2014年6月26日に、日本がん分子標的治療学会の鶴尾隆賞をいただきました。
受賞講演でも述べましたが、鶴尾隆先生は、私の恩師の曽根三郎先生(徳島大学名誉教授)の無二のご親友でいらっしゃり、私が大学院時代には鶴尾先生の教室で作成された抗P糖蛋白質抗体(MRK-16, MRK-17)などをいただいて「抗がん剤耐性になったがん細胞をいかに効率よく殺すか」について研究させていただきました。まさに、私の薬剤耐性研究のルーツになったプロジェクトでした。
その後も、曽根先生との関係で鶴尾先生には文部科学省のミレニアムプロジェクトや日本がん転移学会等でアカデミックなご指導をいただきましたし、プライベートではゴルフを何度もご一緒させていただきました。本当に公私ともにお世話になりました。
私が金沢に赴任した2007年にも、教授就任祝賀会のためにご多忙の中わざわざ金沢にお越しいただき、激励のお言葉をいただきました。しかし、その1年半後に鶴尾先生は、私の専門である「肺がん」で亡くなられてしまいます。
何度もお見舞いに行かせていただきましたが、最後にお会いした時に「肺がんって、本当に大変な病気ですね。僕は矢野さんの将来を見届けることはできないけれど、いい治療を開発してください。」とおっしゃい、手を握ってくれました。その鶴尾先生のお言葉に応えられておりませんが、鶴尾先生の名を冠した賞をいただきましたので、良い治療を開発できるよう精進してまいりたいと存じます。
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