中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

いくつもの中国!一つの華人!

2011-09-18 01:01:58 | 中国
今日は、知人の紹介で、中華民国100周年記念の会合に参加してきました。日本の教科書でも習いましたが、1911年、孫文(孫中山)が決起して、結果的には清朝を倒し、中華民国を設立のきっかけになったのが「辛亥革命」です。会場には、300人以上の方が集まり、華僑の重鎮から、日本の国会議員、さらには踊りに歌と余興まで飛び出し、座席指定の円卓には、中華のコースが運ばれ、途中で私は退席したものの、充実した時間を過ごすことができました。

タイトルの意味が少し説明が必要ですね。実は、「二つの中国、一つの民族」と書こうしたのですが、後者はまったくのでたらめになりますし、前者は、中国本土では大問題になります。1949年の中華人民共和国設立以降の中国本土と台湾の関係は、時に一触即発、現在でもミサイルの弾頭はお互いに向け合っています。古くは三国志、唐、明、清など王朝の歴史のほうが日本には馴染みがあるかも知れませんが、わずか100年の間の中国の近代史は、それはそれは激動です。中国と台湾が一つか二つか、単純に議論することが難しいくらい、欧米列強、日本の侵略、昨今ではアメリカの戦略も相まって、中台関係は一言では語りつくせません。(補足:辛亥革命以降は、年号が廃止されました)

スピーチに立った国会議員の一人は、しきりに「日本と台湾が、アジアの平和を担う!」と協調し、勝手に、中国への警戒感と敵対心を表明していましたが、何か時代錯誤に感じました。そもそも、台湾も一つではなく、前総統の陳水扁と、今の馬英九では、お互いの国の政治的距離感はすっかり変わっていますし、ましては、先ほども述べたミサイルを向け合っていたとしても、実利に関係する商売、ビジネスについては、遠い昔から「がっちり」やっているわけです。ステレオタイプの判断で、中国と台湾を、共産社会主義と民主資本主義的な発想で見ていると、何も見えなくなると思います。

中国国内も一つではなく、先富論に基づいた共産主義勢力と、汚職官僚・軍・海外資産流出系の資本主義勢力が拮抗していると感じますが、日本侵略時の国共合作(戦っていたはずの国民党と共産党が手を組む)など、単純に中国を国家論で語る難しさと同時に、全世界に根を生やした華僑も含めた華人としての一体感も思い知らされます。「一つの中華」、本土と台湾・全世界の華僑で、15億人近くはいるのではないでしょうか?世界人口の4人に1人弱です。かと思えば、政治的な台湾に限らず、同じ中国でも、主義主張の違い、民族の違い、気候風土、世代など、様々な中国が存在しています。

明日から久々の中国出張。その前に、中国、中華、華人について、あらためて考えるいい機会になりました。