中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

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意外な誤解①・・・中国語の標準語は北京語?

2011-08-22 16:31:13 | 中国語
中国語がすっかり英語に次ぐ言語として、必要性だけは叫ばれるようになりました。ただ、世界の言語人口や華僑も含めた華人の経済的影響力を考えると、実は順序が逆ではないかと思うこともありますが、こと日本人に関しては、英語が鬼門。英語も中国語も!のハードルの高さは、ミッションごとに細かい分析をしないと、語学研修自体が無駄になることも以前に述べたとおりです。安易に「これからは中国語」と叫ぶ勿れですね。

そんな中国語ですが、未だに多くの場面で耳にするのが、「中国語の標準語は北京語」と言った発言です。さらには、「マンダリン」と言う人もいますが、そもそも中国語とは何か?多分、その部分から説明しなければならないでしょう。答えを先に言うと、中国語(中国本土)の標準語は「普通話(Putonghua)」です。

「中国語」という中国語は本来は存在せず、大きくは漢民族の使う「漢語」と、55の少数民族の使う言葉に分類されます。さらに漢語の中に方言があり、同じ漢字を使うものの発音・表現がそれぞれ違うものがたくさんあります。代表的な方言だけでも、北京語、広東語、上海語、福建語があり、北京の近くの天津は天津語、上海の近くの蘇州は蘇州語となり、省ごと、あるいは山や川を一つ越えれば、そこにはそれぞれの方言があるのです。

ここでわかるように、北京語と言うのは、大きくは漢語の中の一方言に過ぎないのです。が、ここで重要なのは、これらの方言同士でそのまま会話しても、意思疎通に支障があると言う事です。日本の関東と関西の方言の差どころではなく、北京の人が上海語を聞いても、まったくわからないケースがほとんどです。このような状態では、国家として意思疎通ができないので、ある意味人工的に作り出した標準語、それが普通話なのです。

この普通話と言う標準語を作るのに参考にしたのが、北京を含む北方で使われている言葉だったことから、北京語=普通話と言われていますが、=ではなく≒(9割方は同じ)と理解してください。実際は、大連やハルピンの方のほうが標準語に近い言葉を話すとも言われています。いずれにしても1958年頃にほぼ完成した人工的な標準語、それが普通話であり、北京語はあくまで方言の一つです。北京の方はプライドも高く、私たちこそ標準だ!と言う人が多いですが、厳密には違います。

また、「マンダリン」については、時代背景が違っていて、清朝の官吏の間で使われていた言葉で、北京官話と呼ばれます。普通話ができる以前の話で、台湾においては、これを国語と呼びます。が、現在の中国の標準語「普通話」とは違います。華僑の国、シンガポールでもマンダリンと呼ばれますが、母国語としての中国語は、マンダリンでなく、「普通話」を教育しています。おわかりいただけましたでしょうか?

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