goo blog サービス終了のお知らせ 

にちにち蛙鳴蝉噪

大阪・兵庫・京都・奈良で食べられるトルコライスの紹介を中心に。制作:近藤亨 2004-2023

洋食亭 亀麻呂(奈良/大和郡山市)

2006-01-28 15:50:01 | 関西トルコライス巡礼
「毎日御機嫌よう-奈良と関西ぶらり」にて紹介されているのを見つけ、ドライブがてら生駒山を越えた。
関西トルコライス巡礼、初の奈良遠征である。

現存する世界最古の木造建築物として世界文化遺産にも登録されている法隆寺から東へ車で10分程度の場所にある洋食屋。
法隆寺といえば、金堂・五重塔・中門など主要堂塔が創建当時のものか、それとも再建されたものかという有名な論争がある。出土した焼けた瓦や壁画片が天智9(670)年法隆寺焼失の科学的根拠となる一方で、年輪年代法による測定の結果、現在の西院伽藍の金堂に使われている木材が焼失以前の668―669年ごろに伐採されたものであることが判明するなど、およそ100年間続いているこの論争は未だ決着をみていない。

このトルコライスも論争の火種になりうる要素をはらんでいる。画像を御覧いただきたい。この一皿を表現するならば「オムライスとポークカツ、それにナポリタンとサラダ」ということにならざるを得ないだろう。

つまり「構成要素が限りなく隣接してはいるが重なり合ってはいない」のだ。

オムライスはケチャップとデミグラスのダブルソースで深い味わいだし、ナポリタンもアルデンテの本格的なものである。カツもさっくり揚がっている。しかしそれらは白い皿の上で交わることなく存在している。
これまで食べてきたトルコライスは、カツのせオムライスといった風情の関西型はもちろん、本来の長崎型であっても構成要素が重なっていたものばかりだった。一緒に口に入れたカツと卵とケチャップライスのハーモニーがあり、デミグラスソースがナポリタンの味を引き立てるコンビプレーがあったのだ。

果たしてこれはトルコライスなのか?「オムライスとトンカツ定食(付け合わせはナポリタンとサラダ)」と言われても仕方ないのではないか?そもそもトルコライスの定義とは何ぞや?

トルコライス愛好家による熱い論争必至の一品だと思う。

ま、これはこれで美味しかったのでどっちでもいいです。




トルコライス1000円(ピュアジュース・コーヒー付)

奈良県大和郡山市小泉町671-137 ドエルカズキ1F  (地図)
0743-54-1390
営業:11:00~14:00、17:00~22:00
水曜休
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グリルstereo(大阪/大阪市中央区・谷町四丁目)

2006-01-15 00:29:50 | 関西トルコライス巡礼
ブログ「自堕落的 食べ・飲み歩記」にて発見。
長いカウンターテーブルの一番右、最も入り口に近いところに腰を下ろした。

「グリルstereo」って何となく素敵な響きだ。中崎町には「cafe パラボラ」というなかなか居心地のよい店があるが、飲食店名に家電名は相性がいいのかもしれない。聞き慣れた響きだから、親しみを持ちやすいのだろうか。もちろんキッチン系の家電は例外だ。それは当たり前すぎて組み合わせの妙が無い。

ポークカツに生に近い半熟卵、そして甘目のケチャップライス、逆に上からは苦味に近いコクがあるドミグラスソースの組み合わせで、ネスパのトルコライスにかなり近い。甘くないドミグラスソースはグリル/洋食屋の魂なのだろうか。
一番の特徴はケチャップライスとともに炒められている玉葱である。みじん切りと表現するには少し大きい位のサイズに切られていて、噛み締めると優しい甘みが口中に広がる。ケチャップと玉葱の重層的な甘みが嫌味の無い上品さを付け加えている。

と、カウンターを隔ててすぐ向こうの厨房でシェフが玉葱の仕込を始めた。俎板の上でざくざくと包丁を入れ、傍らのボウルにどんどん盛り上げていく。一般的に洋食屋にとって仕込み最重要素材なのかもしれないが、やはり玉葱にはこだわりを持って仕込みを

目がいてえ。

カウンターテーブルの一番右が、俎板から最も近い場所なのだ。いかん、涙が出てきた。食後のコーヒーを飲みながら何度も目を瞬く羽目になった。
カウンターのもっと真ん中あたりに座るべきだったのだろう。あそこなら俎板から距離がある。そしてなにより、ステレオは(スピーカーの)真ん中が特等席なのだから。

落ちをつけるや否や退散した。いたた。



特製トルコライス800円(13時過ぎからオーダー受付)

大阪市中央区谷町3-4-9 OHMビル1F 
06-6942-6433
定休:日曜・祝日
営業:11:00~15:00


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Pause Cafe(大阪/門真市・大和田)

2006-01-13 22:40:12 | 関西トルコライス巡礼
「tetuyaのホームページ」で紹介されていたのを見てのこのこ出かけていった。京阪電鉄大和田駅から程近いところにあるカフェだ。

大阪から延びている路線の中で、京阪電鉄にはほとんど乗ることがない。
阪神・阪急・JRは神戸に行くときに使うし、近鉄はラグビーシーズンによく使う。関空に向かうときは必ず南海だ。しかし京阪はといえば、年に一度、大阪のラグビー強豪校に取材に行く際に乗るだけだ。京都に向かうにはJRの方が早いし。
でも京阪電鉄にはどことなく魅かれるものがある。グリーンを基調とした車両のカラーリングが江ノ電に似ているというのもある。そしてやはり外せないのが「テレビカー」の存在だ。車体に貼り付けられたレトロ感たっぷりの「テレビカー」の文字を初めて見たときの「は?」という感覚は忘れられない。
京阪電鉄のオフィシャルサイトによれば、昭和29年、テレビがまだ特殊な機器だった頃に第一号車両が登場、以後カラー化や周辺の高層建築物の増加などに逐次対応しつつ依然現役バリバリで活躍中とのこと。
「テレビが世に出たての頃にこともあろうに移動体に搭載してしまう」という発想の独自性が凄いと思う。

Pause Cafeのトルコライスもまた独創性に富む。
ワンプレートでサラダが乗っているのも、パスタにホワイトとトマトの二種類のソースがかかっているのもこれまでの取材で初めてだ。
そして、この二種のソースをはじめ、薄目のポークカツ、濃色のドライカレーが全てあっさりしている。一番味濃く感じたのはサラダにかかっていた普通のドレッシングだった。だからつるりと食べられる。
それにしても、揚げ物炒め物の濃さがドレッシングを下回るなんて。
電鉄会社の独自性は、沿線商店の商品にも何かしらの影響を及ぼすものなのだろうか。

前述した京阪電鉄オフィシャルサイト内、テレビカー紹介のページの最後は「さて次は…」という、更なる前進を示唆する言葉で終わっている。
トルコライスで大阪オンリーワンの独自性を発揮するPause Cafeの次にも注目である。



トルコライス 800円

門真市野里町5-10 
072-884-3411
営業:7:00~23:00
無休



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネスパ(大阪/大阪市北区・梅田)

2005-12-14 20:12:44 | 関西トルコライス巡礼
商標登録している「コロペット」で有名な洋食屋。大阪駅前第3ビル店に出かけた。
ネットで調べてもトルコライスはメニューにないのだが、実際店に足を運べば壁に貼られたメニューにラインアップされている(さらに詳しく言えば、店員さんがテーブルに持ってきてくれるメニューにも記載がない。そんなに出したくないメニューなのだろうか)。
調べ物といえばまずネットという時代だけれど、本当の情報ってのは足で稼ぐもんだぜ、と芝居がかった台詞が頭をよぎる。

ケチャップライス、半熟卵、ポークカツにデミグラスソースという構成である。
ケチャップライスはほんのり甘く、カツはさっくりと軽い。そして半熟卵は白身が半分生という、全体的にふんわりとした印象の中、デミグラスソースの渋さが光る。甘みがほとんどないどころかやや苦味を感じるほどのソースがスパイスとなって味を引き締めている印象だ。これにより口に入れた直後と噛み締めたときの味わいに若干変化が生まれる。フレンチを自称する店の底力を感じる一品だと思う。
ランチタイムならばサラダとスープがつき、さらにセルフサービスのコーヒーが無料なのも嬉しい。

ネットで調べ物をすると、検索の上位にブログがヒットすることが多くなってきた。それだけブログ人口が増えているのだと思うし、実際このgooブログでも一日約900の新しいブログが生まれている。
そういった状況下、情報といえばネットという風潮のアンチテーゼとして「ちょっとだけ間違った情報を伝えるブログ」ってどうだろうかと考えてみる。全面的に嘘八百ではないけれど、あえてちょっとだけ間違うのだ。

・シェークスピアの三大悲劇といえば「ハムレット」「マクベス」「ああ無情」。
・富士山の高さは3772m。
・アメリカの国歌といえば「星条旗よ永遠なれ」。

いちブログの影響力はたかが知れているけれど、徒党を組んで組織的に取り組めば、ネットにちょっとした混乱を起こすことが可能ではないだろうか。
ネットに押され出版業界は不況と言われているが、出版社の社員の皆様、「信頼性の高い情報と言えばやっぱり書籍」という風潮を作り出すために、この作戦どうですか。




トルコライス 1155円

大阪本店
大阪市北区梅田2-4-41 桜橋キタハチ1F 
06-6345-7089
[営業時間]11:00~15:00
       17:30~21:30
[定休日] 日曜不定休



大阪駅前第3ビル店
大阪市北区梅田1-1-3-B2-24号 
06-6344-8832
[営業時間]11:00~15:00
       17:30~21:30
[定休日] 日曜



※これらのデータはわざと間違ったりしてません。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昭和ランチ(大阪/茶屋町 他) 閉店

2005-10-13 01:18:34 | 関西トルコライス巡礼
「昭和」って、懐かしワードになりかけているんだなと思う。
例えば、心斎橋の「明治軒」とか三宮の「開化亭」などにおける「明治」「開化」という単語は、おそらく「当時の風俗においてハイカラでモダンで、今では懐かしい雰囲気」というニュアンスを出すべく使われているわけだけれど、この店では「昭和」がその役割を担っているわけだ。
思えば平成も17年目である。

この店は、以前同じ経営母体の「ブルーノカレーショップ」だった時からトルコライスを出していて、それは何の変哲もないオムカツカレーだった(おいしかったけど)。同じものが出てくるのかな、と思っていたらカレーはかかっていない。カツ+薄焼き半熟卵+ケチャップライス、上にはたっぷりのドミグラスソースというオーソドックスな構成だ。
ドミグラスソースがかなり甘酸っぱくとろりとしている。卵の半熟具合もかなり生に近く、両方が溶け合ってかなり濃厚だ。カツはさくさくして上出来、と思っていたらなんだかちょっと辛い。
よく見るとドミグラスソースの中に小さな赤い粒々が。唐辛子パウダー入りなのだ。
昭和ってのはそんなノスタルジックで甘酸っぱいだけのもんじゃありませんぜ、という思想はまさかないだろうけど、そうだよな、まだ現代には十分影響力を残している時代だよな、と独り思いながらもぐもぐ食べる。
ピリッとしたトルコライス、新鮮だった。

店の近くでは茶屋町再開発で建てられた商業ビルが内装など最後の仕上げに入っている。その名も「NU茶屋町」。
ヌーってお前アフリカにいるウシじゃねえか、と職場の後輩に言ったら通じなかった。
「野生の王国」も昭和で終わっちゃったんだっけ。


トルコライス680円

茶屋町店は
大阪市北区茶屋町4-2 茶屋町UGビル1F
06-6292-3373
営業時間:11:00~25:00
無休

(大阪、京都、岐阜、名古屋、福岡に店舗あり)

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グリル北斗星(大阪/大阪市北区・梅田)

2005-10-10 01:11:59 | 関西トルコライス巡礼
大阪駅前ビルが好きだ。
第1から第4ビルまで、地下1階と2階にみっちりと店舗が詰まっている。しかも店舗の配置がランダムなのが楽しい。本屋の隣にステーキ屋があり、その隣には金券ショップ。その脇には古本屋があり、正面には居酒屋がある。ゲームセンターもあれば占いもある。もちろん消費者金融も。中古CDショップに入ると隣のカレー屋の匂いに誘われることもある。いきなりフィットネスジムが現れてびっくりすることもある。
きわめてごった煮的、アジア的、もっと言えば闇市的な怪しい魅力を湛えた場所であり、時々これって祭の夜店みたいだなと思う。そのハレの気配のようなものも駅前ビルに魅かれる理由のひとつなのかもしれない。

グリル北斗星は第2ビル地下1階北側通路にある。カウンターといくつかのテーブル席がある、駅前ビルでの標準タイプの広さの店だ。大阪で本格スープカレーが食べられる店としても有名らしい。大阪にはオムライスの超有名店「北極星」があるが、なんとなくそれっぽい名前がバッタもの感を醸し出していてこれまた味である。
トルコライスはカツのせとエビフライのせの二種類から選べる。値段は変わらない。オーソドックスにカツのせをオーダーしたら、ドライカレー、薄焼き半熟卵、ポークカツ、ドミグラスソースというおなじみの構成で出てきた。
カツは薄くて一口サイズ、薄焼き卵の面積も小さめ、ドミグラスソースはさらり、と上半分はライトな感じなのだが、その中で異彩を放つのがドライカレーのべったりとした食感だ。ドライカレーというより、カレーおじやといったほうが適切かもしれない。ひょっとしたらスープカレーで煮込んでいるんじゃないかとさえ思う。
でもこれが悪くない。
夜店で食べる粉っぽいお好み焼きになんともいえぬ味があるように、このもっさり感が妙にしっくり来るのだ。それを計算してのカツの薄さとあっさりドミグラスなのではないかと思う。もちろんドライカレーの味はコクと甘みとスパイシーさが渾然一体となっていて深い。主役はドライカレー、脇をその他の構成要素が固めているトルコライス、といったところか。
この一風変わった味のバランスがまた夜店を髣髴とさせる。ある意味僕の大阪駅前ビルのイメージを忠実に体現している味といえるのかもしれない。

今回この文章を書くにあたって大阪駅前ビルのサイトをあたってみた。これがまたデザインもへったくれもない、インターネット黎明期のサイトのような雰囲気で嬉しくなる。
特にグリル北斗星と同じ第2ビルにある「喫茶あすか」のページにはこうだ。

「みんな無口でおとなしい人ばかりです」

もう何をアピールしたいのだかよくわからないのが凄い。

駅前ビルよ永遠なれ。



トルコライス(ポークカツ・エビフライ)800円

大阪市北区梅田1-2 大阪駅前第2ビルB1 
06-6341-7758
営業:11:30~21:30(日祝~20:00)
無休

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゼニヤ(大阪/大阪市西区・九条)

2005-03-07 15:55:01 | 関西トルコライス巡礼
いわゆる洋食屋やレストラン的佇まいを想像して行ったら、軒の低い居酒屋のようなお店で少し意表をつかれた。道路に出された小さな電光看板には「欧風めしや 皆様のゼニヤ」と毛筆体で書かれてある。「皆様の」というレトロな響きが、白く光る古ぼけた看板によく似合っていた。
しかしこれほんとにトルコライス食べられるのかな、と思いながら曇硝子のはまった引き戸を開けて中に入ると、6席ほどのカウンターに2人がけと4人がけのテーブル席がひとつずつという小さな店だ。カウンターの中にはご主人と奥さんと思しきふたりだけ。二つ口のコンロには大きなフライパンが二つのっていた。二つともよく使い込まれて鈍い光を放っている。水がビール用の中ジョッキで出てきてまた驚かされたが、カラー写真付のメニューから迷わず「オリエントトルコライス」を注文した。お腹がすいていたので中盛りでお願いした。
カウンターの中でご主人が手際よくご飯を炒めていく。作っている過程が見られる店というのはそれだけで楽しい。学生時代、高田馬場駅前のビルの地下に「エルム」という店があってよく通った。それほど手の込んでいない洋食メニューを安値で提供してくれる学生街らしい店だったのだが、そこも厨房をぐるりと囲むようにカウンター席が配されていて、生唾を飲み込みながら自分のオーダーした料理が出来上がっていくのを眺めたものだ。僕の洋食好き(しかも庶民的な)はその時に培われたのかもしれないなとぼんやり考える。

ここのトルコライスは今まで食べたものと構成が全く違う。カツがない。デミグラスソースも薄焼き卵もない。写真では少し分かりにくいかもしれないが、カレーピラフの上に甘く煮た薄切り牛肉と玉葱、そしてその上に生卵が落とされている。
簡単に言えば「カレーピラフ牛めし(卵入り)」である。
カレーピラフはカレー粉の混じりにむらがあってだんだら模様だが、これが意外にいける。カレー粉の影響をあまり受けていない部分の米の甘さがより際立つのだ。そして牛丼の具。そういえばもうどれくらい牛丼を食べていないのだろうなと考える。久々に昔の恋人に会った時のように優しい気持ちになれる、というのは言いすぎか。もちろん肉も玉葱も柔らかくて美味しい。生卵とのハーモニーは言わずもがなである。
カツを揚げる時間がない分、出来上がりもスピーディーだ。カレーピラフのいい(良い)加減のむらもあいまって、勢いを感じる料理だと思う。こういう男の料理はちまちま味わうべきではない。それなりの量があったが、一気に食べきった。

帰り際にメニューを見ると、トルコライスの隣には「スパニッシュライス」と「オリエントベーコンライス」という品もあった。これも食べてみたいと思わせるトルコライスの実力だった。



オリエントトルコライス 600円(中盛りは700円、大盛りは850円)

大阪市西区九条2-28-1 
06-6582-2644
営業:11:00~21:00(14:00~17:00休憩あり)
無休    



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Y&A(大阪/大阪市中央区・道頓堀・日本橋)

2005-02-07 16:13:04 | 関西トルコライス巡礼
大阪はミナミの道頓堀と日本橋に2店舗を擁する喫茶店チェーン。憩いの場を24時間年中無休態勢で提供している。とことん夜遊びする人、また夜遅くまで働く飲食店関係者にとってはありがたいお店のはずだ。深夜のミナミで喫茶店といえばすなわちY&Aとまで・・・はさすがにいわれていないと思うが。
今回行ったのは日本橋店。国立文楽劇場の東隣にあるビルの1Fの店の前に、いきなり純白の小便小僧がいて度肝を抜かれた。ブルーの大型ポリバケツに勢いよく小便をしている姿をじっと見ていると「僕はいったいこんなところで何をしているのだ?」という根源的な問いに揺さぶられ、通行人には「何そんなもんじっと見とんのや」的視線をじろじろと浴びせられて恥ずかしい思いをした。
中に入ると、先客に中国人と見られる中年女性ふたり。大きな声で何事かを間断なく話していた。日本の戦争責任についての話でもしていたのかもしれない。そして僕が座った茶色の合皮のソファーの背もたれの上部はひどく破れていた。喫茶店における通常の使用でどうしてこんなことになるのかと思っていたら、僕の後ろの席のソファーに灰色縞柄の大きな猫が飛び乗って座った。こいつの仕業か。店内のスピーカーからはイージーリスニングミュージックが流れていたが、厨房近くの棚に据えてある小型のテレビからはそれを打ち消すような大きな声でトミーズの声が聞こえた。
どう贔屓目に見ても、今風のおしゃれカフェではない。むしろそういう雰囲気を積極的に否定しているようにも思える。もしかしたら、24時間年中無休で飲食店を維持するということは僕が思っている数倍大変なことなのかもしれない。猫でも飼っていないと神経がささくれだって仕方ないのかもしれないし、イージーリスニングだけを四六時中聴かされたらそれはうんざり来るだろう。ソファーが破れても「営業時間外」が存在しないのだから交換をする時間がそもそも存在しないのだ。
僕はなにも皮肉でこういうことを書いているわけではない。物事にはすべからく理由があると思っているし、そういう想像の余地がある店のほうが楽しい。なにより-同意してくれる方も多いと思うけれど-こういう店に入ると不思議と落ち着きを感じることがある。思う存分肩の力を抜いてぼーっと出来る。口が半開きになってようと構わないじゃないか。だってトミーズだぜ、と思える。絶対に南船場・堀江では味わえない趣だと思うし、僕はこちらのほうを支持する。高い金払って甘ったるいフレーバーラテ飲んでちまちましたパスタなんか食いたくない。

トルコライスはカレーピラフと薄焼き卵、ポークカツ、それにデミグラスソースの組み合わせ。
わ、甘い。
というか、これはデミグラスソースというよりハヤシだ。もともと薄味のカレーピラフや薄焼き卵の味を全部吹き飛ばす破壊力である。「薄焼き卵入りハヤシライス・カツのせ」という認識で食べるとなんとなく感覚的にも飲み込める。しかしその甘さの中でポークカツが健闘している。トルコライス上のカツは脂身の少ないものが多いのだが、これはしっかりとしたロースカツだ。半分溶けた脂身が衣の中できらきらと光っている。口に含むとそれがじわりと舌の上に広がる。「とんかつソースください」といいそうになるのを我慢しながらハヤシ味のカツを食べた。

後ろの席の猫を少しなでてからレジへ向かった。
「トルコライス、1100円になります」

高え。
さっきまで感じていた落ち着きが一気に吹っ飛んだ。



トルコライス(サラダ付)1100円

大阪府大阪市中央区高津2-8-4 
06-6213-7327
24時間営業
年中無休



(宗右衛門町店)
大阪府大阪市中央区宗右衛門町1-14 
06-6213-1539
24時間営業
年中無休





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まんが広場 東通堂山店 (大阪/大阪市北区・堂山) 閉店

2005-02-05 19:46:43 | 関西トルコライス巡礼
京阪神に6店舗を構える漫画喫茶チェーン。顔がコミカルなのに両手が妙にリアルなイメージキャラクターに多少引っかかりを覚えながら入店した。
利用したことがないではないが、漫画喫茶はどうも苦手だ。雑居ビルの性質上もともと窓が少ない上、壁際に配された本棚に遮られて外光が殆ど入ってこないことからくる暗さ、そして本棚の背の高さと多さ、加えて天井の低さから来る圧迫感に慣れることができない。そんな環境をものともせず客が没頭しているものは当たり前だが漫画。他人が何をしようと勝手だけど、漫画ってそんなにまでして読むものかと思う。
まあいいや。人には人それぞれの生き方があるのだ。フリードリンクで烏龍茶を選び、ゴルゴ13を一冊持って席に着いた。

ここのトルコライスは、ドライカレー、ナポリタン、ポークカツ、そして上からデミグラスソースという組み合わせ。おお、これはいわゆる長崎型にかなり近いものなのではないか。未体験のタイプにやや心躍らせながら食べ始めると、デミグラスソースがかかったナポリタンが絶品である。ケチャップの酸味とデミグラスソースのコクが抜群に合っている。双方単独で勝負できる実力者ソースが見せる華麗なコラボレーションとでも言おうか。そういえば、と思う。ハンバーグステーキに時々付け合わせとして付いてくる、ちょっとデミグラスソースがかかってしまっているナポリタンが僕は結構好きだったのだ。それが付け合わせであるがゆえに「好物」として意識することなくここまで来たが、これを食べて自分の好みを再確認できた。今後は自分の好物リストに「ナポリタンのデミグラスソースがけ」をしっかりと刻み込みたいと思う。
ちょっと待てよ、このデミナポ、ここではトルコライスのいち構成要素にしか過ぎないが、これは単品メニューとしても成立するのではないか。しかもこれまで僕が好物として意識しなかったのは、これを単品として提供する店が無かったからだ。ということは全国的に見ても類を見ない看板メニューたりえるのではないか。
これをオリジナルの看板メニューに据え、あと幾つかパスタのメニューを揃えた小洒落たカフェはどうだ。おお。
しかし、カフェ乱立の今日、何かもうひとつくらい売りが欲しいところだろうか。

漫画を沢山置くっていうのはどうだろう。



specialトルコライス980円

新御堂筋沿い阪急東通商店街北へスグ扇会館5F(旧うめだの洞)
06-4709-0468
営業:24時間営業
年中無休
他、十三本町店、京橋店、江坂駅前店、三条河原町店、JR三宮店あり。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Kitchen180℃(大阪/大阪市北区・梅田) 閉店

2005-01-30 23:21:40 | 関西トルコライス巡礼
HEPファイブ7Fにあるカジュアルレストラン。

HEPファイブといえば観覧車だろう。「梅田のど真ん中に観覧車?」と計画当初から話題になったし、オープン後はかなり混みあい、平日昼間でも行列ができたほどだ。映画「ココニイルコト」でも、大阪に左遷され意気消沈する主人公(真中瞳)がたまたま乗り合わせたタクシーの運転手に「ユニークでっしゃろ」とこの観覧車を自慢されるシーンがあった。もちろん主人公の反応は溜息ひとつだけという大変冷たいものだったが。まあ僕だって「へえ」くらいしか言わないと思う。何にでもあるべき場所というものがあるのだ。

デミグラスソースで煮込まれたきのこと玉葱が目立つ。雰囲気としてはトルコライスというより「ビーフシチューオムライスカツのせ」という豪華感がある。
ところがその分卵の下のケチャップライスが質素で、ケチャップライスというよりは薄いオレンジ色のごはん、言うなれば薄味のピラフといった感じ。上にかかるデミグラスソースは酸味とコクの主張が強く、言い方を変えればまろやかさや深みにちと欠けている。
と書いてくるとなんだか救いがないのだが、この組み合わせが絶妙なのだ。ライスとソースのチープ感のマッチングが抜群というか、「時々無性に食べたくなるファミレス的なメニューの象徴的味」とでも言おうか。すごいペースでさくさくと食べ終えた。量はそれなりにあるけれど、女性でももたれることなく軽い感じで食べられるのではないかと思う。
料理の要はバランス、ということか。

調べてみたらビル一体型の観覧車というのは全国に6つもあった。その最南端、沖縄にある「カーニバルパーク・ミハマ」の観覧車は、ガラス全面にフィルムが貼られたゴンドラと片面にフィルムが貼られたゴンドラの2種類がある。
「今や観覧車は景色を見るだけの物ではありません。15分間の誰にも邪魔されない空間を楽しんでみては…(ハート)」だそうだ。
その、なんだ。何をするにもしかるべき場所というものがあると思うのだが。



トルコライス(スープ付)950円

大阪市北区角田町5-15 HEP FIVE 7F
06-6366-3686
営業:11:00~23:00
休日:HEP FIVEに準ずる(不定休)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パウゼ(大阪/大阪市北区・堂島)

2005-01-26 16:01:16 | 関西トルコライス巡礼
オフィス街・堂島にある喫茶店。スーツ姿の男性で賑わっている。全席喫煙可のため空気がうっすらと霞んでいることもしばしばだ。タバコが苦手な人はちときついかもしれない。僕は煙草をほとんど吸わないけれど他人の煙は別に平気という体質なので問題ないのだが、煙草の煙でいちばん害があるのは副流煙なわけで、一番損をしている体質といえなくもない。それならいっそのこと煙草吸おうか、あれは待ち合わせの時とか間が持って便利なところもあるし、などと考えるが、わざわざ金を払って体に害のあるものをせっせと摂取する行為が全く理解できないし、待ち合わせに便利といっても最近は道端でもそう簡単にすぱすぱ吸えないほど嫌煙権が浸透している。やっぱりパスだな、というようなことを半年に一回くらいのペースで繰り返し考えている。

ここのトルコライスはカレーピラフ、薄焼き卵、ポークカツ、デミグラスソースの組み合わせだ。デミグラスソースが甘口でさらっとしていて、香りとコクのあるカレーピラフとよく合っている。これがケチャップライスだったらちょっと辛かっただろう。
ボリュームもある。イスタンブールのトルコライスの三割増し位だろうか。まあその分値が張るし、毎日奮闘するサラリーマンの胃袋を満たすにはこれ位ないと駄目なのだろう。

以前夜ここに来た時に、隣の席で若い男性サラリーマンとなかなか可愛い保険のセールスレディがお茶をしながら話をしていた。男性は自分の親戚の話(いざというときに保険がろくすっぽ役にたたなかった、みたいな話)を持ち出して保険加入を渋り続け、ついにセールスレディが諦めると、こう言ったのだ。
「ねえ、ところでおなか減ってない?よかったらご飯食べに行こうよ」
自分のしたくないことはしない、でも相手にして欲しいことはとりあえずぶつける。なんかすげえなあ、僕だったらセールスを断った直後に飯は誘えないよなあと感心させられた。
さすがに断られてたけど。



トルコライス 850円

大阪市北区堂島浜2-1-8 古河浜通ビル1F 
06-6341-1189
営業:8:00~22:00
休日:土日祝




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

欧風料理イスタンブール(大阪/大阪市旭区・千林大宮)

2005-01-25 20:18:24 | 関西トルコライス巡礼
「トルコライス 大阪」で検索するとまず名前が挙がる、というかここ位しか挙がらない有名店。安売りで有名な千林商店街に程近い、大阪市営地下鉄谷町線千林大宮駅から徒歩13分というロケーションだが、駅からの道のりに串かつ屋とラーメン屋が何軒もあったのが印象的だった。たぶん双方少なくとも3軒はあったと思う。串かつ食ってビール飲んで締めにラーメン、なんてたまらない取り合わせだ。確実に大太りするのでこの辺には住めないな、と思う。

大阪ガス「あまから手帖のレストランガイド」
ぴあ関西版「魂のランキングルメ」
など各媒体で紹介されている通り、デミグラスソースが甘くなく、きりっとしてコクがある。チキンライスもあっさりした味付けで、ぱらりと軽い感じだ。ボリューム、味共に圧倒的な主張はないものの、また食べたくなる味だと思った。

アイスコーヒーを頼んだら「すみません、冬場はやってないんです」と言われたのも微妙に楽しかった。なんだか北欧みたいな話だ。100%想像だけでもの言ってるけど。


ポークトルコライス 600円、ビーフトルコライス・エビトルコライス 共に650円

大阪市旭区中宮1-12-22 
06-6954-9301
営業:11:00~15:00、17:00~21:00
休日:月曜





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする