タキオン反電話の場合でも「動いている者同士の時刻合わせ」がそれぞれの船に固定された座標系の原点が重なった位置で行われる必要がありました。
とはいえ、「すれ違う時のお互いの船の間の間隔がゼロ」では正面衝突してしまい、「まずい事になる」。
衝突したのではそれ以降の未来は存在しないので「過去に情報を送る実験が出来なくなるから」である。
まあそれはさておき、光速に近いスピードでお互いにすれ違う、全長100mの宇宙船の間の「すれ違い安全距離」はどれほど必要なのか?
我々が設定した距離間隔は500mであったが、さて、それほどの「狭い間隔」が本当に実現可能なのか?、、、と言う問題がある。
二つ目の問題はすれ違う時の時刻合わせは「相手の船が窓の外、90度の位置に見えた時に時計をリスタートさせればいいだろう」とまあ普通はそう考える。
だが実際は「90度の位置に相手の船が来たとき、そのように見えた時」ではタイミングが遅いのである。
国立科学博物館の説明
https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/travel/travel03.html
あるいは
https://archive.fo/MT8Ww
準光速世界で見える風景の擬似撮影(葭矢 景淑)
http://www.oit.ac.jp/is/shinkai/seminar/thesis/2012yoshiya/2012_Bthesis_yoshiya.pdf
↑
P49あたりにその事が書いてあります。
そういうわけで「細かい事をいえば、そのように見えるのだ」という事を分かっていないと「時刻合わせすら簡単にはできない」というのが「準光速の世界」なのである。
そうして「そのような難しさはあるが、2台の準光速ですれ違う宇宙船の時刻合わせは可能である」というのが「この種の議論の大前提となっている」様です。(注1)
ちなみに「それならば2台とも静止した状態で時計を合わせとけばいい」ということになるのだが、そうすると「準光速に至るまでに加速する事」になり「一般相対論が入り込み」経過時刻計算、相対距離計算が複雑になってしまうのである。
そうであればそれは「光速を超える通信を検証する」という目的の為には「上記の様なやり方は妥当な手順ではない」という事になる。
追伸
前述した「加速度運動なしの双子のパラドックス」で使った方法も基本的には「基準慣性系に対して相対運動をしている船の時刻は合わせられる」と言うものでした。
それで、そこで述べられている方法と「タキオン反電話の方法」の大きな差は「タキオン反電話では時刻合わせのタイミングでは基準慣性系を決めていない」という所にあります。
その方法は単に「お互いの船の時計を合わせる」と言うものであって、「どこかの基準時計に時刻を合わせる」というものではないからです。
したがって2台の船は「本当にお互いの立場が時刻合わせの段階では同等である」、「相対的である」という事になります。
違うコトバで言うならば「対称性が高い」と言う事になりますか。
他方で「加速度運動なしの双子のパラドックスで使った方法」は「O君が基準慣性系」であり、コトバを変えるならば「地球の代用」なのです。
そうして、それぞれR君、Lさんの船はO君に対して時計を合わせたのでした。
この点が大きく違ってきています。
ちなみに「基準慣性系を決めてそれに対して時計を合わせる方法の必要性」は「お互いに近づいてくる複数台の宇宙船」という条件設定を使う為でありました。
それから「基準慣性系」というのは「観測者がいる慣性系」であり、時空図でいうならばct軸、あるいはY軸にあたり、要するに「設定された時空の中では動かない慣性系=静止している慣性系=時間経過が一番早い慣性系」となります。
注1:「この種の議論」とは「双子のパラドックス」と「超光速通信」あるいは「タキオン反電話」。
加えて「複数の宇宙船を使った、時刻合わせが必要となる種類の相対論での計算」です。
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