強烈な個性こそが、結局は生き残る。
「西遊記」と聞いて我々の世代が思い出すのは、「♪ニンニキニキニキ」のテーマソング、ドリフターズによる人形劇ドラマ
「飛べ!孫悟空」である。孫悟空を志村けんそっくりの人形が演じ、以下同様に、三蔵法師をいかりや長介、猪八戒を高木ブー、沙悟浄を仲本工事を模した人形が演じた。
本来の西遊記の物語に沿えば、天竺を目指す一行はこの四名だけなのだが、この番組は違った。「カトウ」という、加藤茶そっくりのキャラクターが一行に加わっていたのだ。しかも物語の時代性を完全に無視し、「8時だョ!全員集合」で人気の加藤の持ちキャラ、酔っ払いハゲ親父のキャラクターでである。
加藤茶に何らかの役を当てなければならない事情は分かる。だがそれは別に魔物側のボス役でも何でも手はあったはずだ。にもかかわらずこの扱いは、やはり加藤茶のキャラクター、つまり個性が、ドリフターズメンバーの中でもひときわ際立っていたことの何よりの証明ではなかろうかと思う。
だからこそ、「全員集合」番組終了後20年、「ごきげんテレビ」終了後15年弱、ならびに「ドリフ大爆笑」終了後3年が経過した今でも、キャラクター商品
「御当地加トちゃん」でまだまだ一儲けできるのだ。
大阪・靱公園の近くにある「西遊記」は「トルコライス・大阪発祥の店」なのだそうだ。その真偽の程は別として、発祥地を名乗るからにはそれなりの長きにわたり定番メニューの座を守ってきたのだろう。
ドライカレー、ナポリタン(画像ではレタスの向こうに隠れてしまっている)、ポークカツという所謂長崎型の構成だが、長く定番メニューたらしめた強烈な個性は、ポークカツにかかるデミグラスソースのそのまた上を彩るマスタードだと見た。
正直、デミグラスソースとマスタードがこんなにマッチするとは意外だった。
デミグラスソースの甘みをまず感じた後、突然マスタードの酸味がやってくる。その後は当然のように辛味。それが通り過ぎた後にまだ残るデミの甘みは、その刺激を経てさらなる深さを湛えているように感じるのだ。
そのソースを擁したポークカツが皿全体を引っ張る形で、多目のボリュームもわしわし平らげられる一品になっている。
やはり料理の分野においても訴えかけてくるのはその個性なのだとうなずきながら、ランチタイムに付いてくるコーヒーを飲み干した。
ちなみに僕は
このブログでこの店の存在を知ったのだけれど(トルコライスの画像はこちらのほうが大きく鮮明)、作者のうりぱぱぱ氏が店名を「孫悟空」と思い切り間違えている。
この思い切りっぷりもある意味個性だなと感服した次第である。
トルコライス580円(スープ付き・ランチタイムにはコーヒー付き)
大阪市西区新町1-33-16
06-6531-2838
営業:11:30~21:30
定休:日曜