中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

魔法か、奇跡か・・・「現地1週間100万円で商談の中国語?」

2011-09-12 19:45:01 | 中国語
久々に溜まりたまった新聞の切り抜きをしてみました。本来は、毎朝、確実にチェックすべきニュースではありますが、日々お邪魔している企業の現場の声のほうが、はるかに情報が早いこともあり、新聞の記事になった時点で、すでにプロジェクトは動き出していることも多く、切り抜きの狙いは、世間の温度を感じるためにしているというのが実情です。

さて、そんな中、開いた口がふさがらない記事に出会いました。某大手英会話学校のグローバルプランのようですが、1週間の中国現地研修で、なんと「商談などで必要となる実践的な中国語がマスターできる」とのこと・・・宿泊費込み、現地の企業にとりあえず連れて行って、1週間で100万円なり。以前にも、ネット系の会社が人脈を100万円で売ります的な「商い」について指摘しましたが、企業研修とは「金儲け」ではなく、ビジネスマンのニーズに合わせて、現実的なスキルを確実にアップさせることです。

はっきり申し上げましょう!中国語の初心者と言う条件付ですが、1週間、現地に行って朝から晩まで中国語を学習したとして、中国語で商談などできるわけがありません!そもそも、この企業のような考え方が、実践的・・・と耳障りのいいことを並べるものの、中国語の基本である発音、特に声調ができない生徒を大量に世に送り出しているのも事実、いわば発音難民を生み出す、大量破壊兵器みたいなものです。某大手と言いましたが、私の加盟している協会の重鎮でもありますので、一度、経営者の方と、とことん話しあう機会を持ちたいと思います。

※もちろん、よくあることで記者の方が企業の意図を理解せずに記事にした可能性もありますが・・・

怒りは収めて、あらためて申し上げますが、中国においてビジネスをする上で、1週間でなくとも2時間で身につくスキルはあります。それは「社名と名前の自己紹介」です。ただし、これは声調もろくにできないのであれば逆効果ですが、中国語とはどういう言語か、声調言語となぜ言われるか?そのことを理解していただき、使うべきスキルを限定するなら、2時間でもビジネス上、大いに役に立つでしょう。さらに、もし1週間あるとしても、今後の長い中国語学習の序盤戦にやるべきことは、ピンインと声調記号さえあれば、自分で単語を増やし独学も可能な状態にすること。さらには、聞き取りや掛け合いは当然無理としても、正しい発音で、確実に意思表示(挨拶、確認、アラームなど)ができることです。

中国語学習で失敗するパターンの多くは、発音、とくに声調をないがしろにして、興味のあるビジネス用語を先々と覚えにかかることです。さらに、英語のように格好つけて早く話そうとすること・・・商談が1週間でできたら、専攻の学生や、バリバリの商社マンが発狂します。魔法か奇跡か・・クーリングオフのある通信販売ならまだしも、企業向けの研修を名乗る以上は、そのような無茶なことだけは言わないようお願いいたします。