特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その3・ ローレンツ変換の導出とその歴史的経緯

2023-01-17 07:24:14 | 日記

記述不足がありましたので追記しておきます。

1976年 JM Lévy-Leblond 著 · 1976年 :概要 https://ui-adsabs-harvard-edu.translate.goog/abs/1976AmJPh..44..271L/abstract :ローレンツ変換導出のもう一つの方法

論文pdf: https://web.physics.utah.edu/~lebohec/P3740/levy-leblond_ajp_44_271_76.pdf

この中で1921年 L.A.Pars, Philos.Mag. 43,249(1921) についての言及有。<--この部分、追記

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一方、日本の歴史の中では

1983年 1. 菅野礼司, 物理学の論理と方法(上), 大月出版, 1983

https://sken20k.hatenablog.com/entry/2018/02/03/121741 の参考文献1

2005年 井上猛, ローレンツ変換に付いて, 天界 2005 年 10月

http://perihelie.main.jp/contents/0510_tenkai.pdf

2018年 「ローレンツ変換の形式は光速度一定とは無関係」 はてなブログ sken20k

https://sken20k.hatenablog.com/entry/2018/02/03/121741

2022年 「MMの楕円の3Dプロット・相対論」 サイエンスフォーラム entangle1

http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=28794 : https://archive.ph/77c5C

entangle1はこの変換がマクスウェル方程式を不変な形で変換することを、2022年に図形的に証明(それはまた「光速不変の原理」が成立しているメカニズムの図形的な説明でもある。)

としましたが、T_NAKAさんが独自に群論を使う方法で同様の結論に到達されていた模様です。

『このブロクでは「光速度不変の原理」は要らないと何度も言ってますが、一番表現が簡潔な記事は時空線形変換の一般系からローレンツ変換へ_rev02 です(前提として 「時空線形変換の一般系」を再掲 を読んでもらう必要がありますが)。・・・』by T_NAKA

従って
2005年 井上猛

2018年 sken20k
との間に以下の記述が入る事になります。

時空線形変換の一般系からローレンツ変換へ_rev02
2011/10/16
T_NAKAの(新)阿房ブログ
https://tnakabou.seesaa.net/article/201110article_23.html

光速不変を使わないローレンツ変換の導出を独力で見つけ出すT_NAKAさんの力と言うものはすごいですね。

参考までに、上記内容に言及されている以下の記事もあげておきます。

「光速度不変の原理」は要らない?(2013/9/22)
https://tnakabou.seesaa.net/article/201309article_23.html

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という訳で、以下、修正版年表

「ローレンツ変換導出の歴史」

1887年 MMの干渉計の実験結果の発表:アルバート・マイケルソンとエドワード・モーリーによって行なわれた光速に対する地球の速さの比 (β = v/c) の二乗 β2 を検出することを目的とした実験(注1)

1889年 ジョージ・フィッツジェラルド(1889) ローレンツ短縮仮説

1892年 ヘンドリック・ローレンツ(1892) ローレンツ短縮仮説

ローレンツ短縮仮説は、マイケルソン・モーリーの実験の否定的な結果を説明し、静止エーテルの仮説を救うためのもの。

1897年 アイルランドのジョセフ・ラーモア(1897年)全ての力が電磁気的な起源を持つと考えられるモデルを開発

1899年 オランダのヘンドリック・ローレンツ(1899年)

1900年 ローレンツはこの変換がマクスウェル方程式を不変な形で変換することを、1900年に発見

1904年 『ローレンツ変換は1904年に初めて発表されたが、当時これらの方程式は不完全であった。<--フランスの数学者アンリ・ポアンカレが、ローレンツの方程式を、今日知られている整合性の取れた 4 つの方程式に修正した。』(修正はアインシュタインの特殊相対論の発表より前に行われた模様。)

1905年 アインシュタインの1905年の特殊相対性理論の最初の発表

      『1905年のアインシュタインの特殊相対性理論の最初の提示に続いて、多くの異なる仮定のセットがさまざまな代替の導出で提案されました。』

たとえば

1906年、ポアンカレ 『6月の論文(いわゆる「パレルモ論文」、7月23日受領、12月14日印刷、1906年1月発行)の大幅な拡張作業を終了しました。

彼は文字通り「相対性理論の仮定」について話しました。彼は、変換が最小作用の原理の結果であることを示し、ポアンカレ応力の特性を開発しました。彼は、ローレンツ群と呼ばれる変換のグループ特性をより詳細に示し、その組み合わせを示しました。x ^ 2 + y ^ 2 + z ^ 2-c ^ 2*t ^ 2は不変です。(注:ローレンツ変換での不変量についてはポアンカレが最初に指摘した模様)』:ういき「特殊相対論の歴史」: https://archive.ph/xhfqD :から引用

『このように,かなり一般的な幾何学的仮定と変換群の要請のみで, ローレンツ変換則と同形の疑似ローレンツ変換則が導かれる.その際の鍵は変換が群をつくるということである.このことをいち早く指摘したのはポアンカレであった.』(注3)

1907年 ミンコフスキー 11月5日にゲッチンゲンの数学会で行った講演「相対性原理」。この中でローレンツ変換での不変量について語る。(注4)


1921年 L.A.Pars, Philos.Mag. 43,249(1921) : https://www-tandfonline-com.translate.goog/doi/abs/10.1080/14786442108633759?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

・・・

1964年 『1964年の論文で、[2] Erik Christopher Zeemanは、光速の不変量よりも数学的な意味で弱い条件である因果関係保存特性が、座標変換がローレンツ変換であることを保証するのに十分であることを示しました。』(注2)

1975年 Lee, A. R. ; Kalotas, T. M. 「Lorentz transformations from the first postulate:最初の仮説からのローレンツ変換」: https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/1975AmJPh..43..434L/abstract

『この論文では、普遍的な制限速度の存在の先験的な仮定に頼ることなく、相対性原理のみを呼び出すことによるローレンツ変換の導出を提示します。
そのような速度は最初の仮定の必要な結果であることが示され、それが無限ではないという事実は実験によって裏付けられています。』

https://www.deepdyve.com/lp/aapt/lorentz-transformations-from-the-first-postulate-njZkMjKvfd?key=aip

1976年 JM Lévy-Leblond 著 · 1976年 :概要 https://ui-adsabs-harvard-edu.translate.goog/abs/1976AmJPh..44..271L/abstract :ローレンツ変換導出のもう一つの方法

論文pdf: https://web.physics.utah.edu/~lebohec/P3740/levy-leblond_ajp_44_271_76.pdf

この中で1921年 L.A.Pars, Philos.Mag. 43,249(1921) についての言及有。

1979年 1979-01-01 クック、RJ :13 ローレンツ 変換の自己逆形式についてのコメント

https://worldwidescience-org.translate.goog/topicpages/g/generalized+lorentz+transformations.html?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

『・・・したがって、制限速度の仮定がすべての慣性系で因果関係が満たされるという要件に置き換えられた場合、特殊相対性理論の出現よりずっと前に知られ広く受け入れられていた概念に完全に基づいたローレンツ 変換の導出に到達します。
すべての慣性系における空間の均一性と等方性、相対性原理、および因果関係の原理。』

1983年 1. 菅野礼司, 物理学の論理と方法(上), 大月出版, 1983

https://sken20k.hatenablog.com/entry/2018/02/03/121741 の参考文献1

2004年 V.Yakovenko, Derivation of the Lorentz Transformation, Lecture Note of Univ. Maryland, 2004 

http://www2.physics.umd.edu/~yakovenk/teaching/Lorentz.pdf

2005年 2005/1/4 Yaakov Friedman Physical Applications of Homogeneous Balls
with the assistance of Tzvi Scarr Progress in Mathematical Physics 40
2005/1/4

『この章では、光速が一定であると仮定せずに、ローレンツ変換を導出します。 特殊相対性理論とそれに関連する対称性の原理のみを使用します。
この原理は、2つの慣性システム間のガリレオまたはローレンツ時空間変換のみを許可することがわかります。
ローレンツ変換の場合、間隔と特定の速度の保存が得られます。
既知の実験から、この速度はC、真空中の光の速度です。・・・』

https://www.jct.ac.il/media/5619/bookmain.pdf

でDL可です。

2005年 井上猛, ローレンツ変換に付いて, 天界 2005 年 10月

http://perihelie.main.jp/contents/0510_tenkai.pdf

2007年 『Norman Goldsteinの論文は、因果関係ではなく慣性(時間のような線の保存)を使用した同様の結果を示しています。[3](同様の結果=座標変換がローレンツ変換であることを保証するのに十分であること)』(注2)

2007年 David Morin (2007) Introduction to Classical Mechanics, Cambridge University Press, Cambridge, chapter 11, Appendix I

https://www.academia.edu/43410742/David_Morin_Introduction_to_Classical_Mechanics_With_Problems_and_Solutions

で見る事が出来ます。(DLも出来るが、少々面倒である。)

注目すべきは

「11.10 Relativity without c」の章と

Appendix I Lorentz transformations P708~710

です。

上記「11.10 Relativity without c」を含む一部本文は

https://scholar.harvard.edu/files/david-morin/files/cmchap11.pdf

でDL可です。

ちなみにこの論文の中でDavid Morin さんは「1975年 Lee, A. R. ; Kalotas, T. M.」を引用されています。

2011年 「時空線形変換の一般系からローレンツ変換へ_rev02」 T_NAKAの(新)阿房ブログ

https://tnakabou.seesaa.net/article/201110article_23.html

2018年 「ローレンツ変換の形式は光速度一定とは無関係」 はてなブログ sken20k

https://sken20k.hatenablog.com/entry/2018/02/03/121741

2022年 「MMの楕円の3Dプロット・相対論」 サイエンスフォーラム entangle1

https://archive.md/77c5C

http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=28794 : https://archive.ph/77c5C

entangle1はこの変換がマクスウェル方程式を不変な形で変換することを、2022年に図形的に証明(それはまた「光速不変の原理」が成立しているメカニズムの図形的な説明でもある。)



注1:ういき「マイケルソン・モーリーの実験」 : https://archive.ph/ENUqB :

『静止したエーテル中の電磁気理論(1864年[3])を作り、光は電磁波であるという説(1871年[4])を立てたジェームズ・クラーク・マクスウェルは、ある時、自身の方程式の数式中に、直接的ではないものの、静止エーテル中の地球の運動が適当な光学上の実験で探知できることが示されていることに気づいた[注釈 4]。

ただし、その方法とは、マクスウェルがワシントンの航海年鑑局に勤務していたデイヴィッド・ペック・トッドに宛てた手紙の中で

「光速度を測定する地球上のあらゆる方法では、光は同じ道筋を通って帰ってくる。エーテルに対する地球の運動は、往復で、光速に対する地球の速度の比の二乗だけ変化するが、これは小さすぎて観測できない」

と述べている[5][注釈 5]ように、光の速さ c に対する地球の軌道運動の速さ v の比 (β = v/c) の二乗、すなわち β2 で表される極めて小さい有限の量を測定するという非常に高い測定精度が必要なものであった[注釈 6]。

一方、上記マクスウェルからの手紙を読む機会を得た、トッドの同僚でアメリカ海軍士官であったアルバート・マイケルソンは、そのマクスウェルの考えた測定実験に興味を抱いた。』

↑この話の発端がマクスウエルにあった、と言う事実は興味深いものがあります。

そうして「今はできないかもしれないが、こういう実験が可能である」と公表しておく事は意味がある、という例でもあります。

注2:ういき英語版 「ローレンツ変換の導出」 : https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Derivations_of_the_Lorentz_transformations?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

注3:「微分形式による特殊柑対論」
菅野礼司著
丸善(1996 年9 月)の29ページに上記記述あり。

そうなりますと「光速不変を使わないローレンツ変換を最初に言い出したのはポアンカレ」という事になります。ちなみにこの資料は下記アドレスから入手できます。: https://ps.jp1lib.org/book/16289277/69acde :<--ここからDL可

注4:fnorio氏がまとめられた資料から引用: https://archive.md/rhjsW :

 

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.ph/ot4fM