特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

アインシュタインの静止系は成立していない

2023-07-11 03:34:31 | 日記

まずは『「時間の遅れ」合成則』: https://archive.md/uxxkb :を参照します。

そこでの話は「基準慣性系にO君がいます。」で始まっています。

そうして「基準慣性系ではないアリス慣性系からボブを見た時の相対速度V2で計算したボブの時間遅れの数値は、アリスから見た実際のボブの時間遅れを表していない」が結論になっています。

つまりは「基準慣性系ではない、その他大勢の慣性系からは相手の慣性系の時間遅れはその相対速度Vを使うだけでは計算できない」のです。

あるいはそれは「アリスがO君に対して持っている相対速度V1とボブに対しての相対速度V2をつかってあとは時間の遅れ合成則を使う事でアリスがボブを見た時の時間遅れを修正計算できる」と言い換える事もできます。

 

さてそれで、上記の例では「O君は基準慣性系=客観的に存在している静止系に立っている」という前提条件で話を始めました。

しかしながら我々が暮らす地球を始めとして「任意に慣性系を選択した時に、その慣性系が基準慣性系と一致している確率はほほゼロ」です。

そうであればここでは「O君は任意に選ばれた一つの慣性系に立っている」という条件で話を始めます。

そうなりますとO君、アリス、ボブの立場は本当に平等になります。

そこには何の違いも見いだせないのです。

 

さてその様に前提条件を変えましても上記で参照した『「時間の遅れ」合成則』で行った計算には修正する所がありません。

それはつまり通説に従えば「アインシュタインがいう所の『私が立っている所が静止系であるとしてよい』宣言があるから」ですね。

そうして上記の場合『私』とは「O君の事」です。

それで「私=O君からアリスを見た時にアリスの時間は0.6掛けでO君の時計より遅れている、と計算できます。」

それでその時にアリスからボブを見ますればボブは相対速度V2でアリスから離れていく事が観測できます。

さてそうであれば「アリスはボブの時間はsqrt(1-(V2)^2)でアリスの時間よりも遅れている」と主張するのです

 

しかしながらそこで「私=O君」が登場して「いいやアリスよ、それは違っている」というのです。

何故なら「時間遅れの合成則があるではないか」と言い「修正係数(=1/(1+V1*V2))を計算値に掛けないといけない」というのです。

その結果はアリスからボブを見た時の時間の遅れの値は0.934051から0.934051/(1+0.8*0.35714)=0.7264854に変更される事になりました。

 

さてこの時にO君によって計算されたアリス自体のO君に対する時間の遅れ、sqrt(1-(V1)^2)の値が「実際にO君から見たアリスの慣性系の時間の遅れである」と主張するのが通説の立場です。(注1)

そうであればまた通説では「アリスからボブを見た時のボブの時間の遅れは0.726485である」と言っている事になります。(注2)

 

さてそれでここで『私』を「O君」から「アリス」に変更します。

他は一切の変更はなしです。

さてこうして主導権を得たアリスは「O君よ、私の時間が遅れているのではなくて、君の時間が遅れているのだよ。」と主張する事になります。

これはいままで検討してきた「時間の遅れはお互い様」そのものです。

『私』が「静止系を決める」のであれば、当然そうなります。

 

さてそれが今までも検討してきた「通説が持つパラドックス」でした。

それでね、もうひとつの致命的な問題はアリスがボブを見た時に起こります。

今度は『私』が「アリス」ですから「アリスからボブを見た時の時間遅れの計算には修正係数が不要」なのです。

それが「時間遅れの合成則の計算手順だから」です。

そうしてそのルールは前の計算でも今回の計算でも同じように成立します。

「その計算ルールが成立しない」という事はないのです。(注3)

そうであれば今度は「アリスからボブを見た時の時間遅れは0.934051でよい」という事になるのです。

 

さあそうなりますと通説は「実際にアリス慣性系からボブを見た時の時間の遅れは幾つですか?」という質問に答えなくてはいけません。

ここで『私』がO君からアリスに変わってもアリスがボブを観測する状況には一切の変更はありません。

そこにはどのような物理的な変更もないのです。

さあそこで通説が「答えは0.726485である、と同時に0.934051です。」というのでは「あなたの物理学はそういう物理学ですか?」と言われてしまいます。(注4)

 

以上が「通説の時間遅れの計算が持つもう一つのパラドックス」となります。

これは「任意の慣性系に立つ『私』が静止系を決めてよい」という前提と「その『私』が立つ慣性系に対して相対速度Vをもつ慣性系の時間の遅れはsqrt(1-V^2)で計算できる」という2つの前提からでてくる「避けられないパラドックス」となります。

 

注1:つまりはそれがアインシュタインとミンコフスキーの立場です。

注2:「アリスからボブを見た時のボブの時間の遅れは0.726485である」としないと「O君からボブを見た時の時間遅れ0.43589」が説明できなくなります。

注3:相対論的な速度の加法則が成立すれば無条件で「時間遅れの合成則」は成立します。

従って「時間遅れの合成則」はローレンツ変換が支配する宇宙では恒等式となります。

注4:ランダウ・リフシッツに代表される「時間の遅れはお互い様」証明では少なくとも「観測する主体そのものの位置が入れ替わる」=「今まで観測対象とされていた慣性系が今度は観測する慣性系になる」のです。

これは「物理的な変更=観察者の位置が変わる」という事です。

その結果「時間の遅れはお互い様」となるのでした。

しかしながら上記本文で示しているのは「アリスがボブを観測する」という事に対しては『私』がO君であろうがアリスであろうが、その状況には何の変更点も生じてはいない、という事です。

そうであれば当然「アリスがボブを観測した時に得られる時間の遅れの値には(本当にそれが慣性系の時間遅れを測定できていた、とするならば)そこには何の変化も生じていない」という事になります。

時間の遅れの値には変化はないはずです。

そこでもし「時間の遅れとしてきた数値が変化する」としたら「その数値は本当の時間の遅れを表してはいなかった」という事になります。

 

追記:この『私』のO君からアリスへの変更で影響をうけるもう一つの計算はボブがO君を観測した時の時間遅れの計算です。

その時の相対速度V3はO君がボブを観測しようがボブがO君を観測しようが、値としては同じものです。

しかしながら『私』がO君の時はO君からボブを見た時の時間遅れ計算ではV3を使ってそのままsqrt(1-(V3)^2)で計算しますが、『私』がアリスの時はボブからO君を見た時の時間遅れの計算には修正係数が掛かる事になります。

そうしてそれが避ける事ができない「時間遅れの合成則のルール」なのです。

そうであればこそ『私』が「基準慣性系=客観的に存在する静止系に立っている事」が「相手の慣性系を観測した時に得られる相対速度Vを使っても正しく相手の慣性系の時間遅れを計算できる唯一の状況」という事になるのです。

なんとなれば「その状況にある時のみ観測で得られた相対速度Vが相手の慣性系の固有速度aになるから」です。

それ以外のいわゆるアインシュタインが言う所の「『私が立っている慣性系』はどの慣性系であっても等しく静止系にして良い」という「俺様主義の静止系」あるいは『私が決めた主観的静止系』では「観測された相対速度Vを使った計算を行っても相手の慣性系の時間遅れの正しい値にはならない」という事になります。

さてそれはつまり「アインシュタインの主張する静止系は静止系として機能していない」という事なのです。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/ryYVC