goo blog サービス終了のお知らせ 

にちにち蛙鳴蝉噪

大阪・兵庫・京都・奈良で食べられるトルコライスの紹介を中心に。制作:近藤亨 2004-2023

ライブレストラン音や(京都/京都市右京区・嵐山)

2011-11-28 22:43:24 | 関西トルコライス巡礼
11月下旬の嵐山は、平日にもかかわらず大勢の観光客が詰め掛けていた。紅葉目当ての団体客を乗せた観光バスで道路は埋まり、渡月橋は観光客が列をなしてぞろぞろと歩き、橋近辺の飲食店はどこもいっぱいで、順番待ちの行列が出来ている。

そんな喧騒から東へ徒歩約5分の「音や」は、静かだった。嵐山にやって来る観光客が求めるものと、「美味しいお料理と素敵な音楽の空間(オフィシャルサイトより引用)」には若干の距離があるのだろうか。それとも単に団体ツアーの集合場所から遠すぎるのか。

僕が入店したお昼時には行われていなかったけれど、「ライブレストラン」を標榜するだけあって、店内の一角にはJBLの大型スピーカー、アップライトピアノ、アンプ、マイク、ドラムセットが鎮座している。そして壁には店内でのライブを告知するフライヤーが何枚も貼られていた。ま、確かに、人々が嵐山観光に期待するであろう「和なるもの」とは異なる空気である。でもその、売れ筋に走らず我が道を行く姿勢が個人的には好ましい。

トルコライスは、オムライスの上に透明のスウィートチリソースがかかり、傍らにハンバーグと付け合わせのサラダが鎮座するという、巷で見られるトルコライスのスタンダードとは異なる、これまた我が道独走という感じの構成。ハンバーグから溢れる肉汁の甘みと、最初は甘いが後からひりつく辛さがやって来るチリソースのコンビネーションで、どんどんスプーンが進んだ。

食後トイレに入ったら、男子トイレの小便器の水が音を立てるほどの勢いで流れっぱなしだった。おいおい大丈夫かと思いながら近づくと、「地下水が出放しになってます(原文ママ)」という小さな貼り紙が。とにかくこの店、万事ゴーイング・マイウェイなのだった。



トルコライス 800円

京都市右京区嵯峨柳田町33-1 
075-862-1225
営業:12:00~24:00(L.O.:22:30)
火曜定休
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Trattoria LOGIC OSAKA(大阪/大阪市浪速区・難波)

2011-11-18 00:23:38 | 関西トルコライス巡礼
ハヤシライスのライスの上に薄焼き卵とポークカツがのっている構成。これはもうはっきりと「ハヤシライスの亜種」と言ってよいかと思う。

カツにソースが全くかかっていないので、カツに味をつけようと思ったらライスの上からカツを下ろしてハヤシソースに浸さなければならない。そのうちそれが面倒くさくなってカツにそのまま齧りつくことになるのだが、カツってそのまま食べても結構いけるなあと気付かされた。揚げられたパン粉が豚肉の旨みと脂の甘味に働きかけ、その味の濃さをほどよく中和しつつヴォリューム感は増幅する、という感じか。

よく考えてみれば、普段からソースをかけられたり大根おろしを乗せられたり、カレーやらドミグラスソースに浸されたりと様々な味と競演を果たしているのだから、カツそのものの実力が折り紙つきであることは自明だ。いわゆる「トンカツ」を考案したとされる、東京銀座・煉瓦亭の初代料理長・木田元次郎氏の慧眼にあらためて敬意を表する次第である。

しかしもっとよく考えてみれば、ハヤシソースを掬ってカツおよび卵・ライスの上にかけて食べれば話は早かったのだ。キーボードを叩きながら今気付いた。

店名は「ロジック」=論理。もっと落ち着いて論理的に生きろと言われているような。



トルコライス 780円(サラダ付)※平日ランチタイムのみ

大阪府大阪市浪速区幸町1-2-1 
06-6563-6990
営業時間:平日12:00~15:00(ランチタイム)、17:00~23:00  土・日・祝12:00~23:00
年中無休

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

魚deバール ウオチカ。(大阪/大阪市北区・梅田)

2011-11-14 22:53:57 | 関西トルコライス巡礼

11時から15時までのランチタイム限定メニューであるトルコライスは、カレーピラフの上に半熟薄焼き卵とポークカツ、そしてデミグラスソースがけというおなじみの構成だ。

店名からして夜のバール営業の方が本業であり、店内の黒板に書かれた、あるいは壁に貼られた手書きメニューには「海鮮メリメロ焼き」「こぼれイクラのスプーンディッシュ」「生ウニと韓国のりのマリアージュ」などなどうまそうな品名がたくさん並んでいて、トルコライスをいただきながらも、ついきょろきょろとそちらに視線を走らせてしまう。おまけにビールの幻影までちらついてくる。

そんな客の意識をトルコライスに引き戻すのは、スパイシーなカレーピラフの存在だ。ピリッとした味わいがときに卵のやさしさで中和されていく感覚は毎度のことながらいいものである。

ただ問題は、この辛さでさらにビールが飲みたくなってしまうことだ。おまけにランチメニューには「ランチビール250円」の文字が。昼休みの勤め人の道徳心の強さを試すようなメニュー、雰囲気を持つ店といってもいいかもしれない。

加えて「なんで店名に句点がついてんだよ」などと言いがかりをつけない心の広さも試されているかも。



トルコライス 750円(トンカツ・メンチカツ・サーモンフライが選べ、サーモンフライはプラス30円)
トルコライススペシャル(カレーピラフ超辛+「がんこ村たまご」使用のスペシャルバージョン)上記にプラス50円

大阪市北区角田町梅田地下街2-8 WHITYうめだノースモール2 
06-6311-4782
営業時間 11:00~23:00
不定休(WHITYうめだに準ずる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

INKA カレー帝国(大阪/大阪市東成区・玉造)

2011-10-05 00:00:44 | 関西トルコライス巡礼

卵の黄身を崩しつつ食べる食事って、どうしてこんなに心躍るのだろう。滋味の象徴たる黄身をもてあそぶのが楽しいのか、それともいかにも平和的な黄色の球体を潰すことに悪魔的な喜びを覚えるのか、はたまた黄色それ自体が気分を高揚させるのか。

ただし月見うどん/そばは別だ。黄身を崩した瞬間、それは出汁と同化してしまい、見た目もなんだかうすらぼんやりしたものになるし、滋味を残らず摂取するには出汁を全て飲むことが要求される。健康なんだか不健康なんだか分かったものではない。

この店のトルコライスはカツカレー型の一品である。

ミックスベジタブルと一緒に炒めた麦入りライスにカツがのり、その上にカレーがたっぷりとかかっている。ルーは「バター」と「野菜」から選べ、バターはやや甘口、野菜はやや辛口とのことだった。掲載の画像は野菜ルー。その脇を固めるのはナポリタンとサラダ、そして画像では白飛びしてしまっているが、黄身が半熟の目玉焼きである。

目玉焼きをカツの上まで移動させておもむろに黄身を崩していく。とろとろの黄色の粘度溢れる液体がカレールーの上に流れていく。ああ。

もちろん麺類ではないから黄身を最後の一滴まで味わえることうけあいなので、こころゆくまで黄身を崩してまぶして楽しめる。

黄身を思う存分崩しながら、かつてインカ帝国を崩壊させたフランシスコ・ピサロ兄弟の悪魔的な野心に思いを馳せるのも一興かと。



特製トルコライス 1000円

大阪市東成区東小橋1-1-6 
06-6971-2331
営業:11:30~15:00、17:30~23:00
土日祝休



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

栄太呂ラーメン(兵庫/姫路市飾磨区・英賀保)

2011-06-21 14:20:00 | 関西トルコライス巡礼

「姫路人による姫路市に暮らすための姫路の情報サイト」を謳う 「HIMEJI'n.com」のトップページにはこうある。

「時々、姫路には姫路城しかない・・という声を聞きますが、姫路城周辺のことを『姫路』と呼ぶのですから、姫路に姫路城しかなくて当たり前なのであります」。

もちろんこれは「屁理屈」だとこの文章の筆者が記しているとおり冗談半分の表現なのだろうが、姫路市が土地のイメージほとんど全てを姫路城という存在に依存しているというのはある程度自他共に認める事実なのだろうと思う。

関西トルコライス巡礼初の姫路遠征でいただいたトルコライスは、炒飯、トンカツ、ナポリタンの顔ぶれに、ポテトサラダ、千切りキャベツ胡麻ドレッシングがけが彩りを添えるという多種多様な構成なのだが、その味わいはほぼひとつの素材に依存していた。
トンカツの上にたっぷりとかかったデミグラスソースがそれである。とにかく甘く、香りも豊か。後味の残り方も強い。別に不味い訳ではないのだけれど、ナポリタンや炒飯の味がほとんどしないように感じられてしまうほど、味の濃さが突出していた。胡麻ドレッシングが炒飯を若干浸してしまっている事態も関係ない。なにしろ口中は常にデミグラス味である。

文化も食事も、なにか単一のものに芯を委ねてしまう気質が姫路人にはあるのかもしれぬ、と少ない材料からとんでもない結論を導き出し、怒られないうちにこの項を終わらせてしまおうと思う。



トルコライス 850円(スープ付き)

姫路市飾磨区英賀保駅前町81 
電話:079-236-2774
営業:11:00~24:00(金・土曜は11:00~26:00)
無休







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カフェ・ド・ボンボン(兵庫/神戸市東灘区・御影)※閉店

2011-04-26 22:45:59 | 関西トルコライス巡礼
ショッピングセンター「御影クラッセ」の中にある「メトロ書店神戸御影店」に併設されているカフェレストラン。オフィシャルサイトを参照する限り、メトロ書店が経営母体となり運営されているようだ。
なのでメニューは本を片手に食べられるような軽食が中心かと思いきや、コース料理を設定し、アラカルトの大半が1000円から2000円という、むしろ本を開きながら食べるのは憚られるような、なかなか本気な感じのレストランであった。

「神戸風」と銘打つトルコライスは、「ドライカレーのタワー仕立て」「パスタトマトソース」「牛ヘレ肉のシュニッツェル仕立て、赤ワインのカツソースで」それに「グリーンサラダ」という構成(それぞれの名称は店内メニューより抜粋)。画像では分かりにくいが、カツの、いやシュニッツェルの下にパスタが敷かれているような格好である。「仕立て」という言葉がなんとなくそれなりのレストランの雰囲気を出しているとおり(そんな風に感じるのは僕のレストラン経験があまりに貧弱なせいかもしれないが)、全体的に上品にまとまっている印象で、トマトソースのパスタもカツのソースもサラダのフレンチドレッシングもコクがあってかつ後味爽やかな酸味であり、ドライカレーもスパイシーだがしつこくない。

ただこの一品も、本を片手にという気安さは皆無である。カツ、いやシュニッツェルは自らナイフとフォークで切り分けねばならず、傍らにそそり立つドライカレータワー、もといタワー仕立ても、適当にフォークを入れようものなら倒れ崩れて皿の外にこぼれそうな恐怖感があり、うむ、と意を決して皿と対峙しなければならぬ。結局僕の持ち込んだ文庫本は、トルコライスの配膳以降触れられることすらなかった。

ひょっとしたら、これら料理の本気具合は「本は食事などしながら読むものではない。きちんと集中して向き合うものだ」というメトロ書店の信念の表れなのかもしれぬ。
しかしもしそうだとしたら、「ならば飲食分野に手を出すことなどやめて、書店経営に集中するのが筋では?」と言われかねないのが辛いところであるが。



神戸風トルコライス 1200円

神戸市東灘区御影中町3-2-1 御影クラッセ4F 
078-858-6450
営業:10:00~21:00
定休:御影クラッセの店休日に準じる
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SPAPARA(大阪/大阪市北区・梅田)

2010-11-19 00:44:08 | 関西トルコライス巡礼


カレーピラフの上に半熟気味のオムシートがベース。で、この店のトルコライスの最大の特徴は、その上のトッピングとソースを選べるという点だ。
トッピングは「ジャンボポークカツ・あつあつミンチカツ・ジューシーハンバーグ・ぷりぷりエビカツ(以上メニューから抜粋)」の中からひとつ、そしてソースは「スパイシーチリソース・チーズ風味ホワイトソース・濃厚デミグラスソース(同上)」からひとつが選べる。トッピングにより下は980円から上は1080円と、若干異なる価格設定になっている。

それはさておき、特筆すべきはその日働いていたウェイトレス3人全員が可愛かったという点だ。なぜかインテル・ミラノっぽい青黒ストライプのサッカーユニフォームを着ていたのが謎だったが、3人が3人ともポニーテイル、色白、小柄、笑顔と4拍子揃った容姿ならびに接客ぶり。それがまた少し純朴さを感じさせる可愛らしさで、「それマジうけるんですけどー」とか決して口にしなさそうな清楚さ。これあなた絶対容姿で採用してるでしょ、と店長を問い詰めたくなるくらいだ。

この店、カジュアルイタリアンダイニングを標榜し、パスタとサラダとスイーツと、あとそこになぜかトルコライスでメニューの4本柱を構成していることもあり、客層は女性中心。僕が足を運んだ平日夜7時で30人弱の客のうち男性は僕を含め2人しかいなかった。

そんな女子率の高い、すなわち男子率の低さの中、清楚なポニーテイル3人組を擁する宝の持ち腐れ感といったらもう!それに追い討ちをかけるかけるようなサッカーユニフォーム姿!

その勿体無さと場違い感は、トルコライスのインパクトをはるかに凌駕しているといってよいと思う。



トルコライス(ジャンボポークカツ・濃厚デミグラスソース)1030円

大阪市北区角田町5-15 HEP FIVE 7F 
06-6366-3690
営業:11:00~22:30
定休:HEP FIVEに準ずる

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サンフラワー(兵庫/神戸市中央区・北野)

2010-11-04 00:27:23 | 関西トルコライス巡礼
2010年1月下旬に探訪。


そもそもランチ営業が店の都合で終わっていて、バータイムに行ったら当然のことながら店内がかなり暗かったのにまず怯んだ。

歩道に置かれた立看板での内容説明と実際の一品の構成内容はだいぶ違い、ライスはピラフではなく白米。その上にカツが乗っているいわばカツライスが皿の面積の半分を占め、残り半分をナポリタンと、フレンチドレッシングがかかったレタスとキャベツの千切りがそれぞれ半分ずつ占めるという構成。ドミグラスソースの甘味がかなり強く、暗くて色味もよくわからないため、名古屋で味噌カツを食べているような気になった。

トルコライスの写真がないのは、他に客がおらずマスターがこちらをずっと見ていた気配があったため、写真を撮る勇気が出なかったからだ。情けない思い出である。



トルコライス(レギュラー)800円

神戸市中央区中山手通2-11-1 NIIビル6F 
090-5121-5751
営業時間、定休日など不明

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神戸洋食屋どれみ軒(大阪/茨木市※閉店 兵庫/神戸市垂水区)

2010-10-31 01:03:30 | 関西トルコライス巡礼

取材は2010年1月頃。今はなき堂島店にていただいた。

ドミグラスソースがとてもさらっとしていて甘く、よい意味で安っぽくて、子供の頃実家でよく食べた「イシイのハンバーグ」(正確には「イシイのチキンハンバーグ」)の味を不意に懐かしく思い出したのを覚えている。

「懐かしの洋食専門店」というこの店のキャッチコピーに、少なくとも僕にとっては嘘はない。




リブロースカツトルコライス 850円
カニクリームコロッケトルコライス 790円
ハンバーグトルコライス 890円


茨木店※閉店
大阪府茨木市松ケ本町8-30 マイカル茨木4F 
072-623-8929
営業時間 11:00~23:00 (LO22:00)

垂水店
兵庫県神戸市垂水区海岸通12-1 三井アウトレットパーク マリンピア神戸2F 
078-708-2929
営業時間 11:00~22:00 (LO21:00)



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カフェレスト シャルドン(大阪/守口市・滝井)

2010-10-30 00:02:13 | 関西トルコライス巡礼

「関西トルコライス巡礼」の最新の更新は今年の2月。もう8ヶ月以上も更新していないことになる。
実はまだ3つほど紹介すべき店舗のストックがあるのだが、なんとなく自分に課していた「食べた感想をただ書くのではなく、導入部にひと工夫凝らす」という条件を満たす文章のアイデアが浮かばずに公開しそびれていた。
更新をしばらくさぼっていた間、当然アクセス数は減少したが、その少ない中でも、トルコライス関連の検索で当ブログを閲覧していただいた方が多数派を占めていたことに鑑み、文章の完成度はさておき情報を公開しようと思った次第である。
公開、と肩肘張っていうほど秘密に満ちた話では勿論ないのだけれど。

―――

実際にトルコライスを食べに行ったのは2007年の6月。書こう書こうと思っているうちに3年余りが過ぎてしまった。

店名の「シャルドン」は仏語で「アザミ」の意であることを知り、中島みゆきの名曲「アザミ嬢のララバイ」にひっかけた文章でも捻り出そうとしたのだが叶わなかった。

かかっているドミグラスソースが独特で、酸味や甘味というよりブイヨン系の味がした…ように記憶している。前述した通りあまりに時間が経ってしまったので、当時のメモまで散逸している始末で本当に面目なく思う。ただ、店の主人にソースの味の秘密をそれとなく訊ねようとしたが、なんか味にうるさい厄介な客みたいでやだな、と腰が引けて結局何も訊けなかったことだけは鮮明に記憶している。



トルコライス 800円(Lサイズは980円)

大阪府守口市紅屋町6-6 
0120-616-463
営業時間:月~土 07:30~23:00(L.O.22:30)/日・祝 07:30~22:00(L.O.21:30)
無休



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

快活CLUB(近畿2府4県に27店舗)

2010-02-09 23:22:44 | 関西トルコライス巡礼
漫画喫茶から進化を遂げ、すっかり街の風景に定着し、最近では公共インフラ的機能まで云々されるようになったネットカフェであるが、その不健康さ加減は前身となる漫画喫茶の比ではないだろう。
皆がぬくぬくと長時間漫画を読み耽っていた漫画喫茶にも、書架からお目当ての本を取ってくる、本を何冊も重ねて運ぶ、そして頁をめくるといった客の動きに、わずかながら筋力を使いカロリーを消費する瞬間があった。
しかし、ネットカフェはどうだ。漫画の品揃えも豊富なところが多いとはいえ、ほとんどの客がネット端末にかじりつく中、そこでの動きといえば、たまに姿勢を変える動きのほかは、ただただマウスを動かしクリックするというセンチメートル単位の動作程度であり、そこに基礎代謝以外のカロリー消費はほとんどないと言ってよい。薄暗い空間で青く光る画面に照らされた青白い顔の群れが、その不健全さを象徴している。
ただ、そういう不健全なものに惹かれるのもまた人の性である。自らの行動に常に健全さを求める輩はネットカフェなどに寄り付かずその辺をジョギングでもしていればよいのだ。「あー、今俺、ただただ時間をやり過ごしているなあ」と思う時に感じる倦怠感と、それに伴う幼児退行的・退廃的な快さに心当たりがないものはいるまい。

今回私が足を運んだ「171号西宮店」をはじめ、関西では27店舗、東北から関西まで計約130店舗を展開する快活CLUBには、そんな後ろ向きの悦びを後押しするトルコライスが、2種展開で用意されている。


「トルコライス」はミートソーススパゲティと炒飯が並ぶ上にポークカツという、長崎型の亜種のような組み合わせで、ポークカツには中濃ソースと共にマヨネーズがかけられている。メニューによれば、ミートスパと炒飯はどちらもそれぞれ一人前の量であり、楕円の皿の上での重量感はかなりある。
一見ナポリタンに見えるほどソースが満遍なくパスタに絡んでいるミートスパは、ガーリックが効いていてパンチがある。しからば箸休めにと炒飯にスプーンを伸ばすと、これまた見た目以上の油っぽさに胃袋と味覚神経をガツンと直撃される。カツもマヨネーズの力でもったりした重量感がある。結局どこから攻めても濃く、ハイカロリーであることを認識した瞬間、「これ絶対身体に悪いわ」という呟きが口から思わずもれるのだが、その言葉とは裏腹に、暴力的な味の濃さにつられ右手が勝手に次のひと口のためにスプーンを運んでしまうのだ。良薬は口に苦し。ならば毒薬は蜜の味であるはずだ。快楽を優先し自ら毒薬をあおる退廃的行動のうちに、いつしか口の端にはニヤリとした笑みが薄く浮かぶ。いわば悪魔的な一品であるといってよい。


「スペシャルトルコライス」はさらに迫力ある見た目だ。「トルコライス」の構成要素からカツの上の中濃ソースとマヨネーズを引き、カレールーを足した一品である。カレーのキャッチーな風味の後に二枚腰で襲いかかってくる炒飯のオイリーさは少し食しただけで発汗を促し、食べ進むうちカレールーと混ざったミートソースは辛味・酸味・甘味の暴力的コンビネーションで食べ手を驚かせる。もうこうなったら体のためにカツくらいは残した方がよいのではないかとわずかに残った健全たる理性が訴えかけるのだが、カレーとカツの相性の良さの前ではそんなものは嵐の中の小鳥の囀り程度に過ぎず、結局完食してまたニヤリ、となる。

あくまで個人的な感覚だが、成人が一日に必要とする摂取カロリーのほとんどをこれ一皿でまかなってしまうほどのハイカロリーさではあるまいか。「メタボまっしぐらだな」と呟きつつパソコン画面に向き直れば、気分は世捨て人である。

問題は「世捨て人」と「小太り」の相性の悪さだが。




トルコライス 890円
スペシャルトルコライス 990円

各店舗情報は
http://www.kaikatsu.jp/cafe/store.html
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

茶茶丸(兵庫/南あわじ市)

2009-07-11 21:49:52 | 関西トルコライス巡礼
瀬戸内海最大の島・淡路島は「くにうみ伝説」の伝わる島としても知られている。

神話紹介サイト「日本の神話-古事記」によれば、くにうみ伝説は「ある時、天の神様たちは、イザナギノミコトとイザナミノミコトに『この海の中にふわふわと漂っている国をしっかりと固めて完成させてほしい』とおっしゃって、天にあるりっぱな矛(ほこ)をお授けになられました」というくだりで始まる(以下引用部分は前述サイトによる)。
「そこで、イザナギノミコトとイザナミノミコトは、天からつながっている浮桟橋(うきさんばし)までやって来て、矛を降ろして、下界の海水をゴロゴロと掻き回してから、引き上げてみました。その時に、矛の先からしたたる海水が重なってできたのがオノゴロ島です」

この「オノゴ(コ)ロ島」こそが淡路島である、という説もあるのだが、事態はもっと複雑なようだ。続きを追ってみる。

「イザナギノミコトとイザナミノミコトは、その島に天から降り立って、天の神聖な大きな柱をお立てになり、その柱を中心として大きな御殿を作られました。そして、イザナギノミコトは、妻のイザナミノミコトにお尋ねになりました。
『あなたの身体はどのようになっていますか?』
『私の身体は、すっかり美しく出来上がっていますが、一カ所だけ出来きれていないところがあります』
とイザナミノミコトがお答えになられると、
『ほう、私の身体もよく出来上がっているが、一カ所だけ出来すぎたところがあります。では、私のからだの出来すぎたところをあなたの身体の出来きれないところに刺して、塞いで、この国を生みたいと思うのだが、どうだろうか?』
『それがよろしいでしょう』」

と、いきなり神々による性的交合が仄めかされ、その後、二柱の神が試行錯誤の末に、

「男女の交わりをしてお生みになった子が、淡路島です」というちょっとピンクな展開なのだ。

神々の物語とはいえ所詮人間の考え出したものだから下世話な展開も致し方ないのだが、滴る海水が重なっても神々が交わっても島が生まれてしまう、というのはいささか乱暴に過ぎないかと思う。

淡路島・南あわじ市にてトルコライスを供する茶茶丸の一品も乱暴、というかワイルドだ。
カレーピラフを覆う所々半熟気味の薄焼き卵の上に乗るポークカツはざっくりと大ぶりに切られ、その一切れあたりの迫力を誇示するかのように、ある一切れは薄焼き卵の上、またある一切れは皿の端にと無造作に置かれている。その上を彩るミートソースは、かけられた際の勢いを物語るかのように、画像皿手前に溜りを作るほど多めに配されているのだが、皿向こう側のカツにはほとんどかかっていない。総じて洋食らしい繊細さは無く、雄々しさ、強さ、勢いを感じるレイアウトである。
しかし、神話が幾千年もの月日に耐え今日でもその物語を伝え続けているように、ポークカツとミートソースの組み合わせは(「スイス本店」の項でも既に述べたが)この先千年安泰を思わせる安定したコンビネーションだ。カレーピラフもスパイシーで大ぶりのカツの旨みに負けていない。薄焼き卵の焼け具合の変化も舌に楽しい。

多少乱暴だろうがなんだろうが、というか暴力的にシンプルだからこそ、料理も神話も長く楽しまれるのかもしれぬ。疑う者は焼肉を見よ。

乱暴にまとめてみた次第である。



トルコ風ライス 800円(サラダ付)

兵庫県南あわじ市八木大久保115-1 
0799-42-4828
営業:10:00~25:00
定休:火曜

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スイス本店(大阪/堺市堺区・堺東)

2009-01-19 20:44:27 | 関西トルコライス巡礼

「クララが立った!」
スイスを舞台にした名作「アルプスの少女ハイジ」のハイライトとなる、言わずと知れた名台詞だ。
幼少の頃、再放送をしっかり見ていた記憶はあるのだが、52話にわたる長編であるにもかかわらず、物語の筋はろくすっぽ覚えていない。しかし、背景の美しい空や山並み、そしてこのシーンと台詞だけははっきりと覚えている。人間の記憶ってなんだか妙なものだ。

堺東にある「スイス本店」のトルコライスは、カレーピラフとナポリタンの間にカツが乗る、所謂長崎型である。ナポリタンは王道を行くぐにゃぐにゃ感で、カレーピラフは香り高いが味わいはあくまで軽い。そして最大の特徴は、ポークカツを覆うソースだ。一見デミグラスソース風なのだが、よく煮詰められたトマトベースのミートソースがかけられている。
これがいける。
カツといえば、中濃をはじめとするソース、デミグラスソース、あるいは大根おろしを伴ったポン酢がコンビを組むソースのスタンダードだが、そこに颯爽かつ敢然と新勢力が割って入ってきた印象である。
決して鮮やかな味わいではないのだが、豚肉の脂身と衣に含まれる油分の甘みにミートソースはよく合う。油の甘みとトマトの甘み、そこに挽肉の甘みまで加わる、いわば三重奏だ。北海道・釧路地方では「ミートカツスパゲティー」なるものが人気を集めているようだが、それもむべなるかな。懐かしい味、といってしまうと途端に陳腐な表現に堕してしまうが、なんだか記憶の奥底をやさしく揺さぶられるような味がする。

この組み合わせを口にしたら、その美味しさにクララだってきっと立ちあがる、と思わなくもない。



トルコライス 780円

堺市堺区中瓦町2-2-15  
072-221-1756
8:00~23:00
無休

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビアカフェキッチン尼崎(兵庫/尼崎市・JR尼崎駅)※閉店

2008-06-25 16:09:18 | 関西トルコライス巡礼
兵庫県東部、大阪府との県境に位置する尼崎市は、かつては阪神工業地帯の中核を担う工業都市として「工都」と号し、立ち並ぶ煙突が町の誇りとされた。現在でも様々な業種の約30の製造工場がひしめき合う工場密集地である。

現在の日本の繁栄は工業の発展によってもたらされたことに異論はないだろう。日本経済は、勤勉かつ均質優秀なる労働力を武器に「高品質工業製品」の生産拠点として、世界で揺るぎないブランドとプレゼンスを築き上げてきた。
その品質の高さは精密機械の性能に顕著だが、もうひとつのブランド力は機械を構成する部品一つ一つの高いレベルでの均質性にある。例えば、日本の自動車産業が世界最強となった理由の一つは部品製造にあるといわれている。樹脂バンパー、鋼板ボデーやネジに至る3万点の自動車部品を安く高品質に生産するには、設計技術だけでなく、製造技術と製造ノウハウが必要になる。形状が同じでも、高性能の部品を安く、高い品質で量産するとは実は容易ではないのだ。
かつて、日本も先発の欧米部品メーカーから基本技術を導入して部品生産を開始した。その後、日本は導入した技術に改良を加え独自の製造技術を開発。さらに、現場重視、チームワーク、絶え間ない改善、無駄の排除、仕入れ先との協力など日本独自の文化を背景に独自の製造ノウハウを獲得した。その先人たちの努力の結果、仮に同じ機械を用い同じ方法で部品を製造しても、日本ほど高品質な部品を均質に安く作れる国は他に無いという現在の地位を築き上げたのである。

尼崎で食べたトルコライスはMADE IN JAPANの均質性を偶然にも意識させられるものであった。
この「ビアカフェキッチン尼崎」は、新神戸にある同ブランドの店舗と同じく、ジェイアール西日本フードサービスネットの直営店である。つまりトルコライスもほぼ同じ形状、味のものが提供される。
ドライカレーと薄焼き卵とポークカツのおなじみの三層構造に、かけるソースはデミグラスかカレーかの選択制。デミグラスソースはかなり薄味でさらりとしている。ドライカレーもスパイシーさは抑えられていて、衣が薄めのカツと共にさくさく食べられる。

おんなじだ。

味というのは印象という要素もあるので一概には言えないものの、これは見事な均質性である。
と、食べ終わってふと皿に残ったものに気付く。
…付け合せのピクルスがそこにあるではないか。食後の口直しにどうぞという店側のサービス精神が沁みる。

このトルコライス、かつて日本の工業を発展させた先人たちがそうしたように、製品の品質は保ちつつ、更なるサービス、つまり機能向上をも目指したトルコライスであるといってよいだろう。

日本有数の工業都市で、ぜひこのトルコライスを味わいつつ日本工業の優秀性に思いを馳せて欲しい。
そんなことを思い浮かべたらかえって飯は不味くなるかもしれないが。



ビアカフェトルコライス700円

兵庫県尼崎市潮江1-1-60
06-6481-3833
無休
営業:平日・日祝8:00~20:00/土曜8:00~21:00
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リプトン河原町店(京都/京都市中京区・河原町)※閉店

2008-01-28 21:54:04 | 関西トルコライス巡礼
リプトンといえばイギリスの紅茶販売大手としてつとに有名である。そして、紅茶といえばどこか「高貴」「上品」なイメージがつきまとう。20世紀初頭に日本に始めて紅茶が輸入された際の価格が、米1升が80銭の時代に450gで2円50銭と、庶民には高嶺の花だったイメージが今でも生きながらえているということなのだろうか。ともあれ、気軽に買えるようになった現在でも、紅茶のある風景には、白いレースのテーブルクロスや、出窓や、ピアノの音色といったものこそが似合うと感じるのは僕だけではあるまい。

小学生時代の同級生に上品な女の子がいた。それほど目立ちはしないが仕立てのよい服を着て、髪はきれいな三つ編みで、いつもきちんと膝を揃えて座り、よく通る声ではきはきと返事をした。大人たちが使う「育ちがよい」というのはこういうことなのかと感心した覚えがある。そして、長期休暇中の自由研究に一緒にとりくんだ時に自宅にお邪魔した際、出てきたのはやはり紅茶だったのをよく覚えている。
当然のように好意を抱き、その思いを不器用なりに伝えようと努力したのだが、当の彼女は、伝わっているのかいないのか、いつもにっこりと微笑むだけなのだった。
上品さというのはなかなか厄介だぞと子供ながらに思ったものである。

話が大きくそれた。

リプトンで供されるトルコライスもどこか上品なたたずまいに見えてしまうのは、個人的に滅多に口にしない紅茶のイメージに既に押され気味なのだろうか。はたまた天井に設えられたハロゲンライトのせいなのか。
とろとろの半熟卵がきらきらと輝き、ポークカツの衣のパン粉は一粒一粒がぴっ、ぴっと音を立てるように立っている。デミグラスソースは周囲に湛えられ、卵の健康的な黄色と皿の清潔感のある白色を際立たせている。
縦方向にもナイフが入れられたカツは軽くさっくりとした味わいで、とろりとした卵とのハーモニーは抜群だ。
そして卵の中に鎮座するのはケチャップライスなのだが、具の厚切りベーコンが香ばしいアクセントとなり、単なる上品さとは一線を画したパンチのある味わいを見せる。
優しい顔して意外に中身はハード。「ぶぶ漬けでもいかがどす?」の京都の気風が息づいている、とでも言うべきか。
ストレートのアイスティーと一緒に食したのだが、甘目のデミグラスソースの後味がきりりとした紅茶の苦味に心地良く洗い流される快感があったことも付け加えておきたい。
さすが紅茶のリプトンであると感じ入った次第である。

ところが、このティールームのオフィシャルサイトを見てみると、どうもあのリプトンとブランドロゴが違うのだ。
ティールームのオフィシャルサイトによれば、「1930年(昭和5年)、まだまわりに何もなかった時代。福永兵蔵は、『リプトン本社直轄喫茶部 極東支店』として、京都・三条にティーショップをオープンしました」とあるのだが、リプトンのサイト内「リプトン物語」における「日本のリプトン」には、本社直轄の極東支店が存在したという事実は一切記述されていない。

はて。

上品さというのはやはりなかなか一筋縄ではいかないものなのだ。



ロースカツのトルコライス1050円
海老フライのトルコライス1050円

京都市中京区河原町蛸薬師上ル 
075-223-0391
営業:11:00-22:30(日~木)、11:00-23:00(金、土、祝前日)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする