特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

ローレンツ変換の導出とその歴史的経緯

2023-01-11 02:45:33 | 日記

前のページまでで「ローレンツ変換が光速不変を作り上げている状況の確認」は終了しました。

それで今度はそのローレンツ変換そのものに再び焦点をあてましょう。

・・・という訳で、EMAN物理を参照する所から始めます。

ローレンツ変換の求め方 : https://archive.ph/Evswb

EMAN物理によれば

『色んな方法がある
ローレンツ変換を求めるには大きく分けて二通りの方法がある.ローレンツ流の「マクスウェル方程式を不変に保つ変換」を導く方法と,アインシュタイン流の「光速度が慣性系によらず一定」であることから導く簡単な方法である.

・・・今さらわざわざ難しい方法を紹介する必要もない気がするが,二つの求め方に大きな思想的違いがあることを分かってもらいたいので両方とも紹介するつもりでいる.』

という事で

歴史的に先行したのは『ローレンツ流の「マクスウェル方程式を不変に保つ変換」を導く方法』の様です。

詳細についてはこちらでご確認を。ーー>ローレンツ変換の別の求め方 : https://archive.ph/mWOUG

ところで最初にローレンツ変換を提示したローレンツの発表には誤りがあったらしく、それを訂正したのはアンリ・ポアンカレだった様です。

以下 ういき「ローレンツ変換」: https://archive.ph/3LWS5 :よりの引用。

『ローレンツ変換(ローレンツへんかん、英: Lorentz transformation)は、2 つの慣性系の間の座標(時間座標と空間座標)を結びつける線形変換で、電磁気学と古典力学間の矛盾を回避するために、アイルランドのジョセフ・ラーモア(1897年)とオランダのヘンドリック・ローレンツ(1899年、1904年)により提案された。
アルベルト・アインシュタインが特殊相対性理論(1905年)を構築したときには、慣性系間に許される変換公式として、理論の基礎を形成した。』

『ローレンツはこの変換がマクスウェル方程式を不変な形で変換することを、1900年に発見した。ローレンツは導光性エーテル仮説を信じており、この変換に適切な基礎を提供する相対性理論を発見したのは、アルベルト・アインシュタインであった。
ローレンツ変換は1904年に初めて発表されたが、当時これらの方程式は不完全であった。フランスの数学者アンリ・ポアンカレが、ローレンツの方程式を、今日知られている整合性の取れた 4 つの方程式に修正した。』

その様な経緯の中で次にアインシュタインが『「光速度が慣性系によらず一定」であることから導く簡単な方法』でローレンツ変換を求めたのです。

これも詳細はEMAN物理の

ローレンツ変換の求め方 : https://archive.ph/Evswb

を参照してください。(EMAN物理の方法は厳密にはアインシュタインがやった手順ではありませんが、基本的な内容は同等です。)



さて通常の話方であればこれでお終いになるのですが、ここではそうはいかないのです。

英語版ういき「特殊相対性理論」: https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Special_relativity?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc


によれば

『特殊相対性理論への伝統的な「2つの仮定」アプローチ』として

『アインシュタインは、力学または電気力学の(当時の)既知の法則の正確な妥当性に関係なく、最も確実であると思われる2つの基本的な命題を識別しました。これらの提案は、真空中の光速の一定性と、慣性系の選択からの物理法則(特に光速の一定性)の独立性でした。1905年の特殊相対性理論の最初の発表で、彼はこれらの仮定を次のように表現しました。

・相対性原理–物理システムの状態が変化する法則は、これらの状態の変化が相互に均一な並進運動で2つのシステムのどちらを参照するかに関係なく影響を受けません。


・光速の不変の原理–「...光は常に、放出体の運動状態に依存しない一定の速度[速度] cで空の空間を伝播します」(序文から)。つまり、真空中の光は、光源の運動状態に関係なく、少なくとも1つの慣性座標系(「静止系」)で速度c (方向に依存しない固定定数)で伝播します。』

とありますが、これがアインシュタインのローレンツ変換の導出方法でした。

そうしてういきはこの記述に続いて次のように書いています。

『特殊相対性理論の導出は、これら2つの明示的な仮定だけでなく、空間の等方性と均一性、物差しと時計の過去の歴史からの独立性など、いくつかの暗黙の仮定(ほとんどすべての物理理論で行われている)にも依存します。

1905年のアインシュタインの特殊相対性理論の最初の提示に続いて、多くの異なる仮定のセットがさまざまな代替の導出で提案されました。しかしながら、最も一般的な一連の仮定は、アインシュタインが彼の元の論文で採用したもののままです。』

そうしてこの

『多くの異なる仮定のセットがさまざまな代替の導出で提案されました。』

についてのすこし突っ込んだ記述がこれです。

『2番目の仮説のない相対性理論

光速の一定性を仮定せずに相対性原理のみから(すなわち、空間の等方性と特殊相対性理論によって暗示される対称性を使用して)、慣性系間の時空変換がユークリッド、ガリレイまたはローレンツのいずれかであることを示すことができます。ローレンツの場合、相対論的な間隔の保存と特定の有限の制限速度を得ることができます。実験は、この速度が真空中の光の速度であることを示唆しています。』

これは何を言っているのか、といいますと3番目の方法として「光速不変の原理を使わなくてもローレンツ変換は導ける」と言っているのです。(注1)

但し相対論の歴史の中ではあまりこの話は人気はなかった様で、アインシュタインの特殊相対論の発表に続いて早い時期からそれなりの検討・発表が行われた模様ですが「あまり注目される事もなく」今日まで至っている、というのが現状の様です。



注1:ういきのこの記述についての具体的な内容を始めて知ったのは以下の記事からでした。

「ローレンツ変換の形式は光速度一定とは無関係」 : https://archive.ph/VXKSq :

『Lorentz変換は(その形式だけなら)、光速度一定やMaxwell方程式とは無関係に、次の4つの一般的な要請だけで決まる。

時空の一様性
空間の等方性
運動の相対性
変換が群をなす・・・』

ここに書かれている事はとても衝撃的な内容であり、「光速不変の法則がなければローレンツ変換は出てこない」と思い込んでいた当方にとっては本当に「目からうろこ」なのでした。

そうしてまたこの記事によって「ういきの記述が何を言っていたのか」その具体的な内容が理解できたのです。

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.ph/pNFIa