。(注1)

その論文は難解なものでしたが、今ではそれを分かりやすく解説したものが出回っています。(注2)

・・・やっぱり話が長くなりました。

それでこの話の続きはページを改める事と致します。

 

注1:1969年 G. A. BENFORD, D. L. BOOK, AND W. A. NEWCOXB:Phys. Rev.D PARTICLES AND FIELDS 1970
(Received 23 June 1969) タキオン反電話:The Tachyonic Antitelephone*

注2:2008年 ティプラー、ポールA。; Llewellyn、ラルフA.(2008)。現代物理学(第5版)。ニューヨーク州ニューヨーク:WH Freeman&Co。p。54. ISBN 978-0-7167-7550-8。...したがって、粒子の存在v > c ...タキオンと呼ばれる...相対性理論と深刻な...無限の創造エネルギーと因果関係のパラドックスの問題を提示します。

現代物理学(第5版)のpdfアドレスはこちら

http://web.pdx.edu/~pmoeck/books/Tipler_Llewellyn.pdf

P54を見ろ、と言ってますのでそこを見ます。
『Tachyons and Reversing History
Use tachyons and an appropriate spacetime diagram to show how the existence of such particles might be used to change history and, hence, alter the future, leading to a paradox.・・・』

タキオンと逆転の歴史
タキオンと適切な時空図を使用して、そのような粒子の存在が歴史を変え、したがって未来を変え、パラドックスにつながる可能性があることを示します。・・・

・・・という出だしに続いて

Figure 1-42
『A tachyon emitted at O in S, the laboratory frame, catches up with a spaceship moving at high speed at P. Its detection triggers the emission of a second tachyon at P back toward the laboratory at x = 0. The second tachyon arrives at the laboratory at ct < 0, i.e., before the emission of the first tachyon.』

実験室の座標系であるSの(原点)Oで放出されたタキオンは、点Pまで高速に移動し、そこで宇宙船に追いつきます。宇宙船はその検出により、点Pで2番目のタキオンをx=0(原点位置にある)実験室に向かって放出します。2番目のタキオンは実験室に到着します。 ct <0で、つまり最初のタキオンが放出される前に。

と説明している図1-42が出てきます。

この図をこの本(初版)が出た後での世の中の諸氏方が参照しているものではないのか、と思われます。(ネット上で確認できる図はたいていがこの図のコピー、あるいはそれを多少、修飾したものになっている模様。)

なお本文内容につきましては該当ページをコピーされグーグル翻訳などにてどうぞ。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/fASzW