金沢大学がんセンターブログ

金沢大学がん高度先進治療センター医局における
日々の出来事を適宜更新していきます。

JDDW 2012 (於 神戸)

2012-10-19 23:15:38 | 日記

去る10月10日 (水)~13日 (土) の4日間神戸で第20回日本消化器関連学会週間、通称JDDW (Japan Digestive Disease Week) が開催されました。JDDWは1993年から始まりましたが、今年は20回目の記念大会でした。

当科からは安本先生が「CXCR4胃癌癌性腹膜炎発症機序の分子生物学的解明ならびに新規標的治療法の開発」(写真1)、自分が「膵癌における新規足場蛋白Akt-kinase-interacting protein 1 (Aki1) の発現と臨床病理学的検討」(写真2) のタイトルでポスター発表を行いました。今回、安本先生はポスター全体の4%にしかもらえない優秀演題賞を受賞されました。心より敬意を表したいと思います。

 

(写真1)

(写真2)

 

 さて、10月8日に山中伸弥先生がノーベル医学・生理学賞を受賞され、日本中が沸きかえりましたが、当初その山中先生が10月11日に講演に来られる予定でした。しかし受賞3日後であり、どうしても外せない予定が入ったとのことで、残念ながら山中先生には来ていただくことはできませんでした (山中先生からはビデオメッセージを送っていただきました)。代理講演として、山中先生と同じ京都大学iPS細胞研究所に所属する基盤技術部門教授の青井貴之先生がiPS細胞の研究に関する講演をされました。青井先生は平成10年卒で自分よりも4学年下の先生ですが、既に教授になられており、講演もiPS細胞に関しては素人の自分にもとても分かりやすい内容でした。山中先生が来られていたら学会会場はおそらく大パニックになっていたと思われますが、青井先生の講演もノーベル賞を取られた研究に関する講演だけあって1,000人以上収容できる会場は満席であり、中継会場も用意されていました。ところで、山中先生も青井先生も神戸大学医学部出身とのことですが、いずれも大学時代は自分と同じラグビー部に所属していたそうです。日本人の医学部出身でノーベル賞を受賞されたのは今回の山中先生が初めてと思いますが、自分と同じラガーマンが受賞されたことは個人的には大変うれしく思っております。

 

 ところで、今回のJDDWでは金沢大学の膵癌チームが作成した「膵癌診療アトラス」が出版されました。詳しくは別項に書かせていただきましたが、このアトラスは月1回当院で開催されている膵癌カンファレンスで提示された症例から選りすぐったものであり、主に放射線科の蒲田敏文先生、肝胆膵・移植外科の北川裕久先生と自分の3人が膵癌診療に携わる先生方を対象に執筆したものです。実際書店に陳列されているのを見ると、今までの苦労が吹き飛んだ感じで、うれしいような、少し恥ずかしいような思いにもなりました (写真3)。実際、自分の目で数冊売れているのは確認しましたが、学会後に出版社から連絡があり、計30冊程度売れたとのことで、ホッとしています。

 

(写真3)

 

 最後に、学会恒例の夜の部に関してですが、ポスター発表を行った日に安本先生と2人で中華料理店の「慶楽 (ちんろう)」で食事をしました (写真4)。お店の場所は中華街の中ではなく、三宮駅の近くの路地裏にありましたが、隠れた名店のようです。安本先生は前日にも大学時代の同僚と一緒に同じお店に行かれたそうですが、お勧めのお店だけあって「四川名物よだれ鳥」、「黒酢の酢豚」、「水餃子」、「担担麺」など、どのメニューも大変美味しかったです。神戸に行かれることがありましたら、是非1度足を運んでみられてはいかがでしょうか。

 

(写真4)

 

 自分は今年の全国学会の活動は今回が最後ですが、来年からも学会活動を頑張ってゆきたいと思っております。

 

文責 大坪公士郎


「膵癌診療アトラス」出版にあたり

2012-10-19 23:11:40 | 日記

このたび金沢大学で月1回開催されている膵癌カンファレンスのメンバーである放射線科の蒲田敏文先生、肝胆膵・移植外科の北川裕久先生と共同で執筆した「膵癌診療アトラス」を秀潤社から上梓させていただきました。

 

 

以前より膵癌カンファレンス内では、金沢大学から膵癌に関する本を出そうという話は出ていましたが、2011年春から打ち合わせを始め、2012年秋のJDDWでの出版を目標に掲げました。教科書的なものを作成することはみんな初めてでしたので、当初はなかなか思うように進まず、試行錯誤の連続でしたが、周囲の先生方、出版社の皆様のご協力のもと、このたび本書を完成することができました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

本書では、主に蒲田先生はCTを中心とした画像診断について、北川先生は画像と病理の対比について、自分は超音波内視鏡 (EUS) について執筆させていただきました。その中でも本書の目玉は何と言っても北川先生が執筆された主に膵頭部癌手術症例における画像と病理の対比です。術前のCTと同一の断面で作成された病理組織が提示されており、2つを横に並べると、ここまで一致しているのかと驚くばかりで、おそらく世界中のどこを探しても同じものは見られないと思います。

本書は総ページ数が180ページ余りで、価格も税込6,300円といずれもお手頃なものになっています。また、甚だ手前味噌にはなりますが、膵癌の診療に携わる内科、外科、放射線科、病理のいずれの先生方がご覧になっても読みごたえのある内容になっているものと自負しております。本書が膵癌診療に携わる先生方に少しでもお役に立てれば幸いです。

 

文責 大坪公士郎