中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

洗練された国際都市、シンガポールの存在感。

2012-03-20 19:52:16 | 国際
私の同僚の中国人は20年前に上海から日本にやってきました。その頃の日本は憧れの的で、日本の位置づけはアジアのドラゴン(龍)と呼ばれていたようです。実際、清朝末期以降は、良くも悪くもアジアを引っ張ったのは日本であり、占領、併合などはありましたが、少なくとも欧米列強のアジア植民地支配から脱却するための一矢を放ったとも言えます。敗戦とともに、その歴史は単純に占領、侵略、軍国主義と負の側面しか伝えられてませんが、敗戦後もアメリカの掌の中とは言え、世界がうらやむ経済発展をとげたことは紛れもない事実です。

その頃、四小龍(四つの小さな龍)と呼ばれていたのが、香港、台湾、韓国、そしてシンガポールです。今やアジアの金融、経済の中心と言えば、上海を思い浮かべるのが普通ですが、20年前は浦東開発が始まったばかりで、日本に次ぐアジアの龍はこの四つの国(エリア)と言われていたわけです。今や、中国の発展とともに、香港は対岸の広州も含めた広東省の巨大経済圏に、台湾も経済面では福建省を含めた両岸経済圏に組み込まれてはいますが、本土の発展の恩恵も最大限に謳歌しているように思えます。韓国は通貨危機以降、政府と財閥一体となった戦略で世界の舞台にのし上がりました。ま、強いて批判すると、富士山や寿司など、日本を彷彿させるような広告手法や看板で、欧米に進出するのはやめていただきたいですが。

そしてシンガポール。日本どころではない面積わずかな都市国家。そこには世界の縮図が反映されているように感じます。昨年の訪問は、ジャカルタの帰り道、多少、物見遊山な側面もありましたが、今回は、シンガポールに明確な目的を持ってきています。同じ便には、日本の私立中学の修学旅行生が乗っていたので、空港で何人かの男の子に「英語は勉強してきたの?」と聞いてみました。「全然できないよ~」とは言っていましたが、日本語もろくにできないうちから英語を学ぶせるより、このシンガポールの環境に触れることで、帰国後に、英語を自ら学んでみたくなる子供は少なくないことでしょう。感のいい子なら中国語にも興味を持つかも知れません。

シンガポールは、単なる自由の国ではなく、政府という社長が国の経営を遂行している国家です。外国人労働者にも厳しい制限をつける反面、外資の受け入れにも比較的寛容、シンガポールの市場と言うよりは、シンガポールをハブにして、中国、東南アジア、インドも含めたアジア全体、さらには欧米へ進出する要となります。また、中国語だけでも生活に困らず、実際に華人も多く、まるで中国にいるようですが、ゴミは落とさない、クラクションは鳴らない、信号は守る、道は譲るなど、かっての日本の良さも兼ね備えた洗練された都市でもあります。

過去にそうだったように、中国が巨龍として復活したとするならば、シンガポールは鋭龍とでも呼びましょうか?アジアにとどまらず、世界経済の発展と調整の鍵を握っている~Keen Dragon~と言ったところでしょうか。