中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

中国の法律・・・変化する「生き物」ですね!

2011-09-21 16:16:44 | 中国
よくある先入観で、中国は法律なんかあってないようなもの・・・と言うのがあります。確かに、法律自体は、年間でもすごい勢いで変わりますし、一見すると法律を守っていない人のほうがはるかに多くも感じますし、実際そうだったりします。日本との比較で、法整備が遅れていると伝えられていますが、私が最近思うには、中国では、法律は整備するものではなく、常に時代や権力や経済の状況に応じて変化する「生き物」ではないでしょうか?

日本は小学生の頃に社会の授業で、日本国憲法について学びました。戦後、どころか私が生まれてからでも46年も経っている日本ですが、細則は別にして、原則的に憲法がドラスティックに変更されたとのニュースを聞いたことがありません。自衛隊派遣の時に、憲法9条がひたすら話題になりましたが、どうやって解釈を変えようかという試みはあっても、時代に即して憲法を見直す動きはご法度のようにも感じられます。

一方、中国においては、法律は年間何万本も改変され、わずか数年前の法律に詳しい専門家でも、現在の事情についていけなくなります。常にキャッチアップしなければならないわけですが、これも法律は完璧を期してから施行されるものではなく、仮施行と言う、仮免許みたいな段階があって、一部の反応を見ながら本格的な施行が1年後に来る・・・そのようなケースが多いのが現実。法典や規律表みたいな守るべきものと言うよりは、守ったほうがいいかどうか考えるための指標とでも言えましょうか?ただし、施行された限りは、仮施行の段階でも捕まれば罰則がありますし、後々緩和されたとしてもその時は運が悪いとあきらめざるを得ません。さらに、何年後かに遡って追徴される場合も少なくありません。法律はまさに、生身の人間と同じ、変化する「生き物」ですね。

そのような実態が理解できないと、法律や5ヵ年計画なども単なるお題目みたいに思えるかも知れませんが、どっこい、その運用は厳しいものがあります。特に所得倍増計画などの5ヵ年計画。日本のマニフェストには何ら実行責任が伴いませんが、5ヵ年計画に書かれた以上は、必ずそうなります。5年で倍、つまり毎年15%程度の賃金アップになるわけですが、政府が決めたことなので、必ずそうなります。また、偽者や水商売系の取り締まりにおいては、国慶節前など、期間限定でキャンペーンが始まったりします。昨日まで堂々と営業していたお店がいきなり閉鎖になったり、日本的感覚では理解しがたいかも知れませんね。

随分前に、トップダウンとボトムアップのバランスが中国のキーワード的なことを書きましたが、上からの目標設定、法律などの強制力は強固なものがありますが、実際の運用場面では、それぞれが抜け道など探しながら柔軟に対応する・・・そんな反応を見ながらトップが判断して新たな法律が生まれる・・・アンテナの張り方次第で、天国にも地獄にもなりますね。