K系にあるライトコーンをK'系が速度Vで移動する事によるローレンツ変換が作り出す切断平面が切断し、その切り口がローレンツの楕円になり、それをK'系の原点に立つ観測者は「自分を中心として同心円状に光は広まっている」と観察する事はこれまで見てきた通りです。
そうしてそれが「光速が不変である事の説明」でもありました。
それで、ここまでで示したやり方はK'系の原点から光を出した1秒後にK'系の原点に立つ観測者は「自分を中心として同心円状に光は広まっている」という所をスタートラインにしたものでした。
そうしてそのK'系の同心円状に広まった光の円をローレンツ逆変換する事でK系に戻したのでした。
そうするとK系にあるライトコーンがローレンツ変換が作り出す切断平面によって切断される有様が見えるようになりました。
それで、このページでやろうとしている事は「そのようにK系で切断されたライトコーン(=ローレンツの楕円)をローレンツ変換してK'系に移すと本当に元の姿のライトコーン(=円)になるのか?」という事の確認作業になります。
さてそれでまずは「K系にあるライトコーンがローレンツ変換が作り出す切断平面によって切断される有様」を再確認しておきます。
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まずは切断面に現れるローレンツの楕円の確認です。
x=(cos t+0.58*1)/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=(1+0.58*cos t)/sqrt(1-0.58^2) パラメトリックプロット tは0から2π
実行アドレス
https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28cos+t%2B0.58*1%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+%2C+y%3Dsin+t+%2C+z%3D%281%2B0.58*cos+t%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80
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上記をライトコーンの形に再構成したもの
v=-2から10, u=0から2πで,(1.22757*v*cos u + 0.71199*v,v*sin u ,1.22757*v + 0.71199*v*cos u) 3次元パラメトリックプロット
実行アドレス
https://ja.wolframalpha.com/input?i=v%3D-2%E3%81%8B%E3%82%8910%2C++u%3D0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80%E3%81%A7%EF%BC%8C%281.22757%EF%BC%8Av*cos+u+%2B+0.71199%EF%BC%8Av%2Cv*sin+u+%2C1.22757%EF%BC%8Av+%2B+0.71199%EF%BC%8Av*cos+u%29%E3%80%80%EF%BC%93%E6%AC%A1%E5%85%83%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88
ここではローレンツ逆変換の式の係数が実数化されている(=1/sqrt(1-0.58^2)=1.22757・・・)のですが、これはウルフラムへの入力文字数削減の為であって、入力式そのものに基本的な違いはありません。
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さてそれでローレンツ逆変換は
x=(cos t + 0.58)/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=(1+ 0.58*cos t)/sqrt(1-0.58^2)
と書けます。
その式の係数を実数化したものは
x'=1.22757*cos t + 0.71199,y=sin t ,t'=1.22757 + 0.71199*cos t ・・・①式
ここで(x',t')はローレンツ逆変換された後の時空の座標データであり、t は媒介変数です。
それでローレンツ変換は
x=(x' - 0.58*t')/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=(t'- 0.58*x')/sqrt(1-0.58^2) ・・・②式
となります。
さてそれで、ここではローレンツ逆変換をしたデータを今度は再びローレンツ変換するのでした。
従って②式の中に①式を代入します。
②式 x=(cos t - 0.58)/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=(1- 0.58*cos t)/sqrt(1-0.58^2) は
x=((1.22757*cos t + 0.71199) - 0.58(1.22757 + 0.71199*cos t))/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=((1.22757 + 0.71199*cos t)- 0.58*(1.22757*cos t + 0.71199))/sqrt(1-0.58^2) となります。
それをウルフラムに入れます。
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x=((1.22757*cos t + 0.71199) - 0.58(1.22757 + 0.71199*cos t))/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=((1.22757 + 0.71199*cos t)- 0.58*(1.22757*cos t + 0.71199))/sqrt(1-0.58^2) パラメトリックプロット tは0から2π
実行アドレス
https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28%281.22757%EF%BC%8Acos+t+%2B+0.71199%29+-+0.58%281.22757+%2B+0.71199%EF%BC%8Acos+t%29%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+%2C+y%3Dsin+t+%2C+z%3D%28%281.22757+%2B+0.71199%EF%BC%8Acos+t%29-+0.58*%281.22757%EF%BC%8Acos+t+%2B+0.71199%29%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80
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円に戻ったように見えます。
確認の為に平面図を見ておきます。
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x=((1.22757*cos t + 0.71199) - 0.58(1.22757 + 0.71199*cos t))/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t パラメトリックプロット tは0から2π
実行アドレス
https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28%281.22757%EF%BC%8Acos+t+%2B+0.71199%29+-+0.58%281.22757+%2B+0.71199%EF%BC%8Acos+t%29%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+%2C+y%3Dsin+t+%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80
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ハイ、K’系での円がK系では楕円になり、それがまたK’系では円になりました。
つまりK’系の円をローレンツ逆変換してK系でローレンツの楕円にした、今度はそのデータをローレンツ変換したらもとのK’系の円に戻った、というお話です。
さてそれでこの時のxを調べてみます。
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ウルフラム入力
x=((1.22757*cos t + 0.71199) - 0.58(1.22757 + 0.71199*cos t))/sqrt(1-0.58^2)
実行アドレス
https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28%281.22757%EF%BC%8Acos+t+%2B+0.71199%29+-+0.58%281.22757+%2B+0.71199%EF%BC%8Acos+t%29%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+
出力された「展開された形」をみると「xはほとんどcos t だ」とウルフラムは言ってます。
そうしてここで誤差が出ているのは係数を実数化した時の有効数字が5ケタの為です。
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次に t を調べてみます。
ウルフラム入力
z=((1.22757 + 0.71199*cos t)- 0.58*(1.22757*cos t + 0.71199))/sqrt(1-0.58^2)
実行アドレス
https://ja.wolframalpha.com/input?i=z%3D%28%281.22757+%2B+0.71199%EF%BC%8Acos+t%29-+0.58*%281.22757%EF%BC%8Acos+t+%2B+0.71199%29%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+++
「展開された形」をみると 「t はほとんど 1 だ」(=時間 t は1秒後だ)と言ってます。
そうしてここで誤差が出ている理由は同上です。
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さてこうしてローレンツ変換したものをローレンツ逆変換すれば元に戻る事が数値ベースで確認できたことになります。
ちなみにこのローレンツ逆変換はローレンツ変換に入力する相対速度VをーVに変更しただけのものです。
そうして実はこのVをーVに変える、という事は上記の文脈では「時間を元に戻す」という事と同義である事が分かります。(注1)
つまり「フィルムを逆回転させればそこに記録された現象(=画像)は元に戻る」という事をやっているので、「元に戻るのはあたりまえ」という事になります。
注1:これはK系に対してK’系が相対運動していてその速度の絶対値がVである時に、K’系の相対運動する方向(=時間が進む方向)にK系とk’系のX軸のプラス方向を取る、という相対論の(=ローレンツ変換を考える時の)前提条件に起因していると思われます。
それはつまり「ローレンツ変換に代入されるVはV>0である。」という決まりでもあります。(V<0を代入するとそれは自動的にローレンツ逆変換になってしまいます。)
PS:相対論の事など 記事一覧
https://archive.ph/leLGU