特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

光速がいつもCとして観測されるカラクリ

2022-10-30 02:44:44 | 日記

さて前のページではXプラス方向に伸びたMM干渉計の腕の先にある鏡に向かって原点から光が飛ぶ場合をまとめました。

それでMM干渉計は回転させることができ、ぐるっと180度回します。

そうすると今度は速度0.8CでXプラス方向にMM干渉計は移動するのですが、原点から出た光はMM干渉計とは反対方向に走ることになります。

そうしてこの場合にXマイナス方向に伸びた腕の先にある時計は原点に対して未来方向に0.8秒ずれる事になります。

それで今度はこの状況で前ページで行った議論を、順序を入れ替えて行うだけです。

そうするとやはり光は往復測定でも、片道測定でもその速度はCとして観測される事がわかります。

以上でX軸方向についての議論は終了です。


次にY軸方向の検討に入ります。

基準慣性系から見た時にY軸方向に飛んだ光についてはすでに 「その3・ マイケルソン・モーレーの実験とローレンツ短縮・相対論」 : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=27975 :で扱っており、往復で3.3333・・・秒かかる事が分かっています。

そうしてこの時間は基準慣性系での時間ですから、例によって0.6を掛ける事でMM干渉計の時間に換算しなくてはなりません。

それで 3.3333・・・秒*0.6=2秒 となり、X軸方向に飛んだ光と同タイムで原点に戻ってくることが分かります。

そうしてまたY軸方向に飛んだ光のパスは行きと帰りの長さが同じですので、行きに1秒、帰りに1秒かかった事は自明でありましょう。

ちなみにY軸方向にはローレンツ短縮は起りませんし、同時にまたY端の時計が原点の時計に対して未来や過去にずれ込むこともありません。基準慣性系から見てもY端の時計は何時も原点の時計と同じ時刻を表示しています。


さてそうなりますとMM干渉計の原点に立つ観測者は「MM干渉計が静止していようが運動していようが、原点から出た光はX軸方向、Y軸方向ともに光速Cで伝わっていく」と判断するのは当然の事となります。

まあ基準慣性系に対してMM干渉計が静止している場合は「原点から出た光はX軸方向、Y軸方向ともに光速Cで伝わっていく」となるのは自明の事の様に思われます。

この状態ではMM干渉計が基準慣性系にあるのですから、原点から出た光は原点を中心として球面波として広がるのを観測します。


それで問題はMM干渉計が速度0.8CでプラスX方向に運動している場合です。

この場合もMM干渉計の原点に立つ観測者は「原点から出た光はX軸方向、Y軸方向ともに光速Cで伝わっていく」=「原点を中心とした球面波で伝わると観測する事」はいままでの議論で示してきた通りです。


さてこの時に基準慣性系からこれを見ますとどのように見えるのか、という事になるのです。

その状況がわかるアニメーションがあります。

ドップラー効果の原理 : https://archive.ph/R0Nku

同ページの上から7番目のアニメーションがそれを示しています。

最初はMM干渉計が基準慣性系に対して静止している状況を示します。

その時は原点から出た光は原点を中心とした同心円で周囲に広がっていきます。

しばらく見ていると光源が(ここでは音叉ですが、、、)右に移動し始めます。

そうすると光は進行方向に詰まった形で右に進むことが分かります。

この時に光源を原点としてX軸、Y軸をそこに重ねますと、光の速度が一番遅くなるのが+Xの進行方向、次にY軸方向、そうして一番速く(光速Cを超えて)観測されるのが光源の進行方向と逆方向のーX方向です。

その様にMM干渉計の原点に立つ観測者は観察するはずだ、と主張するのが「ガリレイ変換の立場」となります。

一方で「基準慣性系からみればアニメーションが示している通りの状況が観測されるが、MM干渉計の原点に立つ観測者は原点から同心円状に広がる光を観測する」と主張するのが「ローレンツ変換の立場」=「特殊相対論の立場」という事になります。


さて以上の内容が

『ローレンツはこの変換がマクスウェル方程式を不変な形で変換することを、1900年に発見した。・・・ローレンツ変換は1904年に初めて発表されたが、当時これらの方程式は不完全であった。フランスの数学者アンリ・ポアンカレが、ローレンツの方程式を、今日知られている整合性の取れた 4 つの方程式に修正した。・・・

ガリレイ変換は、等速運動をする慣性系間の座標変換であり、ニュートンの運動方程式は不変な形で変化するが、マクスウェルの方程式では満足されない古典的な座標変換である。

ローレンツ変換は、マクスウェル方程式を不変な形で変換する。』

という事の具体的な内容であります。(注1)

注1:ローレンツ変換 : https://archive.ph/3LWS5 :を参照願います。


追記:あるいは上記で示した内容は

1.4 特殊相対性原理と光速不変の原理 : https://archive.ph/zyT2J

に書かれてある

《・・・電磁気学の基本法則は4式のMaxwell方程式ですが,特殊相対性原理より全ての慣性系で同じ形式の方程式になると結論付けられます.

よって,Maxwell方程式から導出される波動方程式も,全ての慣性系で同じ形式の方程式になります.実際に,変換後の慣性系での波動方程式を書き留めておくと,『変換後の慣性系での波動方程式<--上記アドレス参照の事』です.

ダッシュが付いているのは,変換後の座標における量であることを示しています.ここで,波動方程式には光速 C が含まれていて,同形の波動方程式から計算されるので,全ての慣性系において光速は同じ値になることが理解されます.この結論は常識とは相容れませんが,Einsteinは原理として採用しました.》

ということの具体的な内容でもあります。


追伸の1
以上の事より「地球上でいくら光速の測定をしても地球が基準慣性系であるのかどうか、光速の測定結果だけでは判断できない」という事が分かります。

何となれば「地球が基準慣性系であってもなくても、光速の測定結果は常にCとなるから」であります。

そうしてこの事はまた

地球上で言う「光速度一定の原理」というのは

「光は基準慣性系を光速Cで伝わる+ローレンツ変換が成立する」

という事と同等である事を示しています。

ちなみにこの主張が特殊相対論の主張とどこが違うのか、といいますと、特殊相対論は

「すべての慣性系は平等である」とするのですが、それに対して上記の主張は

「すべての慣性系に優先する基準慣性系が存在する」と表明しているのです。



PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.ph/qgD49